悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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16話 終焉の呪縛。

16話 終焉の呪縛。

「さっさと正体を見せよ」

そんなウムルの発言に対し、
センは、困惑をあらわに、

「しょ、正体も何も……俺は俺以外のナニモノでもないんですが……」

「この期に及んでシラを切り通せると本気で思っているわけでもあるまい? さっさと……ん、いや、待て……貴様……まさか、本当に人間なのか?」

ウムルは、
センの全てに目を通す。

頭のテッペンから、つま先まで。

どれだけ優れたフェイクオーラで身を包もうと、
神独特の『質』を消すことは出来ない。
オーラの数値をごまかすことはできても、
根本の厚みを偽ることは不可能と言ってもいい。

何より、

「貴様が、今、私に抱いている、その『畏れ』は、人固有の感情……神が神に対して抱く情動ではない……」

絶対的所見ではない。
だが、それは、おおよそ『誤り』たりえない鑑別手段。

「人間だというのか……なぜ……どうして、人間が……いや、ありえない! それほどまで『高い次元』で『神闘』をきわめている人間など、ありえるはずがない」

そこで、ウムルは、

「っ?!」

ハっとした顔になり、

「まさか『終焉の神呪』か? ……だとしたら……」

何かをブツブツとつぶやきながら、
センから、半歩分の距離をとる。

「正解が見えないな……私がとるべき最善手は……世界が求める最上の因果は……」

深い悩みの海に溺れているウムルを横目に、
センは、茶柱に、

「なんかよくわからんが、ウムルさんがお悩みあそばされている今がチャンスだ。さっさと逃げろ」

「そんなこと言って、実のところは、昨日と同じで、楽勝なんじゃないのかにゃ? センセーの強さは、ケタが違うからにゃぁ」

「時間がないから手短に言う。ウムルは俺より強い。あとはわかるな? というわけで、さっさと逃げろ」

「大丈夫、大丈夫、センセーなら、いける、いける」

「根拠は?!」

「根拠なく、しかし勝利を信じることが出来る。それが恋人クオリティ」

「……もう、恋人ネタはいいよ。とっくに飽きてんだよ」

などと、話している間に、
ウムルの頭の中で、結論が出たらしく、

「おそらく、愚かな私の悩みを、世界は必要としていない。『答えが見えない状況にある』という現実こそが答え。一切の虚像を、ちっぽけな雑念を……すべて、捨てて、これから、私は私らしくあろう。それこそが、きっと、尊き神の望み」

そうつぶやくと、
さらに、グンッ、と、
魔力の質を底上げする。

無尽蔵にも思えるウムルの数値。
『生命としての格が違う』ということを痛感する。

ウムルは、


「私らしさ……あらためて追及すると非常に難しい観念だ。今回の一件は、自分自身を見つめなおす、よいキッカケになる……感謝する……すべてに……」


などと、電波発言をしてから、
ユラリと、妖艶に、
静かな武を構え、

「とりあえず、まずは、手合わせ願おうか」

そう言うと同時、
ウムルの姿が、センの視界から消えた。

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