悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

62話 一般人には出来ないことを平然とやってのける。


 62話 一般人には出来ないことを平然とやってのける。

「ほかに、何かご要望があれば、遠慮なくおっしゃってください」

「もう、だいたいは伝えた。あとは、まあ……よきにはからえ」

 軽く上位者風のボケを挟みつつ、
 トウシは、彼女たちに丸投げすることを決めた。

 ――救世主から、雑務を一任された黒木は、
 『フンスッ!』と鼻息荒く気合を入れて、

「飛行機と車の手配も……あ、明日から、しばらく、学校が休みになることも連絡しないといけませんね。まずは、空港と、整備会社に連絡を……あ、SPや警備員を手配する必要もありそうです……いえ、もう、警察関係を丸ごと使ってしまいましょう」

 そこで、トコが、

「久剣家への連絡は、あたしがしとく。警察関係だけやなく、自衛隊も動かした方が、いろいろと、話がはやいやろう」

「じゃあ、ツミカさんは、明日に備えて寝ておくにゃ!」

「おどれも、親に電話せぇ! 政府関係者にも、やらせたいことは、いくつかあるんじゃい!」

 サクサクと話が進んでいく。

 その光景を見ながら、トウシは、

「……一般人にはできないことを、平然とやってのける。そこに痺れる、憧れる」

 ボソっと、そんなことをつぶやくばかりだった。


 ★


 ――翌日の午後には、
 トウシの望みは完璧に叶えられていた。

「……壮観やな……というか、すごいな……」

 時空ヶ丘学園の特設運動場に集められた10万人の天才たち。
 マサヨシが言っていたように、
 知能指数130以上の者ともなれば、
 重職についている者が多く、
 身なりが整っている者が多い。

 ――とはいえ、全員が全員、成功者かと言えば、
 もちろん、そうではなく、
 中には、明らかにニートっぽいやつや、
 ホームレスっぽい恰好をしている者もいる。

 頭がいいのは、間違いなく『大きな武器』なのだが、
 社会生活をうまくこなしていくにはコミュ力も相当に重要。

 というか、人間関係という一点だけでものをみれば、
 最も重要なのはコミュ力である。
 そこが欠けていて、頭だけ抜群にいい者は、
 むしろ、周囲の人間に心底からウザがられてしまう。

「……さて、と。時間がありあまっとるというわけでもないことやし、さっそくはじめていこうか……」

 そうつぶやきながら、
 トウシは、この天才軍団の輪の中に入っていく。
 中心に陣取ると、
 目の前にエアディスプレイを出して、

(……まずは、周囲の人間をスキャンして、脳を解析してから、リンクする……ワシの思考が逆流せんように、アクセス制御をしつつ……基本的には、複数のメモリに分散するように……処理の高速化は……まあ、ええやろ。あまり無茶をすると、こいつらの頭がバグってまうからな……)

 机を綺麗に整頓していくトウシ。

 トウシが作業している間、
 天才軍団のコンダクターを任された男(知能指数160)が、

「それでは、みなさん、目を閉じて、ゆっくりと、呼吸をしましょう」

 日本語でそう言った後、
 英語と、中国語でもそう言って、

「リラックスしましょう。ゆっくりと、息をすって、吐いてぇ……」

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品