転移したのに人間じゃない!?

逢夢

第5話 変移の形 ジビエ肉を楽しみ、新しい出会い

紅竜の会話こうりゅうのかいわを少ししただけで
 紅竜はお転婆なんだろうなと感じた。
竜なのに、人と一緒に過ごすことを楽しめるんだから
普通の竜ではないと勝手に想像していた。


『まぁ、人と旅するのもわっしの気分次第だしの〜
 飽きたら、突然去るのが乙というもんじゃ!』
お転婆ではなく、気分屋だった。。。


そんなことより『そんなこととはなんじゃ!!』
無視して料理を始めよう。


色々な部位に分かれたスタンプボア。
焼く前に焚き火の両サイドに棒を立てて火の上を渡せるようにした。


そして、モモ肉を木の皮を剥いだ大きな枝を指して
焼いていく。


もっと色々やり方はあるんだろうけど
肉の塊を食べたいからこうしてみた。


時間が掛かるのは仕方ないので、火を見ながら待つ。


位置として、自分→焚き火と肉→さっき植えた花。(→は視線の流れ)
火と肉の先に見える植え替えたばかりの赤い花も
先ほどとは違い元気に吸い上げているような動作をしていた。
「スタンプボアの頭と血でも喜んでもらえたようだな」


肉を回しつつ、のんびりと待っていると良い匂いが漂ってきた。
もういいかなと思い、肉を持ち上げて
一気にかぶりついた。
美味すぎる!!!!
何も味付けしてないのに、美味すぎる!
これはヤバイな!止まらない!!
あっという間に大きかった肉を平らげた。


お腹は満たされたとして、残りの肉はどうするか見たら
一本の荊棘が肉を持ち上げていた。
その荊棘には感情があるかのように、ビクッと視線があったのを気づいたかのように
肉を持ち上げながら、おどおどしていた。


荊棘の元はあの赤い花。


「ちょっと待ってろ、生肉も良いとは思うが、焼いた肉も食べてみろ」


持っていたのが、ロースの部位だったで苦笑しながらも
その部位をまた焼いていく。
焼いている間は言葉が通じたのか、素直に待っていた荊棘。
焼き終わったことを伝えると一気にその肉を持ち上げ
自身の所へ持ち帰っていった。


赤い花は花弁を開き、大きな口で肉を食べている。
その光景を見ていて
美味しく食べている人のように見えて、なんとなく肉をあげてよかったと感じた。


食べ終わり、花弁から荊棘が伸び、別の肉を指していた。
「まだ、食えるのか?」
花弁と荊棘は上下に動いた。
「食える時には食っとく感じでまた捕まえればいいか」
そう思って、荊棘が指したヒレ肉を焼き始める。


「しかし、うま味の強い部位が好きだね、君は」


そういうと、荊棘をトグロに巻き上げた感じにして
サムズアップしてきた。
「どこで覚えるんだ、そんなこと!」

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