悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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54話 タイムリーパーはかく語りき。


 54話 タイムリーパーはかく語りき。

 ――翌日の朝。
 主体性遠足の日。

 巨大リムジンの中で、
 センは、ヒロインズから質問攻めを受けた。

 右隣には薬宮トコ、
 左隣には紅院美麗、
 正面には茶柱罪華。
 その隣に黒木愛美。

 両手に華どころか、華の四刀流。
 逃げ場のない美少女地獄の中心で、センは、

「いちいち説明するのも面倒だ。てめぇで勝手に想像しろ」

 と、いつものテンプレカウンターで、彼女たちのおしゃべりを封殺しようとするが、しかし、ワガママが服を着て歩いているような彼女たちに、ぬるいテンプレなど通じるはずもなく、怒涛のような質問攻めは、結局、最後の最後まで続いた。

 どうでもいいオッサン連中が相手なら、
 気合いで黙らせることもできるセンだが、
 さすがに、彼女たちを覇気地獄で窒息させることはできない。

 なんだかんだ、センは、彼女たちに対して、
 非常に強い好意と愛着を抱いている。

 ゆえに、

(……う、ウザすぎる……)

 アウターゴッドたちとの死闘でも浮かべないような死に顔で、
 センは、窓の外を流れていく空を見つめていた。


(……例える言葉も思いつかねぇ……)


 疲れ切って辟易しているが、
 しかし、まだ、遠足ははじまったんばかり。
 今日という日は、スタートを切ったばかりである。


 ★


 高級スパ『月光』に向かおうとするムーブを、
 センは、全力で否定した。

「……月光には行くな。なぜか? いったら、全滅エンドを迎えるタイミングが少し早くなるんだよ。オメガタワーに向かえば、夜のターンを稼げる。俺はアイテムを探したい。俺の邪魔はするな」

 冗談の要素が一ミリも込められていない『強い目』でそう命じられてしまえば、彼女たちも従わざるをえない。

 結果、普通に、当初の予定通り、
 オメガタワーへと向かった一行。

 300人委員会の計らいで、
 このリムジンが信号に引っかかることはないので、
 ストレスフリーの最短ペースでオメガタワーに到着。

「……さて、それじゃあ、市長の接待は、黒木に任せる。色々と、食事だ歓談だと誘ってくるが、全部断れ。容赦なく、全拒否しろ。他の面々は、すぐに帰れるように、リムジンの中で待機。その間、俺は、オメガタワーの管理人に会いにいく」

 たんたんと、オメガタワー内での行動を命令してくるセンに対し、
 紅院が、

「……別に、あなたの指示に従うのは構わないのだけれど、簡単に説明ぐらいはしてくれない?」

「俺は、これまでのループで、このオメガタワーには、1000回近くきている。その間、色々な行動をとって試してみたんだが、さっき命じた行動以外のルートをたどると、帰りのリムジンの中で幻爆が舞ってしまう。――なぜか知らんが、『俺が、一人で、ここの管理人に会う』という過程を踏めば、幻爆が舞うタイミングは深夜までズレる。管理人と少し話をして、深夜まで全滅エンドのタイミングを伸ばしたら、そのまま、とんぼ帰りで、学校に帰り、全員で、『銀の鍵』を捜索。夜になって、アイテムが沸くようになったら、そのままアイテムを探索し、リミットがきたら、銀の鍵で飛ぶ。以上だ。質問は受け付けない」

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