貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

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第32話剣舞

「素晴らしい!」

「ローズ様!素敵です」

スチュアートとクレアが高揚しながらローズに寄ると…

「今のはなんですか?」

クレアが見た事もない踊りに驚いている。

「剣舞です…私は踊りは踊れませんが剣舞は出来るんですよ」

あはは!と軽く笑う。

「でもこれが出来てもダンスが出来ませんからね…」

肩を窄めると…

「何を言ってるんですか!その剣舞を踊ればいいんですよ」

「えっ!こんなんでいいんですか!?」

ローズが驚く。

「ローズ様の男性とも女性とも取れない姿がさらに踊りを神秘的に見せていました」

「ええ!ええ!とっても美しくかったです!これは衣装を工夫すれば更に素晴らしくなると思いますよ!」

クレアさんが珍しく興奮して大きな声をだす。

「これでお茶会のお披露目するものは決まりましたね!私は飾りの用の剣を用意致しますね」

スチュアートがクレアに言うと

「お願いします!私は衣装係と早速話し合わないと…」

自分の事なのに完全においてけぼりをくらった様子のローズは…

「本当に…これで大丈夫ですか?」

不安を口にした。

「「大丈夫!」」

「ローズ様が私の考えた衣装で踊るのが待ちきれないわ…」

クレアさんがうっとりとしていると

「ローズ様に合うように少し長めの剣がいいかも知れないな…装飾は…そうだなやはり青がいいかも知れない」

スチュアートさんまで珍しく興奮を抑えきれずにいた。

「二人とも落ち着いて…ほらお茶でも飲みましょう」

ローズは二人をどうにか座らせる…嬉しそうにしている二人をみてお茶をのんびりと楽しんだ…

お茶を飲んでようやく落ち着きを取り戻すと…

「いや…申し訳ございません…年甲斐もなくはしゃいでしまいました」

「私も…みっともないわ…」

反省をする二人を見ていると…

「くぅふふふ…あははは!」

抑えきれずに大声で笑いだしてしまった。

その様子に二人も何だかおかしくなって笑いだす。

「スチュアートさんたら子供みたいに…」

クレアさんがスチュアートを笑うと…

「クレアさんこそ少女みたいに顔を輝かせていましたよ」

スチュアートもクレアさんに笑いかける。

「私の踊りで二人がそんなに喜んでくれてなんだか嬉しいです」

「いや…ローズ様のお世話係を仰せつかってから…楽しくて嬉しい事ばかりです…」

「私も…もうこんな楽しい仕事が出来るとは思っておりませんでした…ローズ様本当にありがとうございます」

二人が優しい笑顔をローズに向けると、ローズは嬉しいやら恥ずかしいやら顔を赤く染める。

「私達をローズ様に紹介して下さったロイ坊ちゃんとカイル坊ちゃんにも感謝しきれません…」

「えっ?ロイ?カイル?…あっ…」

ローズはすっかりクレアさんとスチュアートさんとの生活を楽しみ過ぎて本来の目的を忘れていた…。

ローズが二人の存在を思い出すと…

「もしや…ローズ様お二人の事を?」

クレアさんがまさかと思いローズに聞くと…

「あはは…そのまさかだったりして…」

頭をかくと…

「それって酷くない…」

頭の上から声が聞こえてきた。

ローズが上を見上げるとロイが苦笑しながらローズ達を見ていた。

「すごくショックです…」

隣ではカイルはガックリと肩を落としている。

「あっ…王子様にカイル様」

ローズは立ち上がると、クレアさんに習ったとおり少し腰を落として二人に頭を下げた。

その様子に…

「「おお!」」

二人は驚きを隠せない!

「これが三日前は頭もさげられなかったローズ嬢か!」

「男装じゃなければ完璧でしたね!いや…その姿も素敵ですが…」

二人の失礼な褒め言葉に…

「ロイ#坊ちゃん__・__#もカイル#坊ちゃん__・__#も一体こんな所になんの御用でしょうか?」

ローズはにっこりと笑うと嫌味たっぷりに聞いてみた。

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