第3話出会い

「きゃ！」

ローズはいきなり腕を掴まれて驚き、声をあげる！

「あっ…すまない…」

男はパッと腕を離すと…

「改めて…謝罪したい…名前を聞かせて貰ってもいいかな？」

男が気まずそうに笑って聞いた。

それを見ていた近くの女性たちがため息をついた…。

「はぁ…カイル様が笑ってらっしゃるわ、なんて貴重なのかしら…」

うっとりとカイルと呼んだ男性を見つめている…

ローズは、怪訝そうな顔をすると…

「名前を聞くならまずはそちらから名乗ってはどうですか？それに謝罪なら先程いただきました。これ以上は結構です！」

キッチリとお断りをする。

「では…」

くるっと向きを変えてまた立ち去ろうとすると男性は…

「わ、私はカイルと言います！よろしければお名前を！」

人通りが増えて二人の間がどんどん離れると…

「…私はローズです…」

ローズは小さい声で答えるとペコッと頭を下げて人混みの中へと消えて行った…

「ローズ…」

カイルは名前を呼ぶと…ローズが消えた先を見つめ続けた…。


その頃ローズは人混みを抜けて路地裏の方へと抜けていた…

「はぁ…なんて人の多さなのかしら…うちの町の何倍も居そうね…」

ため息をついて息を整えていると…

「やめてください…」

遠くから女性の悲鳴の様な声が微かに聞こえてきた。

ローズは直ぐに声のした方へと走り出した！

路地の奥に行くと一人の綺麗な少女が男達に腕を無理やり引かれている所だった…

「ほら、こっちに来いよ！パパの所まで案内してやるぜ！」

「そうだ、その前にすこーしだけ遊んでくれればいいからよー」

男達は少女をどんどんと奥へと引きずって行く…

「やだ…助けて…」

少女は涙を溜めて消え入るような声で助けを求めていた…

「待ちなさい！」

ローズは考える間もなく男達の前に立ち塞がると

「その子を離しなさい！嫌がっているでしょ！」

男達を睨みつけると

「なんだぁ？お前も遊んで欲しいのか？」

男がニヤニヤとローズを見る。

「まぁまぁだな…こいつも連れてくか？」

もう一人の男がローズに手を伸ばそうとすると…

「汚い手で触らないで下さい！」

ローズは男の腕を逆向きに掴むと体を回して男を投げつけた！

「ギャ！」

油断していた男はモロに地面に叩きつけられると、泡を吹いて気を失った…その様子にもう一人の男の顔色が変わった。

つかんでいた少女の腕を離すと…

「そこにいろよ！」

少女に凄い勢いで怒鳴りつけた！

少女は腰を抜かしてしまったようで…へにゃへにゃと地面に座り込んでしまった…

男は懐から小さいナイフを取り出すと…

「ちょっと動けるからと調子に乗りすぎたな…もう嫁にいけない顔にしてやるよ…」

ニヤニヤと笑うとローズ目掛けて突進してきた！

「危ない…」

少女は顔を手で覆って叫ぶ…ローズは男がナイフを出した瞬間に首に巻いていたスカーフを解くと手に持ち替えていた…

ナイフを突き出す男の手をスカーフで絡みとると…

「えいっ！」

くるっと男に背を向けて腕をグイッと引っ張ると、男の体が宙に浮いた…

「うわっ！」

男は一回転すると背中から地面に落ちた！

「グッワ！」

男が地面で悶えてる隙にナイフを拾うと…

「立てますか？」

急いで少女の元へと向かい手を差し伸べた！

少女は涙を流して首を振ると…

「では失礼しますよ」

少女を軽く抱き上げると、急いでその場を走り去った！