転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第58話 ウンター・ヴェルト 紅事件 実力に驚く。

「君たちの遊び、私も混ぜて貰おう。」
そう、今まで一番冷たい声で、主として
一人と一匹に伝えた。


一人と一匹は、ただただ衝動によって動いていた。
一人は、自分の中にある絶望を理解されて落ち着くまで止まらない。
一匹は、自分と自分が理解し一つになるまで止まらない。


そして、そこに迷界樹の主 フェルディナンドも参戦始めた。


一人、一匹のステージを作るようにそしてその破壊衝動を閉じ込めておく為に


「森羅万象」


その一声で薔薇のドームが完成した。


「少しそこで勝手におとなしくしていなさい。」


そう呟き、振り返り聖女、白騎士、ギルドマスター、アマリアに事の流れを説明しようと思っていた。


あの巨大なドームはそう簡単には破壊されない。
懸念があるとしたら、紅姫の火球。
だが、爆音が聞こえた。
手首より先がなくなっていたが、自己再生で回復中の男が立っていた。
ただただ殴り続けるというただの暴力でドームの一部が粉砕された。


「力のみで突破するとは、君には驚かされてばかりだ。」
フェルディナンドはヒデを止める為ではなく、殺す為に構えを変えた。


「待ってください!」


大きな声で一緒にいた聖女、白騎士、ギルドマスター、ナンド、ディナンも驚いた。
特に、ディナンはアマリアにべったりの状態で大声を出されたので
クラクラしていた。
「アマリアちゃん、どうしたの!?」
大きな声でクラクラしながら、アマリアに聞くディナン。


「私に、対応させてください!」
その言葉に驚く、一同。


「君にご主人が討てるのかい?普通の人間ではあの結界球は壊せない。
 壊せたとしたら、人ならざるものになっていると思った方が良い」
「いえ、ご主人様は、ご主人様です!
 今はまだ違うかもしれませんが、必ず戻ってきます。
 それがシオリ様、コブシ様、私のご主人様です!」
「そう言われもね…」
困っているフェルディナンド。
「…………そうね、アマリアちゃん…」
少し考え込む、ディナン。


「なら、こうしましょう?
 あなたがもしあの状態のご主人様を元通りに戻るまで
 止めれられていればそれでよし。
 ダメだったら、フェルディナンドに討って貰いましょう。」
「それは良いが…」


フェルディナンドは驚いていた。
まさか、ディナンから案が出されると思っていなかった。
ナンドは男の子としてなんでも首を突っ込みたがる性格をしているが
ディナンは確信がなければ動かないタイプ。
そして、興味が無ければどんなに悲惨な状況でも手は貸さないタイプだったからだ。


呆気に取られていたからかすんなり通す、フェルディナンド。
「ありがとうございます、ディナン様、フェルディナン様」
そう伝えてから駆け出していった、アマリア。
自分が大好きになった、ご主人様に戻ってもらう為に
大好きな人に自分の力を見てもらう為に
色々な感情を持って、アマリアはヒデと対峙する。

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