悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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93話 鍛錬ハイ。


 93話 鍛錬ハイ。

「もう『二か月』も闘い続けているんだぞ! 流石に、もういいだろう!」

「ははっ。たかが二か月で、何を弱音はいてんだ。こっちは、初日の段階から、『あ、これ、年単位コースだな』と覚悟していたぞ」

 センは、ラリったような笑顔で、

「そのぐらいの覚悟もないのに俺の相手をしようなんてチャンチャラおかしい。俺をナメすぎ。本気で俺の相手をしたかったら、最低でも万年は殴り合い続いける覚悟を固めてくれないと。そのぐらいの覚悟を決めて、ようやくスタート台にたてるんだよ、わかったかい、君ぃ」

 などと、狂気的なことを口にする。
 実際、センは、そこからも、延々に戦い続けた。

 もちろん、センは、ずっと負け続けている。
 まったく勝てる兆(きざ)しはない。
 センは、ずっと、
 『ただひたすらに負け続ける』という地獄と向き合い続けている。

 しかし、はためには、『負けている側のセン』よりも、
 『勝ち続けているルースー』の方が、
 はるかに疲弊しているように見えた。

「もう勘弁してくれ……いったい、いつまで戦うつもりだ……」

「勘弁してくれ、という割には、お前、闘いの精度が変わっていないな。疲れている風には見えているが、しかし、実質的には『疲れ』を感じていないんじゃ……もしかして、お前って、自動迎撃システム的なあれか?」

「そ、そうだ。私はアリア様が誇る自動迎撃システムの一つ。私の疲弊を狙っているのであれば、それは無駄だ。この空間にいる間、私は、永遠に、同じ練度で反撃し続ける。そういうシステムだからだ。わかったか? わかったら、無駄な抵抗はやめろ。永久に持続する究極超神化7という地獄に抗える者など――」

「助かったよ。お前は、非常に優れたサンドバッグだ。そのまま、精度を保ち続けてくれよ。究極超神化7が切れたお前を倒しても意味はない。マックス状態のお前を乗り越えてこそ、俺は、一歩先の俺に出会える」

「……」

「さあ、今の俺を置き去りにしよう。そのためには、まだまだ磨く必要がある。お前のおかげで、少しだけ見えてきた。俺はまだ飛べる。もっと飛べる」

 鍛錬ハイになっている変態。
 そんな変態の相手をしなければいけないという地獄を前にして、
 ルースーは心の底からゾっとした。
 『逃げたい』と、素直に思ったが、
 しかし、ルースーは、自分で言っていた通り、
 『自動迎撃システム』の一つなので、
 決して、ここから逃げ出すことはできない。

 どれだけ怖くても、
 どれだけしんどくても、
 彼は、センエースの相手をしなければいけない。

 永遠に、
 淡々と、
 無限に。

「ひ、ひぃ……」

 勝っているのは、ずっとルースーの方なのだが、
 しかし、恐怖を顔ににじませているのも、また、
 ずっと、ルースーの方だった。

 ルースーは、まだまだ付き合わされる。
 センエースという永遠の地獄に。

「ルースー。少しだけ見えてきたぞ、お前の動き。ランダムに見えて、特定のパターンがある……と思わせておいて、そのパターンがランダムで決まる、そうだろう?」

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