転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第24話 迷界樹の暗黒街へ向かう道中 ファティマが教えてくれた事。

〝改めて、私の名はファティマ 立花秀明さんに事の経緯をお話ししましょう〟
と女神ファティマが語り始めた。


〝貴方は向こうの世界でホームから飛び降りをして命を絶ちました。
 本来であれば魂のみが私達の世界に来て、赤子からの転生する予定でした〟


えっ、待って
ということは最初から何もかもが違うということか!?


〝はい、貴方は魂のみではなく、肉体までこちらの世界に来ましたが
 その状態ではすぐに消えゆく存在でした
 向こうの世界のイメージで言えば存在が薄い幽霊のような状態〟


最初からしてハードモードだったんだな俺のこっちの人生は!


〝その状態でもこちらの世界でも存在が消えれば私達の世界に来て
 私と話をすることには違いありませんでした〟


俺は消える前にあるものとぶつかった。
それが俺の人生を変えたんだとなんと感じた時に
『わっしのお陰で、お主は生き延びたのか!』
そうです、貴方のお陰ですよ、紅竜さん。
自分で言わなきゃ、もっと感謝できたのに!
『もっと有難がっても良いぞ!、ホラホラ』
こんなにも感謝の言葉を強要させられるとは…
驚きだよ!!


「あの…………ご主人様を連れて行くのですか?」
今まで女神に見惚れていたアマリアがファティマに聞いた。


〝偶然か必然かは判りませんが、その紅竜の中をすり抜けた時に
 この世界に必要な分のエネルギーを奪ったお陰で
 貴方はこちらの世界に定着しました。
 もう私達女神が出来ることはほとんどありませんよ〟


「よかった……」と安心するアマリア。


『そうか、奪ったことになるのか』
〝はい、形的にはそうなりますね〟
『本体は怒っておるじゃろうな〜』
えっ、怒ってるの??
『いきなり力を奪われたんじゃから怒るじゃろ、普通』
〝本体自体の力の減りは1〜2割ですが
 本来、竜から力を奪える事などは稀なので
 現在、全力で探しているそうですよ〟
「えっ?そうなの?」
〝本体の紅竜さんに早く会えるかもしれませんね。〟
笑顔で言ってくる、ファティマ
しかし、その笑顔はどう見ても、貴方がやられるのが楽しみですという様な
含みがある笑顔だった。
「もしかして、女神様は俺のことを厄介ものとか思ってますか…?」
恐る恐る聞いてみた


〝そんな事ありませんよ、貴方のお陰で急にこの世界の流れが変わったり
 本体の紅竜が少し弱体化したお陰で竜の中のパワーバランスが崩れたり
 この森自体のパワーバランスを大きく変えられたりしましたが
 全く、これっぽっちも何も思ってませんよ〟


笑顔で一息で語った、女神 ファティマ。


うん、本気で俺のことが厄介なんだろうな。
にしても、わかりやすいなこの女神は!。

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