悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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35話 1000本目も耐えたとしたら、


 35話 1000本目も耐えたとしたら、

「ぎぃいいいいいいいいいいいいいいっっ」

「ハッキリ言おう。ここまで耐えられているのが奇跡だ」

 なんで耐えられているのかわからない、
 そんな極限状態で、センは、

「くそったれがぁああああああ!」

 極限の向こう側をこじ開けて、
 ヨグシャドーの異次元砲に、


「――閃拳っっっ!!!!!」


 全力の全力を込めた拳を叩き込む。
 中心に一撃をもらった異次元砲は、
 一瞬で蒸発する水のように、
 端から綺麗に消えていった。

「はぁ……はぁ……ひぃ……」

 荒れた呼吸で倒れこむセン。
 もはや、指一本たりとも動かすことは難しい。

 その様子を見て、さすがに、トコも『大丈夫?』とは聞けなかった。
 死んでいる人間に『今、死んでます?』とは聞かない。
 ここまで『見ればわかる状態』だと、さすがに確認する気はおきなかった。

 だが、それは『ギリギリ常識が残っている美少女』の視点で、
 常識のカケラもない美少女――茶柱さんは、当然のように、

「はい、あと998本! がんばってぇ! ファイトにゃー」

 と、イカれたコトをほざき散らかす。

「はぁ……はぁ……いや、あのさ……あの……えっと……」

 言いたいことは山ほどあるが、
 しかし、だからこそ、うまくまとめることができなかった。

 そんなセンに、

「もう無理なのかにゃ?」

 無慈悲な質問を投げかける。
 彼女はごまかさない。
 彼女だけは、『今』を、『なぁなぁ』にしない。

「……」

 だまりこくったセンに、
 茶柱は、
 スン……と、
 いつものニヤけ顔から、
 無表情へとシフトチェンジして、

「なら、もういい」

 と、真摯な口調で、

「ていうか、やりすぎ……なんで、そこまで出来るの? 意味がわからない」

 いつものおふざけテンションを殺しつくし、

「……もういい……あんたは、もう十分、闘ってくれた。いろいろ、よくわからないけれど……あんたが、死ぬほど頑張ってくれたことだけは、頭おかしくなるほど伝わった。だから……」

「……」





「だから、もういい」





 そんな、茶柱の言葉を受けて、
 センは、

「……くそが……」

 一度、ボソっと、そうつぶやいてから、
 ヨグシャドーに視線を向けて、

「なぁ……一つ、質問いい?」

「好きにすればいい。答えるかどうかは、また別の話だが」

「……この地獄って、1000本で終わる? あんたの異次元砲に、1000回たえたら……世界を終わらせずに、帰ってくれる?」

 その質問に、
 ヨグシャドーは、
 数秒をかけて、
 ――答える。

「いや」

 首を横に振ってから、

「ありえない話だが、もし、仮に、貴様が1000本耐えたとしたら、その時は、当たり前のように、1001本目を撃ちこむ。それだけの話だ」

「……はは……」

 センは、力なく笑ってから、

「ふぅぅぅぅぅぅ……」

 深く息を吐いて、

「まったく……くそが……どんだけ終わってんだよ、俺の人生……」

 自分の人生に対して、
 本気の文句を口にしてから、

「さぁてと……そんじゃ、まあ……3本目、いってみようか……」

 などと言いながら、
 センは両手を広げてみせた。

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