転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第89話 この世界でのポジション 冒険者

「ハハハハハ、美味いだろ!
 俺も久しぶりにこんな料理作れて、ギルマス始め聖女様や紅の竜にまで
 喜んでもらえて嬉しいよ」
厨房の方から出てきた女性。
彼女こそがこの酒場のマスターでもあり料理長であるディガ。


「しかし、この亀は中々手に入らない食材だから
 こんなに取れて驚いているよ、ギルマス。」
「この亀達は、調査の最中見つけた上
 やった本人達も狙っていた訳ではないから
 偶然でしょうね」


うん、その通り。


「やった本人って紅の竜はわかるが相手は誰なんだい?
 フェルディナンドかい?」
「いや、こちらのヒデアキくんさ」
「へぇ〜〜〜強そうには全く見えない男だね!」
「初めまして、そう言われるとそれであっている気もします」
「ご主人様は強いんですよ!」
そう言って立ち上がり、強く抗議をディガに伝えるアマリア。
「おぉ〜お嬢ちゃん、ごめんね
 悪気はなかったんだが、驚いてしまってね」
「そう見えないかもしれませんが、強いのです!」
{主人様、見た目ではないですから、心配しないでくださいね!}
“お主は貧弱だからの”
“君の見た目は若いから、そう見られても仕方ないよ、中身はわからないから”


アマリアを始め、シオリ、ディノス、セイさんからフォローが入る。
自然な流れだったので気づくのが遅くなったが
ディノスはディスってきた。


「まぁここまでこれるんだから、それなりに強いんだろうな!
 ランクはなんだい?ヒデアキ!」
俺が内からフォローについて考えていたらそう聞いてきた、ディガ。
「ランクですか?」
「そう、ランク。この街まで来れるって事はB以上だとは思うが」
「あぁそれはこちらから話そう
 そういえば、詳細は伏せて会議をしていたからな」
「どういう事だい?」
「彼はまだ冒険者登録はしていないから」
「はぁ〜あ!!!!?!!!?」
事の流れを、ディガに語り出す、ギルマス ルベリー。


「彼は偶然、誘拐されて迷界樹の森に入り
 偶然、森で出会った少女とこの街を目指し」
 その流れでアマリアを指し、アマリアはエッヘンと自慢げに返した。


「その道中偶然、聖女と白騎士御一行と出会い」
その流れでウルスを指し、なぜか照れて反応するウルス。


「偶然、この街にいた紅姫と一戦交えて、今日ここにいる。」
その流れで紅姫を指し、紅姫はガツガツと俺のスープを飲んでいた。


「だから、まだ冒険者ではないよ、ディガ。」
話し終わると広がる、静寂。
ほぼほぼ事実なのだが、大事な部分は語れないので
だいぶ端折って伝えたお陰ではっきりと文章になると
胡散臭さ倍増してしまっていた。


それに耐えきれなくなった、俺は一言。


「なんか、すいません。」


「あぁそれとヒデアキ君には言ってなかったけど
 君は今日、申請してもらってAランクスタートだから
 よろしくね!」


「はぁ〜あ!!!!?!!!?」
いきなりの発言で俺までもディガ同様驚きの声が出てしまった。

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