貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

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第62話友人

「カイル様…それはどうかと…」

ローズが困った様にカイルを見つめると

「あー…カイル様?女性に無理強いはよくありませんよ」

ロドムがにっこりと笑いかけると

「ローズさんどうやら私の勘違いのようで…この方がご友人なのはよく分かりました。あの時姿が見えなくなってからジェシカも心配してまして…でも元気そうなお姿を見れてよかったです」

「ロドムさん、ありがとうございます。お土産もジェシカさんからいただきました!また伺う事がありましたらよろしくお願いします」

ローズが頭を下げると

「ローズ…その時は私が付き添うから声をかけてくれ」

カイルが言うと

「そうね、まだ一人で出るとスチュアートさんに怒られそうだからその時はよろしくお願いします」

「ローズさんがよろしければその際は私が門まで迎えに上がりますよ」

ロドムが何気なくいうと

「結構だ!」

カイルがピシャリと断る!

「何故あなたが断るんですか?」

ロドムが笑ってカイルに聞くと

「そ、それは…私がローズの身辺の警護を任されたから…」

「カイル様は仕事熱心ですね」

ローズが関心するとロドムが口を抑えて笑っていた…。

ローズはロドムに挨拶をして今度こそ門に向かっていると斜め後ろを歩いていたカイルが話しかける。

「ローズ…本当にあいつの店にまた行くのか?」

「えっ?」

ローズは足を止めてカイルに並ぶと

「何かあった時に…あいつではローズを護れないと思う」

「そんな事無いですよ。それに私が戦えますから」

ローズが大丈夫ですと笑うと

「そうでなくて…」

カイルがどう言おうかと迷って居ると

「でも…次に行く時もまたカイル様に護衛をお願いしたいです」

ローズがカイルに笑いかける。

「今回、カイル様と城下に出てとっても楽しかったですから…また一緒に白馬亭のお手伝いしましょうね!」

「ああ…」

カイルが嬉しそうに頷くと

「ほら!門が見えてきましたよ!カイル様早く早く!」

ローズは元気の無かったカイルの手を引くと門に向かって走り出した!

「ローズ!走ると危ないぞ」

カイルが慌てて着いて行くと…

「ローズ様~!」

門の前ではクレアさんとスチュアートさんがローズの帰りを待っていた。

「あっ!クレアさん!スチュアートさん!」

ローズは二人に気がつくと足を早めて二人に駆け寄る!

「ローズ様!ご令嬢があんなに早く走ってはみっともないですよ!」

クレアさんが注意すると

「すみません…お二人の顔を見たら早く会いたくなってしまいました…」

ペコっと頭をさげる。

「まぁまぁ、クレアさん本当は嬉しい癖に駄目ですよ怒って誤魔化しては…」

スチュアートさんが笑って言うと

「そ、そんな事ありません」

クレアさんの頬が恥ずかしそうに赤くなる。

「本当ですか?」

ローズがクレアさんの顔を見ると

「本当ですよ、朝早くに帰ってくると聞いていたのでここで先程から落ち着かない様子でずっと待っていたのですから」

「それは、スチュアートさんも同じではありませんか!」

クレアさんがスチュアートさんに噛み付くと

「ええ…もちろん私もです。ローズ様が居ないお部屋は明かりが消えたように暗くて静かでしたから…」

寂しそうにローズを見つめる。

「ふふ…スチュアートさんたら大袈裟ですね!たった一晩居なかっただけで」

ローズがスチュアートの言葉に笑っている。

スチュアートは誤魔化すように微笑み返すと…

(決して嘘ではないのですが…昨晩は私もクレアさんも寂しかったのは事実ですから…)

スチュアートは大事そうにローズの手を取るとクレアさんと部屋へと向かった。

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