悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!
37話 無敵バリアは無敵じゃない。
37話 無敵バリアは無敵じゃない。
「お察しの通り、私は最低だ。主神でありながら、何もできない。他者に、身勝手な期待を押し付けているだけの無能」
「……そういう自覚があるなら、行動してみたらどうだ? それだけの力をもっているのだから、出来ることは多いだろう」
「これだけの力しか持っていない。だから、私には何もできない」
「……なんか、禅問答みたいだな……非常に生産性の低い無意味な時間だ……」
センは、ボソっとそうつぶやいてから、
改めて、
正式な武を構えて、
「状況は、さほど理解できていないが、しかし、俺が何を言おうと、あんたの殺気がおさまることはないってことだけは理解できた。なんで、俺に対して、そこまでの圧力をかけてくるのか知らんが、普通に腹立つから、返り討ちにさせてもらう。パワハラには肉体言語で対応するのが俺の流儀。あんたは強いが、しかし、それがどうした、と言いたい。俺より強い程度の雑魚に、俺は負けない」
自分を鼓舞するように、
お決まりの言葉を口にしてから、
「いくぞ、グリム。殺してやる」
そう言って、センは飛び出した。
別に、グリムを殺す気はないのだが、
しかし、向こうが自分を殺そうとしてくるのであれば、話は別。
殴られたら殴り返す。
殺されそうになったら、殺してでも相手を止める。
それがセンの流儀。
「神速閃拳っ!」
様子見のジャブで挨拶。
相手がどう動くかを見るためだけの一手。
そんなセンの一手に対し、グリムは、
「――なるほど、非常に美しい」
惚れ惚れしながら、センの神速閃拳を、軽やかに受け流し、
「積み重ねてきたのが伝わってくる。真摯に、健気に、ひたむきに、懸命に、きまじめに、熱心に、愚直に、がむしゃらに、律儀に、盲目的に、一心不乱に――」
無数の言葉を重ねて、
センの軌跡を表現・理解しようとして、
けれど、
「どんな言葉でも届かない。言葉には収まらない器。君を理解するのは難しい」
「会って数分で全部理解できるほど底の浅い人間はそうそういねぇだろ」
そんな、からっぽの言葉で場を濁しつつ、
センは、ギアをあげて加速する。
俊敏さに拍車をかけて、
グリムの死角を奪い取る。
磨きぬいてきた驚異的な戦闘力は、
グリムの意識を追い越した。
「どらぁああ! 閃拳!!」
グリムの死角にもぐりこんだセンは、
魂魄を込めた一撃を放つ。
――けれど、
「……っ……てめぇも、無敵バリアを使ってんのかよ……っ」
「別に無敵ではない。ドリームオーラに特殊なカスタムを施した裏技。真理の迷宮内で、管理者権限を持つ者だけが使えるチート。つまりは、限定的強化版ドリームオーラ。それだけの話」
「めちゃくちゃ強い上に、限定的とはいえ無敵とか……もう、えぐいな、おい。なんで、そんなハチャメチャなチーターぶりを発揮しておいて、『俺に勝てない』とか思うんだ? バカなのか? 普通に勝てるだろ。というか、勝てないとヤバいだろ、いろいろな意味で」
「無敵ではない。『オメガバスティオン』ならば貫通できるし、単純に、私のデータ許容量を超える一撃は処理できない」
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