悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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5話 肉体美。


 5話 肉体美。

「ニャル……一つ聞きたいんだが……もしかして、お前は……アウターゴッドか?」

 センが真剣な目で、そう尋ねると、
 ニャルは、イタズラな笑みを強めて、

「もちろんさ。そんなものは聞くまでもないことだろう? 見てごらんよ、この『力こぶ』のボリュームを」

 などと言いながら上腕二頭筋の盛り上がりを見せびらかしてくる。
 細腕の割に、まあまあ筋肉がついているが、筋骨隆々というほどではない。
 『質の高い細マッチョ』という評価が精々。

「これほどの肉体美を誇る僕が、GOOなワケないだろう」

「……筋肉の量で言えば、ロイガーの方が、圧倒的に上だと思うんだが……」

「きみは実にバカだな。救いようがない。日本中が君のレベルに落ちたら世界は終わり……と言っても過言ではないほど、きみの知性は地を這いずり回っている。あえて言おう、カスである、と」

「愚鈍で申し訳ない……ところで、ちなみに、なぜ、俺が、そこまで侮蔑されているのか、理由をうかがってもよろしいか?」

「理由などないよ。僕は、基本、解き放たれた自由なおしゃべりで、この身を熱く焦がしているだけだから」

 中身のない言葉でケムにまく。
 その姿勢にも既視感を覚えるセン。

 ――あまりにもフワフワとした現状に対し、
 不快感を超えて困惑が止まらないセン。

 そんなセンに、ニャルは、ニタニタと微笑みながら、

「ちなみに、セン。君は、どうして、僕のことを『アウターゴッド』だと思ったのかな? その理由を三文字でどうぞ」

「さすがに、文字制限が足りねぇよ。この状況を三文字で表現しきれるほどの文才なんざ、俺にはない」

 と、軽く前を置いてから、

「……わからない……正直、あんたが『どのぐらいの存在』なのか『見ただけ』では、さっぱりわからない……『だからこそ』、という側面もなくはないんだろうけど……でも、それがメインの理由ではなく……もっと、抽象的な……『なぜだか、そうとしか思えない』という謎の感情に支配された……みたいな感じだ」

「ふふん、さもありなんっ! なんせ、纏っているオーラの質が違うからね。そこらの神格とは、コクとキレとホップが違う。僕はアウターゴッドの中でも、最高にして最強の邪神。この世には、『ニャルより上だと言われている邪神』が何体かいるけど、その手の噂は全部デタラメ。『ヨグのオッサン』も『シュブのBBA』も、僕がその気になれば、ワンパンさ」

「……そうですか」

「あ、信じていないな? よし、じゃあ、証明してあげよう。何か、願い事を言ってみなよ。どんな無理難題でも、完璧に叶えてあげる」

「……え、マジで?」

「もちろんさ。僕は、肥大した自己顕示欲を満たすためなら、相当に結構な無茶ができるという、イカれた自意識のバケモノだからね」

「……その自己紹介に対しては、思うところがいくつかあるが……」

 と、前を置いてから、

「俺の願いを、本当に叶えてくれるのであれば、俺は、あんたを、最高の神として崇め奉らせてもらう」

「いいねぇ! 自己顕示欲がビンビン満たされる目だよ! さあ、願いを言うがいい! 究極にして無敵にして素敵指数が天元突破しているこの僕が、どれだけ無茶な願いであろうと、秒で叶えてあげよう!」


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