ブサメンに三次元美少女たちが話しかけてくるなんてあり得ないでござる!
番外編:七夕
デュフフウ!今日は七夕。
七夕のイベントなんて、ブサメン、キモオタのボクには関係ないと思うでしょ?話をすれば女の子にひっぱたかれて、唾を吐きかけられる。何にもしなくても罵られて蹴られるからね。
そんなボクでも、七夕は超重要な日なのさ。
「ねぇ?」
そう美少女戦士ミルちゃんの浴衣コスイベントなのでござる!!!!これでかつる!!!ボクはいま非常に興奮している。
「ねぇってば!」
だってミルちゃんの浴衣コスを引けば、おまけでスク水コスもついてくるんだ。肌をさらしたら、ぼく意外のファンの餌食になってしまうと思いきや、なんと当選確率が0.00000000001%の超級レア!
これは重課金してるボクのみにゆるされた、最高のイベント!
「むぅ~~~にしし……」
ミルちゃん浴衣コスガチャが今日の0時から解禁になってから、一睡もせずにガチャを引きまくっている。なのにいまだ出ていない。今回は本当に確率が低いようだ。
そうだ。ボクは最近、クラスの美少女たちに絡まれているせいで、ミルちゃんへの愛が迷走している。きっとそのバチがあたったんだ。
もうミルちゃんへの愛が一番に決まっているでしょうが!!!
ぴとっ
「た・く・みっ。おはよっ。ふ~~」
「ブヒィィイィイイイイ!」
ドガッシャーン!!!
「ブヒィィイィイイイイ!椅子がまた壊れたでござる!!」
なななな、なんということだ!またこのあざといみくちゃんがボクにひっついてきたのでござる!!!!
それもこともあろうに、耳に差囁く甘い声!そしてゾクゾクっとするほどの耳に息をふきかけたでござるょ!!!!!
こんな事、ミルちゃんにさえして貰えたことがないのに。それどころかすでに朝から20万ほど貢いでしまっている。
もしやボクはミルちゃんにすら裏切られているとでもいうのか!?そしてミルちゃんに裏切られて傷心しているとおもって心配してくれたみくちゃんが、甘い声でやさしてくれているとでもいうのでござるかぁ!!!!
「ぷっ、おもしろ~!たくみかわいっ!」
プギャァアアアア!!かわいすぎるでござるだるぉおおお!!!あざとい!あざとすぐるぅうう!!
ボクが顔を真っ赤にして悶えて転げていると、視界に女の子の足が移った。
し、しまった。いまボクの真上には女の子がきてしまっているようだ。このままではボクがスカートの中を覗いてしまって、妄想妊娠してしまったから、強姦されたと訴えられるパターンでござる!!!!
ボクが青い顔をして上を見上げると、この足の持ち主は委員長だった。なぜか委員長はにっこりしている。
「み、光圀くん。何しているのかな?」
「ご、誤解でござる!!!い、委員長が可愛すぎるから襲ってしまいたいなんて微塵にも考えてないでござる!!!」
「なっ!?……か、かわいい……わたしが?」
「いやそこはスルーしてほしいでござる!!!」
「……凛々しい、美しいなんていつも言われてるけれど……可愛いなんて初めていわれたわ……」
委員長が顔を赤くしているけれど、ブサメンキモデブに言われたら100年の恋も冷めるってものでござる。恋なんか元からしていないけど。
でも最近はやっと会話ができる程度の仲になったと自負している。だって今までは、何言ってもキモイしか返ってこなかったし、最低連絡事項すらキモいで返されてしまう。
ちゃんと聞いているか尋ねればバツンバツン殴られる始末だったはずだ。それに比べれば100倍マシな対応になったと言える。
「ね、ねぇ今日学校の七夕祭。いっしょに短冊結ばない?」
「「「えええ~~~~???」」」
「あの委員長が人?を誘うなんて……」
「人?いやいやオークでしょ?」
「いやハイオークだってあれは」
「いやートロルだって」
「ボクはギガンテスに一票」
いったい何の話でござるかっ!?
それより委員長が学校の七夕祭イベントで一緒に短冊を結ぼうと誘っているではないか……これはパラレルワールドではござらんか?
そうだボクはいつの間にかに異世界転生をしてしまったのかもしれいない!
しかしオカシイ。転生してもブサイクキモデブのままなんだけれど!
ここはイケメン転生してハーレムしてざまぁするのがテンプレートでござる!!!
「ちょっと待ってよ!タクミはあたしと一緒に結ぶの!!」
そこに割り込んだのがさっきから話をしていたみくちゃん。みくちゃんの積極性が止まらない。そして委員長すらボクに絡んでくる。
ボクはミルちゃん一筋って言ってるでしょうがっ!!!
「け、喧嘩はよくないでござるよ?」
「ちょっと邪魔よブタ!!!」
バチーン!!
「ブヒィイイイイイ!」
それから幼馴染の美月ちゃんの登場でござる。最近は特にスキンシップが激しい。いや、拷問が激しい。
「この前格好良かったから、しょーがなく寂しいブタの為にいっしょに短冊を結びに行ってあげるわ!」
「……え?普通にいやでござるよ?」
バチーン!!
「ブヒィイイイイイ!」
「い、い、か、ら!一緒に行くのよ!この美月様と!!」
「ブヒィイイイイイ!痛いでござる!美月様!!」
ブルブルブルブル!
「もういっかい……」
「なんでござるか?」
なぜか、美月ちゃんが悶えている。すごく上気していて顔がトロンとしている。すごく魅惑的で官能的な表情だ。
「もう一回美月様といいなさい!」
バチーン!!
「ブヒィイイイイイ!み、美月様ぁ!!!」
「ああぁん!!これよ!これだわ!あたしが求めていたものは!!」
ヤバい。幼馴染がへんな性癖に目覚めてしまったでござる……。もしかして、ボクはこれに付き合わされるんじゃないんだろうか……。
「ちょっとたくみになんてことするよ!!!」
「そうだわ!光圀くんがマゾに目覚めてしまったらどうするの!!!」
「なーにいってんの!?このブタは毎日ぶっ叩かれてもびくともしないどころか、平然とオタ話するほどのマゾよ?」
「「……た、たしかに」」
二人とも納得しちゃったでござる。
デュフフゥ!確かにボクは叩かれるのは嫌いじゃない。でもそれは相手が2次元に限るからであって、3次元なんてお呼びじゃないはず!!
しかし、最近美月ちゃんどころか委員長にも蹴りつけられるし、相変わらず陣内くんはサッカーボールキックを食らわせられている。そのせいで、蹴られて罵られない日があると少し寂しく……はっ!?
蹴られたいとか思ってるわけじゃないんだからね!?
デュフフゥ!放課後の七夕祭。
結局ボクたちは4人で来ることにした。山根氏が羨ましがっていたが、なぜか美月ちゃんは山根氏を選ばなかった。
よほどサディスティックの快感に目覚めてしまったのだろう。それに付き合わされるボクの身にもなってほしい。
「み、みんな書いたでござるか?」
「うんっ!たくみ~っ」
うん。あざとい。さすがにあざといみくちゃん。
「あ、うん……書けたよ、光圀くん」
最近は委員長も自然な仕草が女性ぽくて、意図してないのにあざとい!
「……ふん!ブタに言われなくったって書いたわ!!!」
いちいち上から目線の美月ちゃん。いや美月様。
「じゃ、じゃあ、飾るでござる!!!」
今日は七夕。年に一度、織姫と彦星が会う日。
天の川のカササギの橋を渡って結ばれる二人に願いを込めて。
キモデブでも渡れるような橋にしてほしいと願いを込めて。
《たくみともっと仲良くなれますように みく》
《光圀くんがむくわれますように さなえ》
《たくみが元にもどりますように…… みつき》
《デュフフウ!ミルちゃんの浴衣ゲットしたい!! たくみ》
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