悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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74話 この星の一等賞。

74話 この星の一等賞。

「普通、あたしぐらいカワイイ子が、『あーん』してあげる言うたら、『喜んで、一生、ヒーローやりまーす』って永久英雄宣言をするもんやろ」

「その例文から感じるニュアンスは、英雄宣言っていうか、奴隷宣言だな……」

しんどそうに、そうつぶやいてから、
センは、周囲を見渡し、
窓やドアを封鎖しているバトルメイドたちを観察する。

(……ヤバいな。あのメイド連中、そろいもそろって、全員、面構えが違う。『死んでも通さない』という気概をビシバシと感じる……)

あそこまで、明確に『決意』をむき出しにされると、
『気配察知能力にたけた武道の達人』でなくとも、
『超やべぇ』というコトぐらいは気づける。

(……めんどくせぇなぁ……いろいろ……)

心の中でつぶやきつつ、
センは、トコとの話し合いを整理させるべく、
茶菓子が並べられたテーブルにつく。

ポジション的には、トコの正面。
滞りなく会話が出来る状況が整うと、
まず、トコが、

「交渉のテーブルについてくれたこと、まずは感謝する」

「……ものすごくムリヤリに着席させられただけなんだが」

「なんにせよ、や」

言いながら、
ソっとカップに口をつける。
数秒の『穏やかな間』を置いてから、

「あたしの……というか、『人類』からの要求は一つ。『神話生物から、人類を守ってほしい』。その一点だけや。今後、それ以外は、なんもせんでええ。一生、遊んどいてくれてええ。たまに湧(わ)いてくる神話生物をバッチリ駆除してくれるんやったら、もう、望むがままに生きてくれてええ。そのための援助は全て任せぇ。富も名誉も地位も、家も、メシも、酒も、車も、女も、なにもかも、すべて、常に、最上級を用意させてもらう。あんたを『この星の王』と認める。これは、あたしが勝手に言うてる妄言やなくて、この星の最高権力者たちの総意」

ちなみに、それは嘘だった。
決して『総意』ではない。
『この星の最高権力者たち』の大半は、
『センエース』という存在に対してきわめて懐疑的。
それが現状。

しかし、『交渉』の場では、ウソも方便。

それに、もし、センが了承し、
実際に、世界を守りぬいた暁には、
トコは、自分に出来る全てをセンにささげようと思っている。

それは嘘ではない。

「人類は、あんたに服従する。あんたは、この世の全てを手に入れる」

その話を聞いて、
センが思ったことは一つ。

(……なんだろうな……普通に考えたら、とんでもなく魅力的な提案なんだろうが……なんで、こう……一ナノたりとも心が躍らないんだろう……)

センの心は、スンと冷めていた。
『別にいらねぇなぁ』と、心底から思った。

そんなセンの心情を、
トコは、めざとく察知する。

「そういう系には興味ないって顔やな」

「ある程度の金は必要だと思っている。病気になった時には金がいる。金がないとメシも食えない。だから、ある程度は必要だ。けど、必要以上に欲しいとは思わない。もっと言えば『施(ほどこ)し』を受けたいとは思わない。俺は俺の力で生きていきたい。――『俺は常に孤高』――これはギャグで言ってんじゃねぇ。俺なりの覚悟を端的にまとめた信念の表明。ナメてもらっちゃ困る」

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