悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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46話 そこまでいうなら、お前がやれや。


 46話 そこまでいうなら、お前がやれや。

「できるだけ、サっと殺してくれよ。苦しいとか、痛いとか、そういうんを可能な限りゼロにしてくれ」

「いや、ちょっ、まってくれ、田中! そんな簡単に諦めんといてくれ! 現状、あんただけが頼りなんやで!」

「いや、そうはいうけどもやなぁ……これ、どないしようもないで、ほんまに……そら、ワシかて、死にたくはない。だからこそ、これまで、結構な勢いで頑張ってきた。普通の人間の数倍、数十倍、数百倍……そのぐらい、頑張ったと胸を張られるぐらいにはもがいてきた……けど、さすがに、この状況は、いかついで……」

 今のトウシには、
 この極限を遥かに超えた鉄火場で、
 限界以上にカッコつけ続ける理由がなかった。

 『誰』を守りたいというわけでもない、
 ただ『できれば死にたくない』という想いしかない今のトウシにとって、
 これ以上頑張る理由は一つもない。

 もう十分がんばった。
 ここまでやったのだから、むしろ、褒めてもらいたい。

 そんな、あまりにあやふやな命の境界線上で、
 トウシは、

「ワシは別にヒーローとかやない……頭の出来には自信があるけど、しょせんは、そんだけの一般人や。とてもやないけど、神様は殺せへん」

「けど、諦めんといてくれ! 頼む! あたしは、こいつらに、死んでほしないんや! こいつらだけやない! 普通に、頑張って、毎日を積み重ねとる普通の人たちが、普通に生きていける普通の世界を……あたしは、失いたくない! 理由とかは聞くな! 特に、深い理由なんかない! ただ、イヤなだけや! この世界になくなってほしくない! あたしにとって大事な人には、普通に、この先も、笑って生きてもらいたい! 頼む! お願いや!」

「ほな、お前がやれや。人に頼らんと」

 至極まっとうなことを言うトウシに、
 トコは、心底悔しそうに、歯噛みしながら、

「できる限りのことは、全部やってきた! 命を懸けて、毎日、毎日、あのクソ化け物どもと戦ってきた! けど、力が足りんかった! 自覚しとる! あたしは、クソの役にもたってへん! 願望ばっかりを口にして、他人に荷物を背負わせようとしとる最低のカスや! わかっとる! そんなことは!」

「……」

「あたしに力があったら、あたしが全部背負ったる! そのぐらいの覚悟は持ち合わせとるつもりや! けど、あたしでは役者が不足しとる! あたしでは何の役にもたたん! けど、あんたは違う! あんたには力がある! もう、ここまできたら、さすがにわかる! あんたは、別格! 至高の天才! あたしも、自分の頭には、多少の自信があるんやけど、あんたの足元にも及んどらん! あんたは別格の特別! この状況をどうにかできるとしたら、あんただけ!」

 必死に、言葉を紡ぐトコ。
 伝えたい思いがあふれて止まらない。

「約束する! あんたに、この世界の全部を献上する! あたしには、神様を殺すことは出来んけど、金と権力の世界で暴れることぐらいならできる! 命がけで誓う! 死力を尽くして、あんたに、正統な報酬を払うと! せやから! どうか! 頼むぅうう!」

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