悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

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60話 満足かい? このブタ野郎!

60話 満足かい? このブタ野郎!

「――薬宮トコこそが人類の至宝」

「……くくく。随分とほざくじゃねぇか。で、結局、何が言いたい?」

「そのあたしを殺せるんや。他は何もいらんやろ」

「……ふふ……はははははは!」

ロイガーは、心底から楽しそうに笑ってから、

「――ここで『貴様にそれほどの価値はない』なんて反論するのは野暮なんだろうな。くく……本当に楽しい時間だ。――で、まだ何か歌うか? どうせだから、最後まで聞いてやるよ」

「この星がなくなったら、あたしの大事なものが全部死ぬ……それはイヤや……あたしの家族を……親友を……殺さんといてくれ。頼む」

「ふむ、で?」

「頼む」

「同じ事しか言わないなら、特に面白くもない。ネタ切れなら、ここでお開きにしよう」

「……頼む。……あいつらだけは……」

「不愉快だな。貴様の、その安っぽい自己犠牲は、私を心底イラつかせる」

その発言に対し、
トコは、キっと顔を上げて、



「自己犠牲なんかやないと言うとるやろ、ハゲェ! おどれの間脳、どないなってんねん! 人の話はちゃんと聞け、ボケェ!!」



「……」

「イヤなもんをイヤやっていうてるだけじゃ、くそったれ! あいつらを殺されるんはイヤなんじゃ、カス、ごらぁ! おどれごとき『チ〇カスの成りそこない』は、宇宙一の美少女であるあたしのお願いを、黙って聞いとけばええんじゃ、あほんだらぁ! どうじゃい! 実にワガママお嬢様らしいやろう! 悪役令嬢感がエゲつないやろがい! これで、満足か! ブタ野郎!」

「非常に不愉快」

ロイガーはそう言うと、
トコから視線をそらしつつ、
トコに対し、

「今から、貴様以外を全員殺す。徹底的に痛めつけて、ふみにじる。そのあとで、貴様を殺す」

そう宣言すると、

センを指さし、

「まずは、あそこにいる『最も酷いカス』から殺す」

そう言いながら、ニタリと笑い、
センに視線を向けて、

「……そこの『モブ面(づら)』よ、今から、私は、貴様を、ジワジワとなぶり殺しにする。恨むなら、ここにいるバカ女を恨め。本来であれば、一太刀で殺してやるつもりだったが、この女の気色悪さが、私に、凄惨な殺意を抱かせた。すべては、この女の責任。わかったな」

意味不明な論理を口にした直後、
何かを思いついたように、
ロイガーは、ニっと笑い、

「そうだ。面白いことを考えた。貴様に一つ、選ばせてやろう。『貴様を守ろうとした、この女』を、貴様の手で殺せ。そうすれば、貴様の命は見逃してやる」

そう言ったロイガーに対し、
それまで黙っていたセンは、
ひどく冷めた顔で、


「いや、それ、どういう勘違い? 薬宮は、俺を守ろうとしたんじゃなくて、自分の友達を守ろうとしただけだろ。俺は、断じて、薬宮の友達じゃねぇ。薬宮にとって、俺は、ビックリするくらい赤の他人だ。もっと言えば、現状、俺は『ノゾキの容疑者』だから、むしろ、敵対関係にあると言える」


「……ん? 敵対? ……ぇ……そうなのか?」


「仮に『薬宮の懇願(こんがん)』が通っていた場合、結果的に、俺も助かっていたとは思うが、あくまでも、俺は『ついで』でしかない。その辺はちゃんと区別しておくべきだと思うぞ」

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