悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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22話 貧乏くじ。


 22話 貧乏くじ。

「いくらなんでも、あんたは強すぎる……今のワシにどうこうできる領域やない……」

「その事実を、正しく理解した上で、さあ、貴様はどうあがく?」

(いや、これは無理やな……学習する前に死ぬ……)

 理解力の高さに定評があるトウシは、
 一瞬で、『ロイガーに勝つのは完全に無理』だと認識し、
 『ならば、どうする?』という思考にシフトする。

(逃げるしかないな……)

 そう決断すると同時、
 トウシは、
 携帯ドラゴンの機能をフルで活用し、
 足元に、マイクロホワイトホールを生成して、迷わず飛び込んだ。

 決断から行動まで、1秒を切っていた。
 その雷のような即決即行を見たロイガーは、

「……わずかも迷うことなく、逃亡を決断……すさまじい判断力と行動力」

 トウシの決断力を称賛してから、

「さて、それでは、決断には結果が伴うということを理解してもらおうか」

 そう言いながら、
 ロイガーは、まず、

 ――紅院の首を、裏拳で吹き飛ばした。

 そのグロすぎる光景を見て、トコが悲鳴をあげかけたが、
 しかし、
 ロイガーは、ソレすら許さず、
 トコの額を『軽い魔力をこめた指弾』で貫くと、
 そのまま、固まったまま動けなくなっている黒木の首も、
 サクっと蹴り飛ばす。

 3人の神話狩りが絶命するまでの時間は、
 トウシが逃亡を決断し行動するまでの時間と、だいたい同じだった。

 3人の友人が一瞬で殺された様子を見た茶柱は、
 ポカンとした呆け顔で、

「あーあ……こりゃ、ダメだにゃぁ」

 完全に諦めていた。
 闘う気は一切なく、
 その両手はダランと下げられたまま。

 もはや、今の彼女に、
 携帯ドラゴンを使って迎撃するという気は一切なかった。

「タナてぃんだけが希望だったけど……流石に、これは、無理だにゃぁ……まあ、覚醒する前のロイガーは殺してくれたわけだから、ツミカさんの見立ては、そこまで間違っていなかったわけだけれど……流石に、相手が悪すぎたにゃぁ」

 ははは、と渇いた笑い声を出して、

「というか、なんで、ツミカさんだけ、まだ死んでいないのかにゃ? もしかして、もう死んでいるけど、それに気づいていないだけだったり?」

 そんな疑問をぶつけられたロイガーは、
 たんたんと、

「貴様は、あいつの目の前で殺す」

「うわぁ、性格が悪いにゃぁ……ちなみに、一つ聞きたいんだけど、なんで、ツミカさんが選ばれたのかにゃ?」

「別に、貴様を選んだわけではない。テキトーに、一匹、残しただけだ」

「あ、テキトーねぇ、なるほろ。タナてぃんが、ツミカさんに特別な感情を抱いているから、あえて……とかかと思ったんだけど……とんでもない自惚れだったにゃぁ。はずかしー」

「……貴様、ずいぶんとノンキだが、状況が分かっていないのか?」

「別にノンキに構えているわけじゃにゃいにゃ。どうしようもなさすぎるから、何もやる気が起きていないだけにゃ。もっといえば、さっさと殺してほしかったにゃ。もっというと『なんで、ここで、最後まで残るという貧乏くじを引かにゃならんのだ』と、己の運命を恨むのに精いっぱいで、他の事に活力を発揮している余裕はない感じだにゃぁ」

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