貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

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第57話老人

「お疲れ様!」

ジェシカがローズとカイルの前にお水を持ってくる。

「ありがとうございます!」

「すみません…」

元気なローズと疲れきった様子のカイルが水を受け取ると一気に飲み干す!

「あー!美味しい!」

ローズの様子に

「ローズちゃんは生き生きしてたわね、疲れてないの?」

ジェシカさんが苦笑すると

「いえ!久しぶりに思いっきり動けて楽しかったです!」

「そう?それに比べてカイルさんは…大丈夫?」

心配そうにすると

「訓練より疲れました…お皿を運ぶだけなのにこんなに大変だとわ…」

「訓練?カイルさんってなんのお仕事してる方なの?見た感じ…まぁまぁ高かそうなお召し物でしたけど…」

「カイル様って…なんのお仕事でしたっけ?確か…ロイ様の…友達?」

ローズが聞く。

「最初にご挨拶しましたよね…ロイ王子の側近だと…」

カイルがため息をつくと

「「ロイ王子の側近!」」

ジェシカとジフが同時に叫ぶ!

「ど、どうしましょ!貴族方にこんな失礼な事をしてしまって!」

「も、申し訳ございません!」

ジフさんが腰の痛みも忘れて土下座すると

「いえ、今はローズの友人として来てますから大丈夫です」

「そうですよ、カイル様はこんな事で怒る方じゃ無いですよ。ねっ!」

ローズがカイルに微笑むと

「はい…」

嬉しそうにカイルも微笑んだ。

「カイル様…ローズちゃんのいいなり?」

ボソッとジェシカがジフに囁くと

「ありゃ尻に敷かれるタイプだな…」

ジフさんも頷いた。

すると…トントン…

外から扉を叩く音が聞こえるとジェシカが立ち上がり…

「誰かしら?」

扉へと向かって行った。

「でも本当にローズちゃんもカイル様もありがとうございました。また是非二人で遊びに来てください。お二人ならいつでも大歓迎ですよ!」

ジフが笑っていると…ジェシカが困った様な顔で戻ってきた…ジェシカの様子にジフが声をかける。

「どうしたんだ?」

「それが…おじいさんがきて、芋煮の事を聞いて食べに来たらしくて…もうお店も終わりだからって言ったんだけど…」

「芋煮ならまだ少し残ってますよ、ジェシカさん達が大丈夫なら入れて上げればいいんじゃないですか?」

ローズが答えると

「ローズちゃんがそう言うなら…」

ジェシカはおじいさんを迎えに戻って行った。

「じゃあ私は芋煮温めて来ます」

「では私が席を用意しておこう」

ローズとカイルが立ち上がると

「い、いや!お二人にそんな事!」

ジフさんが止めようとすると

「ここまできたら最後までやりますよ、ジフさんは明日から一人でやるんですから今は体を休めて下さい」

カイルが笑いかけると最初の時とは違い慣れた様子で椅子を並べる。

するとジェシカさんがおじいさんを店へと連れてきた。

一人で来た様子の老人はマントを深々と被り目元が見えないが口元の髭が白く綺麗に整えられている、その様子から身分が高そうに感じた。

「わがままを言ってすみませんねぇ、芋煮が食べれる店があると聞いてどうしても来たくて…」

カイルが椅子を引くとおじいさんがチラッとカイルを見る…

「どうされましたか?」

カイルが椅子を引くがおじいさんはなかなか座らない。

「あっいやすまんね…ありがとう」

カイルが話しかけると顔を隠してようやく椅子に座った。

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