悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!
2話 絶対に違う。
2話 絶対に違う。
「……うるてぃま……ぎあす……」
なぜだか、口にせずにはいられなかった言葉。
「……うるてぃまぎあす……って、なんや?」
その言葉に関する詳細はサッパリ不明。
だが、強く、頭に残っている。
「なんか、どっかで聞いたことがあるような……んー、あれー……ほんま、どしたんやろ……あかんなぁ……頭の中に、ものすごいモヤがかかっとる……なんや、これ……こんなん、はじめてや……」
逆立ちをやめて、かるくジャンプする。
どうにかして、自分を取り戻そうとしているのだが、
しかし、どうにも、色々と不明瞭。
――そこで、トウシは、
「あかん。ちょっと、マジで、気色わるい」
そうつぶやく同時、
部屋の中を漁り始めた。
自分に関する情報を集めるトウシ。
机の中にあるプリントを引っ張り出して、片っ端から目を通す。
中学時代の成績表を見つけたトウシは、
シッカリと熟読してから、
「……ワシの成績が平均前後って……しかも、数学に関しては平均以下やないか……んな、アホな」
トウシは、自分が『天才である』と自覚している。
『私は天才だから称えろ』などとうぬぼれているわけではない。
ただ『自分の頭の出来が常軌を逸している』という事実を理解しているだけ。
ゆえに、異常。
学校のテストで、トウシが100点以外をとることは、ほぼほぼありえない。
その前提がありながら、成績が『中の下』というのは、絶対に、ありえない。
「いや、もう、絶対におかしい……というかこの部屋、絶対にワシの部屋やないやろ……何がどうとは言えんけど……いや、絶対に違う……」
などとブツブツ言いながら、
トウシは、机の上の赤本を取り出して、
中の問題を確認する。
「……ほら、全部、秒で解けるもん……ワシに、普通の参考書なんか必要ない……やっぱり、全部、おかしい。絶対に、これ、ワシの部屋やない」
そこからもトウシは、部屋の中をごそごそとあさる。
その結果、導き出された答えは、
「んー……めっちゃくちゃ荒唐無稽やけど……ワシの魂だけが、この部屋の主に乗り移った、と考えた方が自然やな……」
★
ここではないどこかで、
『彼ら』は、
『違和感と奮闘している田中トウシ』の一挙手一投足を見つめていた。
彼らの中の一人――『マザコン熾天使』が、
「あの田中トウシは……センエースの中心に刻み込まれている記憶の具現か……また、ぶっ飛んだ一手を放つねぇ」
続けて、『厨二の聖なる死神』が、
「ちなみに、あの田中トウシは、携帯ドラゴンと契約できるのかね?」
「契約『は』できないだろう。あの田中トウシは、所詮、『センエースの記憶』でしかない。簡単にいえば、『田中トウシ風味のセンエース』でしかない。もっと具体的に言うと、センエース用に用意されていた『外殻』に、『センエースの中心に刻まれた田中トウシの記憶』がにじんでいるだけ」
そこで、『煽り厨の寿司殺神』が、
「……えっと……つまり、どういうこと? ごめん、俺、頭悪いから、よくわからんのだけど?」
「お前の頭があって、今の説明で分からないとかありえないだろうが。煽ってくるんじゃねぇ」
(いや、ほんとに、よく、分からないんだけど……軽くウトウトしていて、話、半分にしか聞いてなかったし……)
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