悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!
30話 強くてニューゲーム。
30話 強くてニューゲーム。
「今日は、5月17日。つまり、今は、あなたが、ロイガーを殺した日の朝です」
「……ほう……マジすか……」
そこで、センは、デジタル目覚ましに視線を向けて、
今日の日付を確認した。
「……ああ、確かに……」
「記憶が過去に戻った、と考えるのが妥当でしょう。それも、おそらく、私とあなたの記憶だけ」
「……ほかの人の記憶は戻っていない?」
「同僚何人かに確認をとりました。誰も『自分が一度死んだこと』『過去に戻ったこと』を自覚しておりません」
「……ほう」
返事をしながら、センは、そこで、
「……図虚空、いるか?」
呼びかけてみると、
当然のように、禍々しいナイフが、
センの手の中におさまった。
「……記憶だけじゃなく、アイテムも引き継げたみたいだな……『強くてニューゲーム』だ」
「私の方では、記憶以外に、何も引き継げておりません。紅院正義の死体から抜き取ったスマホやカギなんかも全てなくなっていますし」
「引き継げるのは、特殊アイテムだけか……」
などとつぶやきつつ、
センは、頭をまわし、
「……今日の夕方、時間をつくれるか? 話がしたい」
「私としては、今すぐに会って話がしたいのですが?」
「今日一日を過ごしてみて、何か変化がないか調べたい。その結果を報告し合うことにしよう」
「……了解しました」
カズナが素直に返事をしたのを聞いてから、
センは電話を切った。
★
「ミレー、珍しいなぁ。あんたが遅刻してへんとか、どんな奇跡?」
「トコ。私は生まれてこの方、遅刻なんてしたことないわ」
教室の片隅で、
センは、有象無象に紛れ、完璧なモブと化し、
紅院達の会話を聞き流しながら、
センは、自分の後ろの席に視線を向ける。
そこに座っているのは、
『蓮手』ではなく、
『反町(そるまち)』という、ほどよく日焼けした男子生徒。
(知らんやつに変わっているな……だが、そのことについて、誰も指摘しないということは……)
心の中でつぶやきつつ、
センは、反町の方に振り返り、
「俺達って友達?」
そう質問すると、
反町は、怪訝そうな顔で、
「はぁ?」
と、聞き返してきた。
「単純な質問だ。俺とお前は、友達関係と呼べるくらいに、会話を交わしたことがあるか? あくまでもお前の主観でいい」
「……いや、俺、お前と、あんまり喋ったことないから……友達ではないんじゃない?」
「そうか。わかった。じゃあ、二つ目の質問。お前、このクラスに、友達、何人いる?」
「……なんで、そんなことを答えないといけないんだ?」
「当然の疑問だな。理由は――『興味本位』だ。それ以上でも、それ以下でもない。ムリヤリに理由らしきものを偽造するなら、お前がクラスメイトで、誰よりも席が近いからだ。いわゆる一つの雑談というやつだな」
「……」
「さっさと答えろよ。こっちは色々と、切羽詰まっているんだ」
「……高校生活で、切羽詰まることなんてあるか?」
「あるんだよ。残念なことに」
「……どうやら、お前は、非凡な人生を送っているようだな」
「非凡というより悲惨な人生を送っている。というわけで……というのもおかしな話だが、とにかく、さっさと質問に答えてくれ」
「今日は、5月17日。つまり、今は、あなたが、ロイガーを殺した日の朝です」
「……ほう……マジすか……」
そこで、センは、デジタル目覚ましに視線を向けて、
今日の日付を確認した。
「……ああ、確かに……」
「記憶が過去に戻った、と考えるのが妥当でしょう。それも、おそらく、私とあなたの記憶だけ」
「……ほかの人の記憶は戻っていない?」
「同僚何人かに確認をとりました。誰も『自分が一度死んだこと』『過去に戻ったこと』を自覚しておりません」
「……ほう」
返事をしながら、センは、そこで、
「……図虚空、いるか?」
呼びかけてみると、
当然のように、禍々しいナイフが、
センの手の中におさまった。
「……記憶だけじゃなく、アイテムも引き継げたみたいだな……『強くてニューゲーム』だ」
「私の方では、記憶以外に、何も引き継げておりません。紅院正義の死体から抜き取ったスマホやカギなんかも全てなくなっていますし」
「引き継げるのは、特殊アイテムだけか……」
などとつぶやきつつ、
センは、頭をまわし、
「……今日の夕方、時間をつくれるか? 話がしたい」
「私としては、今すぐに会って話がしたいのですが?」
「今日一日を過ごしてみて、何か変化がないか調べたい。その結果を報告し合うことにしよう」
「……了解しました」
カズナが素直に返事をしたのを聞いてから、
センは電話を切った。
★
「ミレー、珍しいなぁ。あんたが遅刻してへんとか、どんな奇跡?」
「トコ。私は生まれてこの方、遅刻なんてしたことないわ」
教室の片隅で、
センは、有象無象に紛れ、完璧なモブと化し、
紅院達の会話を聞き流しながら、
センは、自分の後ろの席に視線を向ける。
そこに座っているのは、
『蓮手』ではなく、
『反町(そるまち)』という、ほどよく日焼けした男子生徒。
(知らんやつに変わっているな……だが、そのことについて、誰も指摘しないということは……)
心の中でつぶやきつつ、
センは、反町の方に振り返り、
「俺達って友達?」
そう質問すると、
反町は、怪訝そうな顔で、
「はぁ?」
と、聞き返してきた。
「単純な質問だ。俺とお前は、友達関係と呼べるくらいに、会話を交わしたことがあるか? あくまでもお前の主観でいい」
「……いや、俺、お前と、あんまり喋ったことないから……友達ではないんじゃない?」
「そうか。わかった。じゃあ、二つ目の質問。お前、このクラスに、友達、何人いる?」
「……なんで、そんなことを答えないといけないんだ?」
「当然の疑問だな。理由は――『興味本位』だ。それ以上でも、それ以下でもない。ムリヤリに理由らしきものを偽造するなら、お前がクラスメイトで、誰よりも席が近いからだ。いわゆる一つの雑談というやつだな」
「……」
「さっさと答えろよ。こっちは色々と、切羽詰まっているんだ」
「……高校生活で、切羽詰まることなんてあるか?」
「あるんだよ。残念なことに」
「……どうやら、お前は、非凡な人生を送っているようだな」
「非凡というより悲惨な人生を送っている。というわけで……というのもおかしな話だが、とにかく、さっさと質問に答えてくれ」
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