悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神!

閃幽零×祝@自作したセンエースの漫画版(12話以降)をBOOTHで販売中

38話 喜劇悲喜劇。

38話 喜劇悲喜劇。

『バケモノを軽く投げ飛ばしてしまった』という事実に対し、
センが軽くプチパニックになっていると、
そこで、

『――ナビゲーション・グールの撃破を確認。転移のワナを発動します』

奇妙な声が、頭の中で響いた。


(……ナビ……転移……え?)


センの混乱が収まるのを律儀に待ってくれたりせず、
ワナは、無慈悲に発動する。

キュインキュインと耳を刺すような音が鳴り響き、地面に奇怪なジオメトリが広がった。
と、同時に、センの体が、不穏な青白い光に包まれていく。


「うぇえっ――」


シュンッッ、
と、一瞬でその場から姿を消すセン。

――その様子を、
『ここではないどこか』で観察していた『オメガ』は、

「くくく」

と、心底楽しそうに笑ってから、

「さあ、見ものだな……センエース、お前なら、その絶望を、どうさばく? くくく……」

などと、そんな言葉をつぶやいた。












――転移が終了した直後、
グルグルとしている頭を、
強靭な精神力で無理矢理抑えつけ、
ゆっくり目を開くセン。

(ここは……シャワールームか? ……え、マジで転移した? すげぇな、おい……この世界って、ガチでテレポートできるんだ……ていうか、転移って、どういう転移だ? 世界を移動した? それとも、空間を――)

などと、心の中でつぶやきつつ、
周囲を確認しようと、ゆっくり、振り返ったところで、

「……ぬおっ」





「「「「「え?!」」」」」」





今、まさにシャワーをあびていた『全裸で固まっている美少女五人』が、
センの声と気配に気づき振り返った。

しっとりと、お湯に濡れている柔肌。
全員、例外なく美しいが、やはり、飛びぬけているのはミレーとトコとツミカ。
三人とも芸術的な女神。

一糸まとわぬ状態になる事で、より露わになるその天元突破した美貌。
きめ細やかな肌は、まるで天使が編んだ絹糸のようで、
その楚々と整った顔立ちは、まさしく神のオーダーメイド。

――この華麗なるCMFNの中、
数秒間、互いに硬直していたが、


「……どぅぇぇ……マジかよぉ」


センは憎々しげに舌を打ちながら、
バっと顔をそむけ、目を閉じ、

(おいおい、おいおいおいおい、なんだ、このアニメ・マンガ・ラノベで200億回は見てきたような、テンプレエロ展開は……ふざけんなよ、クソったれがぁ……)

心の中で呪詛を吐きながら右手で顔を隠すように頭を抱えるセン。

この、クリティカルな状況下において、
女性陣の中では一早く現状を『誤解』した紅院美麗が、
さほど慌てた様子もなく、優雅にバスタオルで体を隠しながら、

「私達を覗こうだなんて……いい度胸しているわね。褒めてあげるわ、閃壱番」

紅院の言葉により、他の女性陣も、思考停止状態から回復し、行動を開始しはじめた。

薬宮と黒木は、慌てる事なく、ササっと手早くバスタオルで体を隠す。
南雲は慌てて体をバスタオルで隠しながらアワアワと惑乱(わくらん)しており、
その向こうで、罪華はポケーっとしている。

トコが、悲しそうな顔で、

「昼間に話してみた感じやと、悪いヤツではないような気がしてたんやけど……どうやら、勘違いやったようやな。やっぱ、人の内側ってヤツは、ちょっと話しただけやとわからんもんやなぁ」

ボソっとつぶやく。

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