貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

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第21話婚約者

「あはっ!その顔…本当に僕の事知らないんだね?」

ロイがクスクスと可笑しそうに笑っている。

「ちょ、でも…だって!本当なの?」

ローズは思わず渋い顔をしていたカイルに確認をしてしまう。

「はい、そうです…では私も自己紹介をさせて下さい。ロイ王子の側近を務めている、ローウェル公爵家二男カイルと申します」

挨拶をしながらローズの手を取ると手の甲に触れるだけのキスの挨拶をすると…ローズは頬を赤らめる事も忘れて…

「はぁー?公爵!王子?」

ローズは大声で叫ぶと頭を抱えた!

「なんでいきなり王宮に案内されて直に王子と側近が来るわけ!有り得ないでしょ!」

でっかい独り言を喋ると…はっ!と唖然とする二人に気づく…。

ローズはガバッと膝をつき頭を床に付けると!

「申し訳ございません!本当に知らなかったのです…いえ…自国の王子を知らないのも問題でしょうが…こんなに簡単に会える方だとは知らず…私は…不敬罪で処分して頂いて構いません!ですから領地の父と弟にはどうかご慈悲を…」

ローズが下を見ながらまくし立てる。

「か、顔を上げてください!ほら立って!」

カイルがローズを立たせようとするが…

「無理です!もう合わせる顔がありません!」

がっちりと床にくっついて剥がれない…

「ふん!な、なんだ?動かないぞ…」

カイルがビクとも動かないローズに戸惑っている。

「ローズ嬢、面をあげてください。僕達はローズ嬢に罰をあたえに来た訳じゃないんです」

ロイ王子が優しい声で話しかけると…ローズは思わず顔をあげた…。

そこには優しいながらも困ったように笑う二人の顔があった…。

「実は僕ら君に助けて貰いたくて…」

ロイ王子がさらに顔を顰めた。

(わぁ…かっこいい顔の人は困った顔をしてもかっこいいのね…)

間近で見る王子の顔に驚いて思わず関係ない事を考えてしまう。

「ん?助ける?」

遅れて情報がやってきた…

「そうです…この度のロイ王子殿下の婚約者決めの事でローズ嬢にご相談があるのです」

カイルが今度こそローズを立たせると…

「相談?私にですか?」

コクコクと二人が頷く。

「それって…お断りは…」

ローズが伺うように聞くが…

「ローズ嬢、不敬罪で罪人にはなりたくありませんよね?」

「おい!ロイ!」

カイルが窘める。

「何をさせられるんですか…いくら王子様の命令でも…内容によってはお受けしかねます」

ローズが精一杯強がると…ロイは笑って

「そんなに構えないでよ、別に犯罪を侵させようって訳じゃ無いからね…ただ…僕の婚約者になって欲しいんだ」

なんてことは無いと軽く言う。

「婚約者!?」

無理無理無理無理!

ローズがブンブンと首を振る!

「みんなが僕の隣を狙っているのに…君は興味ないの?」

ロイが色気タップリにローズに歩み寄りながらな聞くと…

「興味ありません!」

ピシャリと跳ね除けロイから後ずさりする。

「あはは!やっぱり君しかいないね!婚約者には」

「はぁ~?」

ローズは
美男二人に囲まれて、誰もが羨む空間を早く逃げ出したくて仕方なかった…。

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