悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

23話 稀代の大ウソつき。


 23話 稀代の大ウソつき。

「アダムに一発をカマしてみせた……その器量はすさまじいが、しかし、『それが出来るだけの器がある』と理解していれば、対応は可能。これは油断どうこうの話ではなく、『初見殺しは、初見しか通じない』という、単純なメカニズムの話」

「アダムに対する閃拳は、別に、初見殺しとかじゃないんだが?」

「このパターンにおいて、お前が『どう思うか』はどうでもいい」

 そう言いながら、
 スーパーセンエースは、
 ほとんどセンに触れることなく、
 サラリと、

「あらよっと」
「っっ?! ぅえ、どっわぁああ!」

 華麗な空気投げを決めてみせた。

 地面にたたきつけられたセンは、

「ぐっ……ぬぃい……」

 背中の激痛に耐えながら、
 奥歯をかみしめつつ、


「……ぅ、ウソつきやろう……」


 ボソっと、そうつぶやいた。
 そんなセンの発言に対し、
 スーパーセンエースは、小首をかしげて、

「ウソつき? それは、誰に言っている? まさか、俺に言っているのか? 確かに、俺は、これまでの人生において『英雄という地位を騙りつくしてきた』というスーパー害悪経歴を持つ『稀代の詐欺師』だが、しかし、お前に対して、何か、悪質な嘘をついたという認識はないのだが?」

「……『アダムが、てめぇを超えること』なんざ、ありえねぇだろ。てめぇの強さは、アダムとは違う次元にある……」

 センは、スーパーセンエースの目を睨みながら、

「アダムの武には、矯正必須のゆがみがあった。ぬぐいきれないアマさとヌルさ。俺は、そこをついて、一発カマしたが……てめぇには、そういうスキがねぇ。いったい、どれだけ積み重ねたら……どれだけの絶望を乗り越えたら、その領域にいける……」

 その問いに対し、
 スーパーセンエースは、
 ニっと、誇らしげに笑って、



「200億1万200年プラスアルファを重ねることで、『命』は、スタートラインに立てる」



「……なんだ、そのしまりのない端数は……200億年でいいだろ。……つぅか、200億て……盛りすぎだろ。もっとリアリティを追求しろ。アホか、アホなのか?」

「お世辞にも頭がいいとは言えないな。最高効率を求めれば、きっと、もっと短い時間で、スタートラインには立てた。けど、俺は不器用なおバカさんなんでね。これだけの時間を必要としてしまった。どこぞの『ド天才な関西弁のイニシャルT』なら、もっと簡単に、もっと短時間で、もっとスマートに、スタートラインまでたどり着けるんだろうが、俺は、あいつと違ってマジの無能なんでね。――これまで、無駄な時間を、いっぱい重ねてきた。非効率で愚鈍な道のり。けど、『無駄な時間』が、俺にとって『無駄だったか』と言えば……それは、それで、また、きっと違うんだ」

「……お前の言葉は、基本的に、何を言っているか分かんねぇ。錯乱しすぎなんだよ。スタートラインじゃなく、ゴールラインだろうが。なんで、そんだけ時間をかけて、スタート地点に戻ってんだよ。メビウスの輪か」

「戻ったんじゃねぇよ。たいていの命は、スタートラインにすら立てていないという、ただの哀しい話だ」

「悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く