悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

42話 ……まるで成長していない……


 42話 ……まるで成長していない……

「……なるほど……あくまでも、道中の敵が強くなるだけか。なら、押した方がいいか……んー、いや、どうだろう……ぶっちゃけ、もう、これ以上、人生の難易度を上げたくないんだけどなぁ」

「言っておくが、銀の鍵は無限ではないぞ」

「……ん?」

「この学園には、膨大な量の『銀の鍵』が隠されているが、しかし、無限ではない。ある程度、効率を求めてタイムリープをしていかないと詰むぞ」

「……」

「どうするかは貴様しだいだ。しかし、『己の運命をナメない方がいい』とだけは言わせてもらう」

「……実質一択のパターンだったか……はぁ……ただでさえ、ナイトメア・マストダイの難易度で人生やらせてもらってんのに、この上、まだ難易度上げていかないといけないのか……俺の地獄、とどまることを知らねぇなぁ……」

 そうつぶやきつつ、
 センは、

「くそったれが」

 そう吐き捨てて、
 『敵が強くなるスイッチ』を押した。



 ★



 ――その日の夜、
 仮面を装着したセンは、
 校舎の屋上から、彼女たちとロイガーの一幕を見つめていた。

「――イヤなもんをイヤやっていうてるだけじゃ、くそったれ! あいつらを殺されるんはイヤなんじゃ、カス、ごらぁ! おどれごときチ〇カスの成りそこないは、宇宙一の美少女であるあたしのお願いを、黙って聞いとけばええんじゃ、あほんだらぁ! どうじゃい! 実にワガママお嬢様らしいやろう! 悪役令嬢感がエゲつないやろがい! これで、満足か! ブタ野郎!」

「非常に不愉快」

 ロイガーはそう言うと、
 トコから視線をそらしつつ、

「今から、貴様以外を全員殺す。徹底的に痛めつけて、ふみにじる。そのあとで、貴様を殺す」

 そう宣言すると、
 ――一般人『南雲ナオ』を指さし、


「まずは、あそこにいる『カス』から殺す」


 その悪逆非道な殺戮宣言に対し、
 トコは顔を真っ青にした。

 どうにかして止めようと頭を回すが、
 しかし、トコの実力ではどうしようもない。

 深い絶望に包まれた、
 そのタイミングで、



「――流れは完全に同じだな……」



 『仮面&ボイスチェンジャー搭載済みのセン』は、
 彼女たちとロイガーの間に立って、盾の役目を果たしつつ、
 ロイガーを尻目に、ボソボソと、

「強くなっているようには見えない……これまで通りの『カス』のままだと思うんだが……」

 そんなセンの発言に対し、
 ロイガーは、

「……き、貴様、何者だ? どこから……」

 と、極めて当然の疑問を投げかけてきた。
 その問いに対し、センは、

「俺が何者か? ……さぁ、なんなんだろうなぁ……なんか、最近、色々ありすぎて、よくわからなくなってきたんだよ。名前とかは流石に忘れないんだけど、自分が何をどうしたいのか、そういう中心の部分は、ぶっちゃけたところ、だいたいいつもあやふやだ」

 などと、空っぽの言葉を吐きつつ、
 ロイガーに近づいて、

「ほいっと」

 軽めのジャブで挨拶する。

 ボクシングの試合では最初に互いのグローブをトンと合わせるが、
 あれと、だいたい、同じぐらいの感じの、
 ジャブというか、本当に挨拶。

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