転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第108話 楔として 紅竜 VS ケルヌンノス その1

「俺だって好きでミイラになってないよ!」
包帯に巻かれながら、俺は叫んでいた。
「全く急に巻かれるとは思わなかった。」
“ヒデヒデはミイラが似合うね!!”
“それよりもさっさと出るが良い”
「分かってるよ」


そうして、俺は全身に魔力を纏うと黒い鎧の外装が
全身を覆った。
その瞬間、全身を巻いていた包帯は飛散した。


「おっ、紅竜の感じが少なくて、ディノスの力が強く感じるな」
“我の力がしっかりと伝わっている証拠だな”
「なら、今回はしっかりとこの力を使ってみて、調べるか」


そうして、俺はグルグル巻きにした張本人を見つめた。
見つめた矢先にまた、ぐるぐる巻きにされたから
動いて、 飛散させた。
そしてまたぐるぐる巻きにされて、、、、
を何度も繰り返していた。


俺の外装で包帯を飛散させた姿は紅竜にも見えていた。


「さすがじゃな」
「まさか、オシリスの捕縛術をいとも簡単に突破するとは…」
「あれがお主らが楔にしようとしておる男の実力じゃ
 さて、わっしらも遊ぼうかの」
そうして、ニヤッとして全身に力を貯めた。


竜型になれば話は早いが、それでは面白くないと
今まで全力ではしてこなかったことを紅竜は試した。
これもヒデアキと一緒にいた為なのかと
苦笑いを感じながら人型で竜の姿へと変えた。


手足、尾が竜のものになり胴体と顔がそのまま
竜人とも見えるが似て非なる姿で君臨していた。


その一部始終を見ていたケルヌンノスは
久しぶりに感情を味わっていた。
この竜がこれからもたらしてくれる時間が
楽しみで仕方なかった。


変化を見届けたケルヌンノスはまた一直線に突っ込んでいった。
「また、吹っ飛ばされるなよ」
「舐めるでないぞ、鹿よ」
その一言でケルヌンノスは怒りを持って威力を上げて
紅竜に突っ込んだ。
だか、先程とは違い紅竜はっ飛ばずにケルヌンノス
の頭を片腕で掴み、止めた。
そして、もう片方の腕でおもいっきり顔面を
正面から殴り付けた。
その衝撃でケルヌンノスはぶっ飛んだ。


ケルヌンノスは理解できなかった。
なぜ、自分の一撃を片腕で止められた上に
ダメージを貰ったことを。
ここ何千年感じたことのない感情が今度は大声となり発された。


百獣の神が放つその声は全ての者に畏怖を与える。
紅竜ですら、恐怖を感じ意識が飛びかけた。
だか、飛ぶ寸前に聞こえたのはいつも聞いてきた声だった。
「あ~!!!!うるせぇぇぇぇぇぇ!!!!」
ぐるぐる巻きに何度もされて
イライラしていた男の声だった。

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