悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

66話 フレーム単位の理解。

 66話 フレーム単位の理解。

「ようやく5000周目のはじまり。ここから、また一段と、過酷になっていくわけだが……はたして、我らのセンさんは耐えられるかね」

「さすがに折れるんじゃないかなっ♪ さすがのセンさんでも、もうそろそろ限界だと思うよっ♪ いくら稀代の英雄でも、さすがに、そろそろ無理がたたって壊れちゃうと思うねっ♪」

「お、じゃあ、賭けるか? 俺は、折れない方に賭ける」

「じゃあ、ボクちゃんは、折れる方に、どーんと、1ペリカ賭けるよっ♪」

「いっさい賭ける気がねぇ金額だな」

 そうつぶやいてから、
 マザコン熾天使は、煽り厨の殺神に視線を向けて、

「あんたはどう思う?」

 聞かれた煽り厨は、
 即答で、

「センエースは折れないよ」

 と言い放つ。

「……なんで、そう言い切れる?」

「センエースが折れないというより、センエースの裏閃流は、そう簡単に折れないと、俺は知っている、って感じかな」

「だから、その理由は?」

「俺は間違いなく一般人だけど、少しだけ壊れた部分があって、それは、繰り返すことができるという『欠損』だ。俺は、『殺神拳』という武術を、繰り返すことで磨いた。アホウのように、自分に使える時間の全部を賭して磨き上げていった。一時期、狂ったように、包丁を研ぐことだけに必死になっていた時期もあったけど、あの時期以外の人生の、ほぼ全てを、俺は、殺神拳の研鑽に費やした」

 繰り返した。
 ただひたすらに。

 コマンドを入力し続けた時期と、
 実際に拳を振るい続けた時期。

 どちらにも共通しているのは、
 イカレたように『繰り返し続けた』ということ。

 フレーム単位の理解を求めて、
 彼は、自分の命を殺神拳にささげた。

 その狂気の『強さ』を、彼は知っている。
 だから、

「センエースが積み重ねてきた『質量』は、俺が積んできたものを遥かに超えている。俺の10倍、100万倍、1000億倍。だから、負けるわけがない。いや、負けるわけがないと思いたい。結局のところは、それだけの話だよ」

 まっすぐにセンを見据えて、そうつぶやいた煽り厨。

 その、あまりにもまっすぐな目を見たマザコン熾天使は、

「……そんな目ができる一般人は存在しねぇ」

 ボソっと、そうつぶやいた。



 ★



 ――目が覚めた時、
 センは、バキバキの違和感を覚えた。

 これまで、5000回も繰り返してきたから、
 ほんの小さな変化でも見逃すことなく受け止められる。

 そんな、タイムリープソムリエになったセンの前に、
 今回、差し出されたのは、ワインですらなかった。


「え、どこ……ここ……」


 そこは、知らない部屋だった。
 似たような感じではあるのだが、
 明らかに違う部屋。

 整頓のされ具合と、簡素さと、所有している娯楽物の系統は同じ。
 ただ、間取りが明らかに変わっている。

 『同じ人間が、別の部屋に引っ越した』。
 と表現するのが、おそらく、最も適切。

 そんな状況下で、
 センは、

「……図虚空はある……銀の鍵も……」

 図虚空を召喚することができた。
 勉強机の上に、銀の鍵もある。

 引継ぎ要素をあらかた確認しおえたところで、

「……で、ヨグシャドーよ。これは、どういう状態だ?」

 と、おそらく理由を知っているであろう、
 図虚空の中にいる神の影に尋ねる。

 すると、

「銀の鍵は、すべてがすべて、完全な逸品ではない。中には、バグったゴミが混じっていることもあるさ」

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