悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

81話 外なる神のSAN値を削る一般人。


 81話 外なる神のSAN値を削る一般人。

「貴様は普通に死にかけている。もはや、貴様に未来はない。そこまで損傷してしまえば、我ら三体を処理しきることは不可能」

「厳しいのは事実だな。けど、不可能じゃねぇ」

「不可能だ。その状態では、まともに戦えない」

 そう言い切ってから、ギは、

「しかし、まさか、虫けらをかばって致命傷を負うとは。そこまで愚かだったとは想定外だった。貴様が、それほどマヌケであると知っていれば、ヤイとザリガーを呼ぶ必要はなかった。貴様は大バカ者だ」

「鬼の首を獲ったようなドヤ顔で『俺の頭の悪さ』を指摘してくれているところ悪いが、『俺がバカである』という、そんな当たり前のことに、今まで気づきもしなかった、という、自分の無様さを見つめなおせ。そうすれば、恥ずかしさのあまり自殺したくなること間違いなしだ。できれば、そのまま自殺してくれるとありがたいね。手間がはぶける」

 必死に虚勢をはりながら、
 センは、奥歯をかみしめて、

「理解しろよ、化け物。この程度で終わるほど、俺はぬるくねぇ。この程度で終わるようなら、とっくの昔に死んでいる。俺の軌跡を舐めない方がいい。俺はお前が想定しているよりもはるかにイカれている」

「……そうか。では、見せてもらおうか。貴様の軌跡とやらを」

 そう言いながら、
 ギは、まっすぐに突撃してきた。
 その背中に、ヤイとザリガーも続く。

 もはや、あとは詰めるだけ。
 そう確信している者のムーブ。

 ――まだ、センから多少の反撃はくらうだろうが、こちらが削り切られることはない。
 このまま数の暴力で圧殺できる。

 相手の思考が、透けて見えるようだった。
 極限状態の底で、
 集中力がさらに研ぎ澄まされたセンは、
 まっすぐに、三体のアウターゴッドを見つめながら、

「この程度じゃ、まだ足りねぇよ」

 ボソっと、センは、
 ニタリ笑みを浮かべつつ、

「俺を絶望させたかったら、もっと追い詰めないと話にならねぇ。スーパーセンエースやヨグシャドーにボコられた時をおもえば、この程度は想定の範囲内レベルの絶望にすぎねぇ。いや、もはや、絶望とも呼べねぇな」

 などと、常人の視点では、何を言っているのかサッパリ分からない戯言を吐きながら、センは、三体のアウターゴッドと正面から向き合う。

 ボロボロの状態で、
 息も絶え絶えになりながら、
 しかし、それでも、センは、
 あろうことか、
 ゾーヤたちの盾としての仕事も完璧に果たしつつ、
 三体のアウターゴッドと互角にやり合う。

 ――戦いは終わらなかった。
 ――この戦いはまだ詰んでいなかった。

 三体のアウターゴッドが、センを詰めて終わりのはずだったが、
 しかし、センは、その現実に対し、豪快に抗った。

「き、貴様、異常すぎるぞ!」

 ギは、センエースという狂気にドン引いていた。

 死に掛けの虫けらが、
 三体の外なる神に抗い続けるという、
 この異常事態が、ギの魂魄を恐怖させた。

 いつだって、神話生物の方がSAN値チェックを受けてしまう。
 それが、センエースクオリティ。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品