悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!
60話 ことはすべてダイナミックに運べ。
60話 ことはすべてダイナミックに運べ。
「できれば、理由を聞かせてもらえると、非常にありがたいのですが」
「これから、コスモゾーンを解析するつもりなんやけど、ワシの頭だけやったら、机が足りん。他のやつの脳を借りたい。その数は多ければ多い方がええ」
「……知能指数120程度の凡夫に、あなたの手助けができるでしょうか? いえ、150や180であっても、コスモゾーンの解析などという異次元の演算が、できるとはとても――」
「手助けはいらん。『一緒に考えよう』とか、そういう話やないねん。ワシが作業するための『スペース』がほしいだけ。大規模な暗算をするとき、脳のスペースが足りんと感じることがあるやろ? あれを広げたい。脳をリンクして、スペースを広げるだけなら、『F‐クリエイション』を使えば余裕」
「……他人の脳を、外付けのSSDとして使う……ということでしょうか?」
「まあ、そんなところやな」
「なるほど……了解しました。――美麗さん」
そこで、黒木は、紅院に視線を向けて、
「御父様に連絡をしてください。300人委員会総出で、世界中から、知能指数『130』以上の者を、『10万』人ほど、かき集めるように、と」
「ワシ、120以上を1万って言わんかったっけ?」
「数と質は、多ければ多いほどいいでしょう?」
「……まあ、そうやけど、知能指数130以上っていうたら、50人に1人、おるかおらんかっていうレベルのスーパーレア種やで? そんなもんを10万って――」
「世界人口は70億人。50で割ったら1億人以上です。その気になれば、全員集めることだって可能ですよ。というか、不可能とは言わせません。全人類の未来を背負って戦ってくださるあなたの命令にNOは言わせません。とはいえ、1億人を集めるとなると、さすがに、数か月はかかると思うので、その気になれば『数時間以内に用意できる人数』である10万人に絞らせていただきました。足りなければ、いつでも仰ってください。いくらでも補充させていただきます」
そんな黒木の宣言を尻目に、
紅院が、
「あ、パパ? これから、リーダーの命令を伝えるから、すぐに動いてくれる?」
父親に電話をかけている横で、
トコが、
「10万人となると……規模感は、東京ドーム二個分か……まあ、時空ヶ丘の無駄な広さを考えたら、待機させる場所的には余裕やな。用意するんは、イスとメシぐらいでええか……」
その言葉に反応した黒木が、
トウシに、
「拘束時間はどのぐらいとお考えでしょうか? 数時間なのか、一日丸々なのか、それとも、数日なのか」
『天才を10万人あつめろ』という無茶な要求をされていながら、
たんたんと、計画を進めていく彼女たちに、
軽く引きながらも、トウシは、
「……10万人を使えるなら、1日あれば十分やと思うけど、想定外の事態は、いつでも起こり得るから、丸々2日分を確保してくれるとありがたい」
「了解しました。一週間分、確保させます」
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