転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第69話 ウンター・ヴェルト 紅事件 おいてけぼりの聖女。

「この個体は多分、この辺のカイザーシュピンネの王だと思うのだが」
フェルディナンドも困惑していると
「フェルディナンドさんの言う通りですよ!
 それに私もこの森ではある程度名が通ったブラッドマンイーターでしたが
 ご主人様と出会ってクイーンバトラーになりましたし!」
そう、興奮しながら伝えてくる、アマリア。
その発言に頭を抱えるフェルディナンドとルベリーであった。


その側でずっとおいてけぼりになっているのは
聖女 ウルス・フォン・ミルヒシュトラーセと白騎士御一行。
自身の父親である、国王ルートヴィヒ ミルヒシュトラーセが見た。
迷界樹の暗黒街 ウンター・ヴェルトで起こる 紅い竜と迷界樹の主と人間との激闘
そして
自身が見た
迷界樹の森から起きる大きな爆発と爆発の中にいる、竜と竜の外装を持つ人が争っている中での
竜の火球が、色々な方面に飛び、その一つが王都に届き炎上している
その未来を変える為に、ここまできたのに関わらず
それに関わっている紅き竜が暴れているのにも関わらず
ずっとおいてけぼりになっている。


「フェルディナンド様、ここにいても大丈夫なのでしょうか?
 ヒデ様は大丈夫なのでしょうか?」
「聖女殿、本来であればここに来られた理由なども含めて
 しっかりとお聞きするはずでしたが、こうも物事が進んでしまって
 対応が遅くなり、申し訳ありませんね。」
「いえ、こちらは教会の使者として来ていますので」
「それにしては、護衛が白騎士ですか?」
「父が心配性でして」
「まぁ、その心配は無用でしたね、まさか、彼があれほどとは…」


巨大な竜の姿になった紅姫の姿は遠くに小さく見えるが先ほどから
頭を掴まれて振り回され、地面に叩きつけられたり
自分が放った火球が返され、逆に口の中に戻され悶絶していたりと
一方的にやられている姿が見える。


「あのヒデ様は一体…」
「それはまだ、わかりませんがーーーーーーーーー」


その時、世界から色が消えて、グレーの世界となり時が止まった。
そして意識だけが羽ばたき、迷界樹の森を見渡せる空に
また、止まっていた。


そして自分の隣に現れる、女性。
〝くれぐれも自重してくださいねとお伝えしたのに、全く!
 そりゃ、何もなく衰退するだけの世界だったとしても
 それでもやりがいはあったのに、
 あの人が転生してからずっと絶対神への報告とか
 今までにないくらい面倒毎が増えてるのに!〟
とずっと、文句を言っている女神の姿があった。


「あの………もしかして、女神ファティマ様ですか?」
〝失礼しました、心の声がダダ漏れていましたね
 私は貴女に助けて欲しいのです!
 というか、助けてください!!
 お願いします!!〟


ウルスは女神から懇願されて、またおいてけぼりをくらった。

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