悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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73話 アウターゴッドを装備しているヒーロー。


 73話 アウターゴッドを装備しているヒーロー。


「――ヒーロー見参――」


 突如、ゾーヤ目の前に現れた男。

 ――瞬間移動で、ゾーヤの目の前に登場したヒーローは、
 『英雄としての覚悟』を宣言した直後、
 全身の魔力とオーラを結集させて、


「異次元砲ぉおおおおおおおおっっ!!」


 強大な魔力とオーラをひねり上げて、
 ギが放った異次元砲に合わせてみせた。

 両者の間で衝突した二つのエネルギー。
 バチバチと、不穏な音を世界に刻み込む。
 ぶつかりあっている異次元砲は、どちらも、同じぐらいのエネルギー量なので、拮抗していたのだが、

「どっせぇえええいっっ!!」

 ヒーローが、さらに覚悟の燃料を投下したことで、


「――むぅっ」


 テキトーに撃っただけのギの異次元砲では耐えきれなくなり、
 ギは、異次元砲の撃ち合いを放棄してエネルギーを収束させる。

 異次元砲のフタがなくなったことで、
 ヒーローの異次元砲は、止まり方を見失った暴走列車のように、
 ギの体に襲い掛かった。

 避けることも出来なくはなかったが、
 アウターゴッドの矜持から、
 ギは、ヒーローの異次元砲を正面から受け止める。

「ぐぅう……ぬっ」

 かなりの高出力だったが、
 しかし、アウターゴッドであるギが耐えられないほどではなかった。

 最後まで、ヒーローの異次元砲を受け止めきったギは、

「……ふぅぅぅ」

 少し深く長い呼吸で、自身の生命力を整える。
 自動回復量がハンパない生命力特化型であるギ。
 少しだけ受けたダメージは、すぐに全快する。

 その様を見て、ヒーローは絶句する。

「えぇ、うそぉん……今の異次元砲、かなり出力上げて撃ったのに……てか、『これで死んでくれぇ』って気持ちで撃ったのに……まさかのノーダメ……いや、ノーダメ風を装っているだけで、ちょっとはダメージを受けているよね? 自動回復では補えない芯に刻まれたダメージを、多少は受けてくれましたよね?」

「人間に見えるし、核は間違いなく人だが……しかし、貴様、ただの人間ではないな。アウターゴッドの神気を感じる……何者だ?」

 ヒーローの問いかけを完全シカトして、
 ギは、ヒーローに対する疑問符だけを口にする。

 空気が読める子であるヒーローは、
 このまま自分が問いかけ続けても無意味だと悟り、

「……アウターゴッドを倒して眷属にしてアイテム化して装備している者です。こんにちは」

「アウターゴッドを倒した? 人間が? ふざけるな」

 吐き捨てるようにそう言うギ。

 ――と、そこで、それまで呆けていたゾーヤが、
 ヒーローの背中に、

「あなたは……センエース……か……?」

 彼の名前を呼びかける。
 確信のある疑問。
 ゾーヤは、英雄の顔を知っている。
 写真は何度も見た。

 ゾーヤの呼びかけに、
 英雄は胸を張って応える。

「ああ。量産型汎用一般人センエースさんとは、まさに俺のことだ。どうだ? どこにでもいそうだろう? 俺ほど平均的な凡庸高校生はそういない。『どこにでもいる普通の高校生』が主役をやるタイプのラノベで、『主役』と『モブ』の両方を張れるほどの器の持ち主だ」

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