悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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67話 ナメた経歴。

67話 ナメた経歴。

――はためには『楽勝』だったように見えるが、
実際のところはそうじゃない。

センの肉体は、それを理解している。
脳の奥底も認識している。

だから、精神的にも、肉体的にも疲れ果ててしまった。

『体力と精神の限界』を遥かに超えて可動したのだから、
防衛本能が、慌ててスイッチを切るのは当然の話。

だが、そんな事情など知るよしもないトコは、

「マナミぃぃ! なにを呆けてんねん! ちゃっちゃと動けぇえええ!」

無様に、大慌てでパニクり散らかすばかりだった。











「――はっ……っ!」

ふいに、パっと目を覚ましたセンは、

「はぁ……はぁ……」

軽く息を荒くしつつ、

「……やっぱ、夢か……」

開口一番、そんなことを口にした。

だが、そんなセンの言葉に、
トコが、


「夢やないわ。バリバリの現実じゃい」


そう声をかけてきた。

反射的に視線を向けてみると、
『センが横になっているベッド』の隣で、
イスに腰かけているトコがいた。

「まあ、実際のところ、あたしも『あんたが、ロイガーを投げ飛ばした瞬間』くらいから、ずっと『あれ、あたし、夢見とんのやろか』と、『自分の正気度』や『現実の精度』を疑っとるところが、なきにしもあらずやけどれども」

「……」

寝ぼけまなこで呆けているセンに、
トコは続けて、

「一応、色々、精密検査とかして『器質的な別状はない。気絶しとるだけ』という結果が出とるから、そこまで心配はしてなかったけど……もしかしたら、このまま、永遠に起きへんのやないか、みたいな不安はあったから、まあ……うん……」

などと、ゴニョゴニョ言いながら、
トコは、イスから立ち上がり、
センの近くまで寄ってくると、
センの額に、手をあてて、

「熱とかもないな。気分は? 悪ぅないか?」

「気分は別に悪くないが……そんなことより、ここどこ?」

「ミレーん家(ち)の敷地内にある、客人用の離れ家」

「……どこの宮殿かと思ったら……これ、客人用の離れなんだ……やっぱ、紅院は、金持ちとしてのランクが違うな……」

センが目覚めたこの部屋は、とんでもなく広く、
過剰に豪華な調度品で整えられていた。
見上げれば、当たり前のように、でっかいシャンデリアが吊ってあって、
壁には、当然のように、ゴリゴリの暖炉が設置されている。
アホほどデカイ絵画に、ワケの分からん形状をしたツボ。
テーブルやイスも、すべて、ド級の金持ち感であふれている。

(札束に包まれている気分だ……)

嫌味ではなく、
ほんと、素直に、そんなことを思ったセン。

と、そこで、トコが、

「……で? ジブン、何者なん?」

と、直球の疑問を投げかけてきた。

「あんたが気絶しとる間に、いろいろ、あんたのことを調べてみたけど……おかしな点は、どこにもない。父親、母親、ともに公務員。普通の保育所、普通の公立小・中を経て、時空ヶ丘に、一般入試で普通に入学……なんや、この経歴。ナメてんのか?」

「なに一つナメてねぇだろ。抜群に正常だろうが」

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