魔法高校の聖騎士~楽園の鳥籠で天使は嘲笑う~

天羽睦月

第19話 再会の教室


「やはり君たち3人が目覚めたようだね。試験の時のことは私も聞いていて、多分君たち3人が先に目覚めると思っていたよ」

 理事長が出雲たちに壇上の上から話しかけると、君たちは特進クラスに入ってもらうと言った。
 
 出雲は特進クラスって聞いたことがないなと疑問に感じていると、理事長が今年新設した特別なクラスなのだよと追加で言った。

「と、特別クラスってどういうことですか!?」
「特別は特別だよ。この国立中央魔法学校高等部では、新たに魔法騎士団と協力をして、即戦力となる人材の育成に力を入れることにしたのだよ」

 そう理事長が言うと、竜司が勝手に決めるなよと叫んだ。竜司の言葉を聞いた周囲にいた一人の教師が止めに入ろうとするが、理事長が構わない言って静止をした。

「そう思うのも無理はないが、このクラスにいれば魔法騎士団やそれ以上の組織に入ることも可能となる。この国一番の中央魔法大学校や海外の魔法高校や魔法大学校に行くことも可能になるぞ」

 理事長が海外という言葉を発した瞬間、竜司が目を見開いて理事長を見た。

「それは本当なんだろうな?」
「君の活躍次第では行けるぞ」
「なら、俺は特進クラスに行く」

 竜司の行くという言葉を聞いた愛理は、本気なのかと竜司に言う。竜司は俺にとってはメリットしかないと即答をした。
 出雲は二人の会話を聞いていて、俺は魔法騎士団に入りたいから特進クラスに行くしかないと決めていた。

「俺も行くよ。俺は魔法騎士団に入りたいからね」

 出雲は魔法騎士団に入りたいからと二人に言うと、愛理は数秒間沈黙をしてしまっていた。沈黙をしながら愛理は、聞き取れないほどに小さな声で何かを呟いている。
 
 出雲は何かを考えているのかなと愛理を見続けていると、深いため息をつきながら分かったわよと肩を落としながら言葉を発した。

「私も特進クラスに行きます。これでいいでしょ」
「ありがとう!」

 愛理の言葉を聞いた出雲がありがとうと返すと、竜司が初めからそうしてろと言っていた。理事長は3人が特進クラスに行くという言葉を聞くと、君たちは先に教室に行けと出雲たちに言う。

「特進クラスでは、特別に魔法騎士団員が教師として教えてくれる。他の説明は教室で受けるといい」

 そう言うと理事長が、他の新入生を起こしてくれと指示をし始める。教師の一人が他の生徒が起きる前に早く出て行きなさいと3人に出て行くように言った。

「わ、分かりました」

 出雲は慌てながら講堂から出て行こうとする。愛理と竜司はゆっくりと歩きながら講堂から出て行こうとしていた。

「早く出なさい! 他の新入生に見つからないように!」
「分かりました」
「うるせぇな」
 
 愛理が返事をし、竜司はうるさいと言い放つ。
 出雲たち3人が講堂から出ると、教師が何やら魔法を使っているのだけが講堂の入り口から漏れる光で理解が出来た。

「これからどこに行けばいいんだ? 教室ってどこだろう?」

 出雲が悩んでいると、講堂の外にいた教師が話しかけてきた。その教師は出雲が講堂に入る際に話しかけられた教師であった。

「もしかして特進クラスに入る生徒かな?」
「あ、そうです。教室の場所が分からなくて、悩んでました」
「そうか。特進クラスは左側に進むとある本校舎の5階だね。他の生徒たちとは授業内容が違うから、一緒の階層には設置してないんだ」

 授業内容が違うという言葉を聞いて、出雲は特進って凄いんだなと感じていた。

「ありがとうございます。遅れないように行きましょう」

 愛理は先に歩きながら、出雲と竜司に行こうという。出雲と竜司の二人は愛理の後ろを付いていくように歩き始めた。 

 出雲たちが向かった本校舎は全面がガラス張りであるももの、外からは内側が見えない特殊なガラスを付けられている。そのため、全面がガラス張りであるということも国立中央魔法学校高等部は有名である。

「遠目から見ても綺麗な建物だったけど、近くで見てもガラスが反射して綺麗だね」
「そうね。長方形な作りだけど、全面がガラス張りだから博物館みたいに見えるわ」

 出雲と愛理が話しながら建物に入っていく。
 竜司は綺麗な裏には醜さもあるんだぞと、二人に聞こえないように呟いていた。

「確か5階だったわよね? 上には備品室などの物置部屋や教員たちの更衣室となっているようね」
「どこに行けばいいんだ?」

 出雲と愛理が5階を探索していると、竜司がこっちの奥じゃないかと二人に話しかけた。

「え? あ! 左奥に角部屋がある!」
「本当だ! 気が付かなかった……」

 竜司胃が見つけた部屋は、階段を上って見渡すと見えないが、近づくと奥に曲がり角があって一つの教室が見えるようになっていた。

「この部屋なのかな?」
「特進クラスって看板が上から垂れ下がっているわ。多分この部屋よ」
「なら早く入るぞ。何分かかってるんだ?」

 竜司は20分は経過をしていると言って先に教室に入っていく。
 出雲と愛理も竜司に続いて部屋に入り、出雲は教室に入ると目の前にいる人物を見て驚いてしまう。

「陸奥景昌さん!? どうしてここに!?」

 驚いている出雲の声を聞いた景昌は、フルネームでどうもと微笑しながら返答をしていた。

「俺が君たちの担当教師として、魔法騎士団から派遣されたんだ。これからよろしく頼むよ」
「景昌さん! よろしくお願いします!」

 出雲が景昌に近づいて喜んでいると、愛理と竜司が二人は知り合いなのかと不思議そうにしていた。

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