聖獣として異世界召喚されました!?
35
さーて。どんな教育的指導をしてあげようか……。
業務以外での一週間筋トレ禁止?
それとも、みんなに女装させて女性の気持ちを味わってもらう?
強制睡眠状態にして、何か怖い映像でも見せちゃう?
例えば……身体の細胞全てが『筋肉』になっちゃうみたいな……のは、駄目だな。
……好きそうだもん。うん。逆に喜びそう。
騎士としての仕事をしないといけないのだから、士気を下げるのは多分宜しくない。
この国の防衛問題に発展するような事態になるのは勘弁だ。
……だったら、いっその事……嫌になるまで筋トレさせちゃう?
あー……悩む。
パタパタと羽を忙しく動かしながら、私は胸の前で腕を組んだ。
あっ! 名案が閃いた!
筋肉は水に浮かない
私はニヤリと口元を歪めた。
よしよし!それで行こうじゃないか!
セピアニア王国に海はないそうだが、川や湖は存在する。
いつ、いかなる時に救助が必要な事態が起こるかもしれない。
その時に『筋肉のせいで救出できません!!』なんて論外だ。
事件はトレーニングルームで起きているわけじゃないぞ!!
……本題から離れて、過剰筋肉者への粛正になっている様な気がするけど……。
ま、いっか!結果オーラーイになれば問題なし!
更に私のストレス解消にもなって万事OK!!(オイ)
フンフンと鼻歌を歌いながら、騎士達のいる訓練場を目指して全力で羽を羽ばたかせた。
*****
「……ミーガルド様!!」
「た、助けて下さい……!」
私の眼下には、必死で水をかきながら必死に水面に浮かぼうと藻掻く騎士達の姿が見える。その中にはアインさんとドライさんもいる。
因みに……先日、司書のアイリーンさんと無事に結婚を前提に交際を始めたツヴァイさんは除外だ。無事に筋肉の支配から卒業が出来たツヴァイさんにはもう何もいう事はない!
このまま幸せな家庭を築いて欲しいものだ。
私はツヴァイさんからの差し入れのクッキーを一枚口の中に頬張った。
うん!サクサクしていて美味しい!文句なしの仕上がりだ!!
「美味しいクッキーをありがとうございます」
「……いえ。それほどでも」
私の隣で、私と同じ光景を見ているツヴァイさんの顔は……酷く強張っている。
「こうならなくて良かったですね?」
「は、はい……」
ニッコリと笑うと、ツヴァイさんの顔は完全に固まった。
私はそれを横目に、また一枚クッキーを頬張った。
うまうま。
「アイリーンさんも喜んでくれているんじゃないですか?」
「……え?ええ、まあ……」
固まっていたツヴァイさんの顔の筋肉が……って、ここでも筋肉か!!
コホン……。咄嗟に突っ込んでしまった。
強張っていたツヴァイさんの顔が一気に弛んだ。
「……ご馳走様です」
私は両手を胸元で組ながらペコリと頭を下げた。
「ま、まだ何も言ってませんよ!?」
「その顔を見れば分かりますって」
私はジロリとツヴァイさんを睨み付けた。
……アイリーンさんを自慢したい。幸せアピールしたいって顔に書いてあるんだもん。
幸せな二人を見守るのは好きだが、惚気られるのはなぁ……。
『リア充爆発しろ!!』と、つい言いたくなってしまう。
ああ……ルーカのモフモフに癒やされたい。
「ミーガルド様!聞いてましたか?!」
「はいはい。幸せ、幸せ。ヨカッタネー」
私はツンと顔を背けながら、ヒラヒラと手を振った。
「……お前達。この状況でよく……」
「ジル!」
この場に、いつの間にかジルが現れていた。
呆れた様子で私とツヴァイさんを見た後に、眼下の光景を哀れみの眼差しで見つめている。
「団長さんの許可は貰ったよ?」
私は首を傾げた。
「許可下りたのか!?」
「うん。だって、団長さんはお子さんのいる既婚者だもん」
「……基準が分からない」
「そう?すぐに理解して貰えたけどなー。『筋肉を増やすごとに、結婚の道が遠のく……つまりは少子化が進んで、国防が出来なくなりますよ-』って言ったら快諾してくれたよ」
「お前は……。団長を脅すな!」
「脅してないよ?人聞きが悪いなー」
「脅してるだろ!少子化とか国防の危機とか!」
「え? 私は事実を述べたまでです!」
「唯……」
私は物言いたげな眼差しのジルを無視して、沈む筋肉集団を見下ろした。
だってさ!騎士団に所属する騎士達の内の八割が婚約者も恋人もいないんだよ?!
多すぎない?!
……因みに、ここまでの流れだと私が『完全異性愛者』推奨の様に思われているかもしれないが……性別なんて関係ない派である。色々な愛の形があるなんて素敵じゃないか。
私が憤っている理由は、この世界の騎士は中途半端に筋肉を愛しているからだ。
『俺は一生筋肉だけで良い!!』とか『筋肉があれば何も要らない!!』って程に突き抜けていれば、私もここまでの行動は実行しなかった。
……なのに奴らときたら……
恋人が欲しいと言うくせに何もしないヘタレ集団ときた。
蓋を開けてみれば、アインさんとドライさんがいっぱいだったのだ。
ついつい、訓練所の地面を抉っちゃったよねー。
既婚者や恋人、婚約者、そして真の筋肉愛好者以外、そのまま下に落下して……『ザブン』させた。
ふー……。私のチートさんがとても素晴らしい働きをしてくれました。
『水没筋肉君』である。
あ、そうだ。このお仕置きには比較対象者が欲しかったのだ。
それは勿論…………この人だ。
「えい!」
「……うわっ!?」
私は万能の力で強化させた両手でジルの背中を押した。
そう、水がたっぷり入っている抉れた地面の中へと突き落としのである。
業務以外での一週間筋トレ禁止?
それとも、みんなに女装させて女性の気持ちを味わってもらう?
強制睡眠状態にして、何か怖い映像でも見せちゃう?
例えば……身体の細胞全てが『筋肉』になっちゃうみたいな……のは、駄目だな。
……好きそうだもん。うん。逆に喜びそう。
騎士としての仕事をしないといけないのだから、士気を下げるのは多分宜しくない。
この国の防衛問題に発展するような事態になるのは勘弁だ。
……だったら、いっその事……嫌になるまで筋トレさせちゃう?
あー……悩む。
パタパタと羽を忙しく動かしながら、私は胸の前で腕を組んだ。
あっ! 名案が閃いた!
筋肉は水に浮かない
私はニヤリと口元を歪めた。
よしよし!それで行こうじゃないか!
セピアニア王国に海はないそうだが、川や湖は存在する。
いつ、いかなる時に救助が必要な事態が起こるかもしれない。
その時に『筋肉のせいで救出できません!!』なんて論外だ。
事件はトレーニングルームで起きているわけじゃないぞ!!
……本題から離れて、過剰筋肉者への粛正になっている様な気がするけど……。
ま、いっか!結果オーラーイになれば問題なし!
更に私のストレス解消にもなって万事OK!!(オイ)
フンフンと鼻歌を歌いながら、騎士達のいる訓練場を目指して全力で羽を羽ばたかせた。
*****
「……ミーガルド様!!」
「た、助けて下さい……!」
私の眼下には、必死で水をかきながら必死に水面に浮かぼうと藻掻く騎士達の姿が見える。その中にはアインさんとドライさんもいる。
因みに……先日、司書のアイリーンさんと無事に結婚を前提に交際を始めたツヴァイさんは除外だ。無事に筋肉の支配から卒業が出来たツヴァイさんにはもう何もいう事はない!
このまま幸せな家庭を築いて欲しいものだ。
私はツヴァイさんからの差し入れのクッキーを一枚口の中に頬張った。
うん!サクサクしていて美味しい!文句なしの仕上がりだ!!
「美味しいクッキーをありがとうございます」
「……いえ。それほどでも」
私の隣で、私と同じ光景を見ているツヴァイさんの顔は……酷く強張っている。
「こうならなくて良かったですね?」
「は、はい……」
ニッコリと笑うと、ツヴァイさんの顔は完全に固まった。
私はそれを横目に、また一枚クッキーを頬張った。
うまうま。
「アイリーンさんも喜んでくれているんじゃないですか?」
「……え?ええ、まあ……」
固まっていたツヴァイさんの顔の筋肉が……って、ここでも筋肉か!!
コホン……。咄嗟に突っ込んでしまった。
強張っていたツヴァイさんの顔が一気に弛んだ。
「……ご馳走様です」
私は両手を胸元で組ながらペコリと頭を下げた。
「ま、まだ何も言ってませんよ!?」
「その顔を見れば分かりますって」
私はジロリとツヴァイさんを睨み付けた。
……アイリーンさんを自慢したい。幸せアピールしたいって顔に書いてあるんだもん。
幸せな二人を見守るのは好きだが、惚気られるのはなぁ……。
『リア充爆発しろ!!』と、つい言いたくなってしまう。
ああ……ルーカのモフモフに癒やされたい。
「ミーガルド様!聞いてましたか?!」
「はいはい。幸せ、幸せ。ヨカッタネー」
私はツンと顔を背けながら、ヒラヒラと手を振った。
「……お前達。この状況でよく……」
「ジル!」
この場に、いつの間にかジルが現れていた。
呆れた様子で私とツヴァイさんを見た後に、眼下の光景を哀れみの眼差しで見つめている。
「団長さんの許可は貰ったよ?」
私は首を傾げた。
「許可下りたのか!?」
「うん。だって、団長さんはお子さんのいる既婚者だもん」
「……基準が分からない」
「そう?すぐに理解して貰えたけどなー。『筋肉を増やすごとに、結婚の道が遠のく……つまりは少子化が進んで、国防が出来なくなりますよ-』って言ったら快諾してくれたよ」
「お前は……。団長を脅すな!」
「脅してないよ?人聞きが悪いなー」
「脅してるだろ!少子化とか国防の危機とか!」
「え? 私は事実を述べたまでです!」
「唯……」
私は物言いたげな眼差しのジルを無視して、沈む筋肉集団を見下ろした。
だってさ!騎士団に所属する騎士達の内の八割が婚約者も恋人もいないんだよ?!
多すぎない?!
……因みに、ここまでの流れだと私が『完全異性愛者』推奨の様に思われているかもしれないが……性別なんて関係ない派である。色々な愛の形があるなんて素敵じゃないか。
私が憤っている理由は、この世界の騎士は中途半端に筋肉を愛しているからだ。
『俺は一生筋肉だけで良い!!』とか『筋肉があれば何も要らない!!』って程に突き抜けていれば、私もここまでの行動は実行しなかった。
……なのに奴らときたら……
恋人が欲しいと言うくせに何もしないヘタレ集団ときた。
蓋を開けてみれば、アインさんとドライさんがいっぱいだったのだ。
ついつい、訓練所の地面を抉っちゃったよねー。
既婚者や恋人、婚約者、そして真の筋肉愛好者以外、そのまま下に落下して……『ザブン』させた。
ふー……。私のチートさんがとても素晴らしい働きをしてくれました。
『水没筋肉君』である。
あ、そうだ。このお仕置きには比較対象者が欲しかったのだ。
それは勿論…………この人だ。
「えい!」
「……うわっ!?」
私は万能の力で強化させた両手でジルの背中を押した。
そう、水がたっぷり入っている抉れた地面の中へと突き落としのである。
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