悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

44話 他人のポ〇モンはゲットできない。


 44話 他人のポ〇モンはゲットできない。

(……こいつだけならまだしも、明日はウムルで、明後日はツァールとイグ……しんどぉ……それも、一周ならともかく、これから、ずっと……マジかぁ……)

 未来を想像して、泣きたくなるセン。

「ギギギィ!」

 暴走して突撃をかましてくるロイガーに、
 センは、丁寧な呼吸でカウンターを合わせる。

 大ダメージが入るが、まだ死んでくれない。

(初期のモンハンを思い出すねぇ……無駄にHPが高くて、なかなか死なねぇ……いや、なかなか死なないのは、最新作でも同じか……俺、嫌いなんだよなぁ、倒すのに時間がかかる系の敵……)

 アウターゴッド級となったロイガーの生命力は膨大。
 それでも、



「――うらぁああああ! 深淵閃風!!」



 センが丁寧に、

「神速閃拳!」

 丁寧に、

「龍閃崩拳っっ!!!」

 凶悪な必殺技を叩き込み続けることで、
 どうにか、

「ギギ……ィイ……」

 バタリと倒れこんだロイガー。

 ようやく倒せたと理解したセンは、

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 自身も、その場にバタリと倒れこんで、

(……ぃ、いや、倒せるけど……きっつぅ……いやいや、今後、これをずっと? 毎回、毎回、このしんどさでループ? 嘘だろ? マジで言ってんのか?)

 まるで、『大学卒業後の新社会人が、勤務初日を終えた直後』のように、
 『これが、ずっと続くのか』という暗澹たる思いに押しつぶされそうになるセン。

 これまでのループも、もちろん、しんどかったのだが、
 特殊事案を除いて、後半は、『脳死作業』の連続だったので、
 心を殺すことで、どうにか、流れに乗ることができた。

(しんどい……しんどいぃ……体が重いぃぃ……)

 全力かつ全開で動き続けたことで、
 体がナマリのように重たい。

 センが、あまりのしんどさから動けずにいると、
 そこで、ロイガーの肉体が、粒子状になって、
 センの中へと注ぎ込まれていく。

(……あ、くそ、経験値になっちまった……眷属にしたかったな……)

 などと、心の中で思っていると、
 そこで、ヨグシャドーが、テレパシーで、

(やつらを貴様の眷属にすることはできない)

 などと、そんな風に声をかけてきた。

(……え、なんで?)

(他人のポ〇モンを捕獲できるか?)

(……バグを使えば、たまにできるバージョンもあるが……)

 などと、軽いノリで返しつつ、
 頭の奥で、

(……あいつらは、既に誰かの手持ちってことか……でも、トレーナーを殺して、強制的に野生へと戻せば……)

 などと考えていると、


「あんた……誰……?」


 静かな夜の中心で、
 薬宮トコが、
 センの背中に、そう声をかけた。

 心底からの疑問があふれ出た感じ。

 その問いかけに対し、センは、

「……さっき言っただろう。俺は、どこにでもいる普通の高校生だ。こんにちは」

「時間帯的には『こんばんは』が正しいにゃ! 日本語は正しく、美しく使ってほしいにゃ!」

 と、テンション高めに、そんなことをほざいてくる茶柱に、
 センは、渋い顔で、

「語尾に『にゃ』をつけているやつにだけは言われたくねぇな」

 と、華麗に切り返していく。

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