転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第4話 変移の形 ジビエ料理に挑戦、そして一輪の花

目の前に、横たわる巨大なスタンプボア。


これをどうしようかと考えていたら
グゥ〜とお腹がなった。
食べるものは目の前にはある。
紅い竜の知識の中で食べれることは確認している。
ただ、赤き竜は味に関しては美味しくないと思っているんだなと感じた。


美味しくないのかぁ〜と思いながらも
食べ方も赤きイメージも伝わった。
そのまま齧りつき、骨、肉関係なくそのまま噛み砕いていた。
それ以外に調理の方法を知っているからもっと変えられると炎を出しながら、思った。


「よしまずは、血抜きだな」


大きな木の近くまでスタンプボアを引きずりながら持っていき
木に巻きついている、太いツタを必要な長さを取る。
そのツタは、巨大な生き物に絡みつけば動きを封じる位の強さを持っているのは
赤きイメージで伝わっている。


それをスタンプボアの後ろ足に巻きつけて
高めの枝に投げ反対から引っ張り、吊し上げた。
両手に魔力を入れると竜の力が現れた。
スタンプボアの真下を少し、凹ませてから
スタンプボアの頭を落とした。
頭が落ちて、血が流れ出した。


それを確認してから、枝を探しに歩き始めた。
枝を集めて、炎を起こして大きめの焚き火を作った。


「これなら夜も寒くないぞ」


暖を取れる安心感はありがたみを感じた。
その火を見ながら、少しのんびり過ごした。


そして、吊るされているスタンプボアを
そろそろ降ろそうと思った時。。。


身体中に荊棘が絡まった。


「シャー、シャー」


顔にも荊棘が絡まっているが目を覆うほどではないので
隙間から、俺を絡めている正体を見た。


一輪が30センチ前後の赤い花
バラのようにみるが花弁が開くとそこには大きな口と牙があった。


ズルズルとその花に引っ張られていく。
荊棘の中で、全身に魔力を流した。
全身を竜の力で先に守り
全身に炎を纏うイメージで魔力を炎に変えた。
全身が燃え上がり、荊棘を燃やした。


燃えた荊棘の上から更に新しい荊棘を巻きつけてくるが
それらもすぐに燃え広がり、一輪の花の方まで炎が流れていく。
その時、なんとなく感じた。
その花が恐怖を感じていることを。
それがわかった瞬間に体が動いた。


炎が花の方まで伝わるよりも先に花を掴み、荊棘のツタを断ち切った。
綺麗に炎から守り、根元まで綺麗に抜いてしまった花は
襲うわけでもなく、ユラユラ揺れていた。


俺を喰わせるわけにはいかないが
さっきのスタンプボアの頭や血は与えてもいいかと思って
スタンプボアの真下の穴に足で土をかけてから持っている花をその上に植え直した。


スタンプボアを下ろして、それぞれのパーツに分解していく。
「それにしても紅い竜の知識は本当に便利だな〜」
やったことのない事が、知識としてあり、実際に動けるのはありがたい。
こちらの世界の知識はあの赤い竜との出会いもあるので
紅竜の智識こうりゅうのちしきと称して今後も活用していこうと思った。


「でも、あの紅き竜はスタンプボアをバリバリ食ってたけど、解体も出来るんだな」
『当たり前じゃ、わっしは人間とも過ごしたこともあるわい!!』
「そんな経験もしてるんだな」


時々帰ってくる返事は、紅竜の会話こうりゅうのかいわと称して楽しもうと思った。

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