猪娘の躍動人生

篠原皐月

10月 謎の女性(ひと)

「藤宮さん、ちょっと食べながら話を聞きたい事があるんだが……」
 昼休みに部屋を出た美幸は、社員食堂に向かって歩き出した所を追いかけて来た城崎に、怪訝な視線を向けた。


「仕事中では駄目なんですか?」
「半分はプライベートだから、あまり周囲に聞かれたく無くてね」
 すこぶる真面目に答えた城崎が答えると、(それなら半分は仕事に関係する事だろうし……)と、相手が口から出任せを言うタイプでは無いと、分かる程度には信頼している相手の言う事でもあり、美幸はすぐに了承の返事をした。


「分かりました。これから一緒に食べる約束をしていた同期の子に断りを入れますから、少し待っていて下さい」
「悪いな」
 申し訳無さそうに短く謝った城崎に、美幸は不思議に思いつつ軽く頷き、約束していた晴香に急用ができたと断りのメールを入れ、ビルの外に出て二人で歩き出した。
 城崎が「こちらの都合に付き合わせているから、今日は奢る」との申し出に、美幸は素直に行きつけのカフェを選択して城崎を案内する。そして女性客が圧倒的に多い店内で二人掛けの席を確保し、二人ともパスタセットを注文してから改めて美幸が問い掛けた。


「それで、どういったお話でしょうか?」
 その問いかけに対し、城崎は多少困惑した素振りを見せてから、慎重に話し出した。


「その……、この前の歓迎会の時、君がすぐ上のお姉さんの事について言及したのを覚えているか?」
「えっと……。はい。その節は自宅まで送って頂き、ありがとうございました。上司の手を煩わせるなんて何事だと、一番上の姉にみっちり叱られました」
 自分の発言内容を振り返りつつ、その時の失態も思い出した美幸は、些か気まずい思いで頭を下げる。しかしそれには構わず、城崎は話を続けた。


「藤宮さんを送って行った事に関しては、一向に構わないんだが……。実は今日、社長経由で見合いの話が来たんだ」
 そこで唐突に告げられた内容に、セットのサラダに手を延ばしかけた美幸の動きが止まる。


「は? 『誰』と『誰』の見合い話ですか?」
「『俺』と、君のすぐ上のお姉さんの『藤宮美野さん』だ」
(君が相手だったら、一も二も無く即決で受けたんだがな……)
 そんな事を密かに考えた城崎だったが、余計な事は一言も漏らさずスープの入ったカップを持ち上げて、中身を一口飲んだ。それと殆ど同時に、美幸の狼狽した声が上がる。


「何ですかそれはっ!!」
「藤宮さん! 声が大きい!」
「すっ、すみませんっ! でもっ! 何で、どうしてそんな事になってるんですか?」
 立ち上がりこそしなかったものの、店内中に響き渡る声を上げた美幸を慌てて窘めてから、城崎は冷静に確認を入れた。


「君がそこまで驚くという事は、やはり家の中でこの事は、話題になってはいないんだな?」
「はい、初耳です! どうしてそんな話があるのに、妹の私が知らないんですか? 係長とは同じ職場なんですから、話が伝わらない筈無いのにおかしいですよ!」
「そうだろうな。これは意図的に外されたのか? 裏で白鳥先輩が、妙な事を考えていそうだが……」
 力一杯訴えた美幸から微妙に視線を逸らしながら城崎が考え込むと、美幸が不思議そうに口を挟む。


「係長? 秀明お義兄さんが、どうして妙な事を考えるんですか?」
 その様子から、過去に他人の迷惑など顧みる事など無かった男が、恐らく義妹達には未だに本性を露わにしていないのだろうと察した城崎は、それを正直に告げた場合の制裁を考えて、誤魔化すことにした。その為、かなり歯切れの悪い物言いになってしまう。


「その……、先輩は結構悪戯好きと言うか、傍迷惑と言うか……。自分が楽しむ為には、手段と労力を厭わないと言うか……」
「あの真面目で優しいお義兄さんがですか? そんなのありえませんから。係長、何をそんなに被害妄想じみた事を言っているんですか?」
 心底呆れた風情で美幸に断言され、城崎は思わず小声で忌々しげに呟く。


「完璧に婚家で、猫被ってやがんな。あのぬらりひょん野郎……。嫁までだまくらかしてんじゃねぇだろうな?」
「係長、今何か仰いました?」
「いや、何でもない」
 そこで城崎は何とか気を取り直し、乱暴になった口調を戻して話を進める事にした。


「藤宮さんを送って行った時に顔を合わせて、初めて先輩が婿養子に入っていた事を知ったんだが、そこで君の一番上とすぐ上の姉さんとも顔を合わせたから、変に目を付けられたのかもな」
「目を付けられたって、どういう意味ですか?」
「君のお姉さんの婿がねにって事」
「はぁ……、だから見合い話ですか」
 今一つ納得しかねる風情で応じた美幸に、城崎は些か気乗りしない表情で問い掛けた。


「あまり想像したく無いんだが……、ひょっとしたら俺は、お姉さんとすぐに離婚したっていう、義理のお兄さんに似ているのか?」
「はぁ? どうしてそんな事を聞くんですか?」
 完全に予想外の方向に話が流れて戸惑う美幸に、城崎が説明を加える。


「その……、外見が似ているせいでお姉さんの気を引いて、それで見合い話が持ち上がったのかとも思ったから」
 そんな推察を城崎が口にしたが、美幸はこれ以上は無いと言う位、力一杯否定した。


「全然、これっぽっちも似てません! あのろくでなし野郎とは月とスッポンです。自信持って下さい、係長! 寧ろ係長が良いから縁談を纏めてと姉が父や義兄に言ったのなら、やっと人を見る目が備わったのねと、誉めてあげますっ!」
「それはどうも……」
(手放しで誉めてくれるのは嬉しいが、もしその通りだった場合、面倒な事になるのは確実だから、素直に喜べない……)
 そんな微妙な心境に陥っている城崎には構わず、美幸は勢い込んで話を続ける。


「姉の結婚が決まった時も、多少見た目が良くて仕事は出来るかもしれないけど、何でこんな胡散臭い人と結婚するのかと疑問に思った位ですから」
「そうか。じゃあやはりお姉さん主導で話が出た訳じゃ無くて、先輩辺りが俺に白羽の矢を立てたとでも考えるのが、自然かな?」
「恐らくその線が強いと思います。これまでも姉夫婦が、結構再婚を勧めていたみたいですし。係長がお義兄さんの後輩なので、気心が知れているから話を出したのかも。これまで美野姉さんは縁談に見向きもしないで、最近では引き籠もりっぽくなっていましたし」
 そう言って思わず溜め息を吐いた美幸に、城崎は軽く頷いてみせた。


「それならやはり、ご家族は心配するだろうな。大体の事情は分かったよ。ありがとう」
「いえ、何だか身内の事で係長を煩わせてしまって、申し訳ありません」
「多少驚いたが実害は無いし、構わないさ。じゃあ急いで食べるぞ。時間が押している」
「え? やだ、本当。急がないと休憩時間が終わっちゃう!」
 城崎に促され、いつの間にか目の前に置かれていたパスタと時間を確認した美幸は、慌ててフォークを手にして食べ始めた。あまり時間に余裕が無い為に、無駄話をせずに黙々と食べる事に専念したが、両者とも釈然としない気分で食べ進める。


(全く……、ただでさえ職場で色々懸念事項があるってのに。どうして更に面倒な事になるかな。きちんと断ったから、これ以上長引かないとは思うが)
(どうして唐突に美野姉さんと係長の縁談? 第一、美野姉さんはこれまで父さんや姉さん達が勧めても、その手の話に一切乗って来なかったのに……。まあ、確かにさっき言ったように、課長は有能だし格好良いから無理ないかもしれないけど……)
 そして食べ終わってからは、お約束通り「姉の事で変な気を遣わせてしまったみたいなので、今日は私が奢ります!」「いや、付き合って貰ったのはこちらの方だからやっぱり俺が」とレジの前で押し問答してしまい、結局時間ギリギリに小走りで部屋に戻る羽目になって、「何で二人で、息を切らして帰って来るんだ?」と周囲から不審がられる羽目になった。


 それ以降も、課長たる真澄の不調、もしくは不穏な状態の煽りを密かに被っていた城崎の中では、忙しさに紛れて見合い話を聞いた翌週にはそれをすっかり忘れ去っていた。しかしそれがまだ終了していなかったと城崎に認識させる出来事が、予想外の方向からやって来た。


「係長? 何だか最近お疲れですよね。今日は夕飯を一緒に食べていきませんか? 俺が奢りますから」
 自社ビルを出て幾らも歩かない所で追いかけてきた高須にそんな事を言われた城崎は、思わず自嘲的な笑みを漏らす。


「……俺は自分で思っていた以上に、ヤキが回ったらしいな。高須に慰められる羽目になるとは、落ちたものだ」
「ちょっと酷いですよ、係長!?」
「悪い悪い、本気で言った訳じゃないぞ?」
「それ位、分かってますがね」
 男二人で並んで歩きつつ、苦笑いでそんなやり取りをしていると、前方に立ちふさがる様に一人の女性が立ち、静かに声をかけてきた。


「今晩は、城崎さん。今お帰りですか?」
「え?」
「あなたは?」
 足を止め、思わず当惑した顔を二人揃って相手に向けると、二十代半ばに見えるセミロングの落ち着いた感じの女性は、小さく笑って挨拶してきた。


「お忘れですか? 先日お目にかかりました、藤宮美野です」
 そう言って軽く頭を下げた美野に、城崎が慌てて弁解する。
「あ、いえ、勿論覚えてはおりますが……」
「良かった。私、他の姉妹と比べて印象が薄いと常日頃から言われてますから、すっかりお忘れかと思いまして」
 多少自虐的な響きが入ったその台詞に、城崎は一瞬(ひょっとしたら嫌味か?)とも思ったが、比較的角が立たない物言いを心掛けた。


「さすがにそれはありません。確かに妹さんは、あらゆる意味でインパクトが有る女性かもしれませんが」
「あの、課長? こちらはひょっとして……」
 ここで恐る恐る口を挟んできた高須に、城崎はその場の流れで相手を紹介する。


「ああ、こちらは藤宮のすぐ上のお姉さんに当たる美野さんだ。藤宮さん、彼は部下の高須です。勤続三年目で、妹さんの先輩になります」
「まあ、初めまして。いつも美幸がお世話になっています。美幸は他の方にご迷惑を掛けたりはしていませんか?」
「いえ、ご安心下さい。藤宮が入ってくれて、皆助かっています」
「それなら良かったわ」
 にこやかに話しかけてくる美野と笑顔で幾つかの言葉を交わしてから、高須は城崎のスーツの袖を軽く引き、小声で尋ねた。


「係長。何で例のお姉さんが、ここに居るんです?」
「いや、それが俺にもさっぱり」
 ボソボソとそんなやり取りをしていると、美野がいきなり爆弾発言を放った。


「ところで城崎さんは、私とのお見合いをはっきりきっぱりお断りされたそうですね」
「……はあ、それは確かに」
「ちょっ……、係長、マジですかっ!? 藤宮の姉さんと、一体どういう関係になってるんですか?」
「どんな関係にも、なってるわけないだろうが! ちょっとは落ち着け!」
 狼狽して自分の両腕を掴んで問い詰めてきた高須を、幾らか動揺しながらも城崎が引き剥がして言い聞かせたが、美野のどこかのんびりとした声が続く。


「私……、お見合いで断られた事は何度もありますけど、お見合い自体を断られたのは初めてでしたので、ちょっと出向いて来てしまいました」
「あの……、それで、何でしょうか? 文句を仰りたいとかですか?」
「いいえ? 益々興味が湧いたので、ちょっとお食事をご一緒しようかと思いまして」
(まるで意味が分からん。本当に、何を考えてるんだ、この女性)
(流石藤宮の姉さん。次の行動や思考回路の予測が付かない……)
 邪気のない笑顔で誘われた城崎と、その目配せを受けてしっかり空気を読んだ高須は、息を揃えて断りの台詞を口にした。


「あの、せっかくですが、今日は彼との約束がありまして」
「実は、係長と二人で飲みに行く約束をしていまして、ご遠慮して頂けますか?」
「それなら好都合ですわ。是非高須さんの目から見た、普段の美幸の働きぶりとかもお聞きしたいです。支払いは全額私が持ちますから、お二人で思う存分食べて飲んで下さいね?」
「え? あの、ちょっと」
「その……、藤宮さん?」
 しかし遠慮するどころか、美野は素早く両手で城崎と高須の腕を掴み、上機嫌で促した。


「さあ、どちらのお店ですか? 決まっていないなら私の行きつけのお店で構いません? すぐそこに車を待たせていますから」
 勿論、本来なら鍛えている筈のない華奢な手で握られた位で、大の男二人が動揺する筈もないのだが、無理に振り払ったりしたら相手に怪我をさせるかもしれないという懸念と、美幸の身内相手に揉めて良いのだろうかという遠慮も加わり、二人は進退窮まった。
 そして無言で判断を求めてきた高須の視線を受け、城崎は完全に抵抗を諦める。


「……すぐ近くの居酒屋ですので、ご案内します」
「宜しくお願いします」
 そうして高須も巻き込んだ変則的な飲み会をする事になった城崎だが、取り敢えずこの日だけで相手の気が済むと考えていたのは、彼らしくない判断ミスだった。


「係長? 往来のど真ん中で何を揉めてるんですか? また新しい女と別れ話で揉めてるとかですか?」
 帰宅しようとして社屋ビルから出た所で、瀬上は前方で若い女性と何やら話し込んでいる上司の横顔を認めて、眉間に皺を寄せた。城崎の有能さは同じ職場で働き出してから、嫌というほど分かっていたが、それが想い人の元恋人となるとかなり複雑な心情になるのは、仕方のない事である。
 しかし今は職場から離れたプライベートな時間かつ場所であり、嫌味の一つもかましてやろうと声をかけながら近寄ったのだが、何故か振り向いた城崎は、瀬上に喜色満面で呼びかけた。


「瀬上! 遅かったじゃないか!」
「え?」
 予想外の反応に瀬上が当惑すると、以前と同様城崎の腕を掴んでいた美野が、ちょっと考え込む素振りをしてから口を開く。


「瀬上さん? ひょっとして……、美幸の同僚の方ですか?」
「美幸、と仰いますと……、あなたは藤宮さんのご家族か何かですか?」
 瀬上の問いかけは美野と城崎、双方に対しての問いかけだったのだが、城崎はその問いを綺麗に無視した。


「仰る通りです。実は今日は、彼と今後の仕事の話をしながら食事をする約束になっていまして」
「は? 何を言ってるんですか。俺はそんな約束」
「したよな、瀬上!?」
「……しましたね」
 質問に答えない上、予定になかった事を口走る城崎に瀬上は当惑して口を挟もうとしたが、その途端明らかに殺気を含んだ視線で念を押され、思わず視線を逸らしながら素直に頷く。しかし美野はそんな微妙な空気などお構い無しに前回同様瀬上の腕も確保し、笑顔で二人に申し出た。


「それならお二人ご一緒に。他のお客に気兼ねなくお仕事の話ができる様に、中華料理店の個室を押さえますから、思う存分意見を戦わせて下さいね? その合間に美幸の仕事ぶりを、瀬上さんの口からもお聞きできれば嬉しいです」
「はぁ……、え? あの、係長?」
「…………」
 もはや諦めの境地で一言も発しない城崎と、困惑しきりで抵抗するきっかけを失った瀬上を連れて、美野は意気揚々と馴染みの店に向かったのだった。


 そんな事があった翌週、同僚達から簡単に事情を説明された理彩が、憤慨した様子で自社ビルから表通りへと足を踏み出した。


「全く、大の男が揃いも揃って、女一人に何手玉に取られてるのよ、情けないったらありゃしない!」
「ですが仲原さん、何かあの人笑顔が怖くて」
「腕掴まれたら、どうしてだか振り払う気が起きなくて」
「得体が知れない圧迫感と言うか何と言うか……」
「それ位、あの規格外の藤宮の姉なんだから当然でしょうが!? 人類外生物に遭遇した訳じゃあるまいし、何をぐだぐだ言ってるのよ。ところで……、その藤宮の姉さんって美人なの?」
 半分好奇心、半分対抗心から出た理彩の問いに、ぞろぞろと周りを歩いていた男達は、真顔で答える。


「それはまあ、それなりに?」
「藤宮とは、また違ったタイプの美人だな」
「俺としては、藤宮より寧ろ彼女の方がタイプですね」
「お、本気か高須!? そうか~、ちょっと得体が知れなくても、ああいう見た目の女が好みか~」
「それなら俺から部長に頼んで、俺の代わりにお前との見合いを進めて貰うか?」
「ちょっとやめて下さい、瀬上さん、係長まで!」
「黙んなさい!」
 高須がポロッと漏らした一言に食いついて盛り上がった三人を一喝し、理彩は「全く……」と愚痴を零した。流石に自分達の尻拭いをさせる為に理彩を引っ張り出した事を思い出し、三人も神妙な顔付きになる。そこで例によって例の如く穏やかな笑顔の美野が現れ、城崎達に向かって声をかけてきた。


「今晩は、城崎さん。皆さんもお揃いなんですね。職場の人間関係が円滑な様で、結構ですこと」
「初めまして。藤宮さんのお姉さんですね? 私、仲原理彩と申します。藤宮さんとは、最近一緒に働き始めたばかりですが」
 城崎達が何も言わないうちに、理彩が一番前に進み出て名乗りを上げ、相手にきちんと引導を渡そうとしたものの、何故か美野は今まで高須や瀬上に見せた事がない明るい笑顔で、嬉々として理彩の手を取った。


「嘘!? 女性の同僚の方がいらしたの? 美幸ったら家でそんな事、今まで一言も言ってなかったのに!」
「え?」
「仲原さんと仰いましたね? 是非あなたの口から職場の話を色々お伺いしたいわ。ええ、今すぐこれから!!」
「え? あの、ちょっと!!」
 言うだけ言って待てないとばかりにグイグイ手を引っ張る美野に、流石に理彩が狼狽した。しかしそれには全く構わずに、美野が別れの挨拶を告げる。


「じゃあ城崎さん、瀬上さん、高須さん、今夜はこれで失礼しますわね。またの機会にお食事をご一緒しましょう。ごきげんよう!」
「どうも……」
「ちょっと係長!?」
「……大丈夫、会計は向こう持ちだから」
「瀬上さん!」
「お疲れさまです」
「高須君まで! 何考えてんのよ、裏切り者ぉぉっ!?」
 華奢な外見に似合わず、自分より上背のある理彩を引きずっていく美野を何とも言えない表情で見送った三人は、恨みが籠った理彩の叫びを耳にして、軽く溜め息を吐いた。


「……まあ、大して実害は無いだろう」
「そうですね。明日黙って恨み言を聞きますから」
「明日、仲原さん用の差し入れ持参して出勤します」
 そうして顔を見合わせた三人は、互いに「お疲れ様」と挨拶を交わして帰宅した。



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