悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!
20話 舞い散る閃光に匹敵する狂気。
20話 舞い散る閃光に匹敵する狂気。
(……よし、勝てる……グレート・オールド・ワンといえど、F-クリエイションを有する今のワシの敵ではない……これなら、この先、どうにかやっていけそうや……まあ、ロイガーが、最弱のGOOという可能性もないわけではないけど……
などと、思っていると、
そこで、呆けたように、口を開いて呆けるばかりだったトコが、
「ちょ、ちょ待って……ぇ、嘘やろ? あの強大なGOOを……そんなアッサリ……えぇ……」
ロイガーがどれだけ強大な力を持つ化け物であるか、
身をもって知っているトコは、
とにかく、目の前の光景が信じられなくて、
みっともなく動揺するしかない。
そんなトコを尻目に、
トウシは、
(強大なGOO……つまり、あの程度でも、GOOの中では『強い方』ということ……『四天王の中で最弱』のパターンではない……あれで『強い方』なら、『天井』もたかがしれとる……うん……なんとかなりそうやな)
心の中で、未来の演算をしているトウシに、
最初に声をかけたのは、黒木愛美だった。
「……あなたは……田中トウシさん……ですよね? 主体性遠足で同じ班になった……え、違いますか? もしかして、別人でしょうか?」
「間違いなく田中トウシですけど、なにか?」
「……さきほど、あなたは、携帯ドラゴンを……自分で創った、と言っていましたが……そんなこと、できるものなのですか?」
「ワシ以外には無理。イスの遺産を正確に運用するという行為は、この世で、ワシにしか出来ん不可能やと思う」
といった感じで、黒木の疑問に対し、
バッサリとした解答をしていると、
――そこで、ロイガーの死体が、
ドクドクと強く脈打ちはじめた。
(……ん? なんや? ……もしかして、ラスボス的な第二形態? ……マジでか……まあ、ええけど……『りゅ〇おう』が『りゅう〇う(DRAGON)』になるぐらいの強化やったら、どうとでもなる)
心の中でつぶやきつつ、
トウシは、軽く屈伸をしながら、
体のゆがみを整えていく。
その間に、
ロイガーの全身が、グニャグニャとうごめいて、
ついには、
「ブハァ……」
軽く深呼吸をしてから、
「……ウギ……ギギギ……グググ……ふぅ……ふぅ……はぁ……」
何度か、深呼吸をして、
「……ふぅ」
自身の全てを整えると、
「……強制的に理性を植え付けられたか……いい気分ではないな……というか、純粋に不愉快だ……吐き気がする」
他者に理解させる気がない言葉を吐きすてて、
ロイガーは、トウシをにらみつける。
「田中トウシ。貴様の異常性は理解した。認めよう。貴様は、方向性こそ違うが、『舞い散る閃光』に匹敵する狂気だ」
(……舞い散る閃光?)
心に引っかかる狂ワードだった。
その言葉が、何を示すのか、
一ミリも理解できなかったが、
何か、胸の奥がザワザワする。
「貴様は優れた狂人だ。しかし、それだけでは超えられない壁もある」
そう言いながら、
ゆっくりとした歩調で、
トウシの目の前まで歩くと、
「今の私は、パワーだけでいえば、アウターゴッドの領域にある。貴様は、間違いなく天才だが、しかし、現状だと、GOO級の出力が限界。貴様では、どうあがいても、私には勝てない。勝ててはいけない」
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