エルティモエルフォ ―最後のエルフ―
第117話
「オラァー!!」
最初に動き出したのは槍の男、ヘルバシオだ。
一気に加速し、その勢いのまま武器の槍でレイナルドの足を目掛けて突き刺してきた。
自信がある、速度を生かした刺突攻撃を重視した戦い方なのかもしれない。
その攻撃を、レイナルドは横に飛んで躱す。
「ムンッ!!」
それを読んでいたのか、躱したレイナルドを待ち受けたように回り込んだ斧の男、コルデーロが、振り上げた斧をそのまま振り下ろしてきた。
筋骨隆々の体の見た目通り、振り下ろされた斧は爆発するように地面を弾けさせた。
急遽方向転換したレイナルドに躱されたが、普通ならそれだけで近付くことくをためらわせる。
もしかしたら、それを狙ったのかもしれない。
「ハッ!!」
そして、今度は剣と盾を持った男、ビルヒニオが、移動したレイナルドの背後から盾を前にして体当たりをかましてきた。
上半身も下半身も、金属の鎧を装備していることから、防御からのカウンターが得意なタイプだろう。
シールドアタックをしてきたビルヒニオの頭上を、レイナルドはジャンプをすることで躱した。
「「もらった!!」」
ここまでを予想していたのか、もしくはたまたまなのか。
空中では攻撃を躱すことができないと思ったヘルバシオとコルデーロは、レイナルド目掛けて魔法を放った。
速度重視で魔力球が、レイナルドに向かって飛来した。
「まぁ、確かに避けられはしないが……」
“パンッ!!”“パンッ!!”
「「「っ!?」」」
左右から飛んできた魔力球を、レイナルドは空中にいながら蹴りと拳で弾き飛ばした。
エルフは生け捕りにしなければならないため、多少威力を抑えて放った魔力球だったとは言っても、あまりにもあっさりと防がれたことに、3人とも驚きの表情へと変わった。
「この程度なら効かないな……」
「あっさりだと……?」「上手く連携したのに……」「こいつ、本当にエルフなのか?」
まさか、あの程度で仕留められると思っていたのだろうか。
レイナルドは余裕の表情で3人を眺めた。
すると、3人はこの結果が信じられないのか、小さく何かを呟いていた。
人族大陸では、エルフはハーフだろうと弱いものだと有名らしいが、もしかしたらそれもあっての攻撃だったのかもしれない。
「チャンスだな」
“パンッ!!”“パンッ!!”“パンッ!!”
驚いている理由はどうあれ、かかって来ないならこっちが攻撃するだけだ。
そう考えたレイナルドは、3人に向けて銃を撃った。
「おわっ!?」「おっと!?」「フンッ!!」
速度重視のため、防御用の装備をあまり装着していないヘルバシオと、斧を振るのに上半身に余計なものを付けるのを嫌うコルデーロは、武器で弾いて何とか難を逃れる。
そんな2人とは違い、防御力の高いビルヒニオは盾を上げるだけでレイナルドの弾丸を弾いた。
飛んできた攻撃に慌てている仲間を見て、いつも重装備を軽く揶揄されているビルヒニオは、言わんこっちゃないと言いたげに冷めた目をしていた。
“スッ!!”
「っ!?」
防がれると分かった上で重装備のビルヒニオに弾を飛ばしたのは、盾で視界が遮られるのを見越していたからだ。
ビルヒニオは確かに重装備だが、フルフェイスという訳ではないので、顔の部分は装備が薄い。
カウンターを主体とする戦闘スタイルでは、防御後の攻撃を繰り出す時に視界が狭まるのが嫌だからかもしれない。
ともかく、盾で防いで一瞬レイナルドを見失ってしまったのは失策だ。
盾を下した瞬間、すぐ目の前にはレイナルドが迫っていた。
「うごっ!?」
装備を考えると攻撃できるのは顔だけ。
レイナルドは右拳でビルヒニオの顎を思いっきり打ち上げた。
綺麗にアッパーカットを食らったビルヒニオは、衝撃で兜が吹き飛び、顎を打たれて脳が揺れたのか、そのまま仰向けに倒れて行った。
「野郎!!」「このっ!!」
ビルヒニオが倒されたことで、ヘルバシオとコルデーロは、レイナルドに向かって距離を詰めてきた。
それを見て、レイナルドはその場から後方へ距離を取ろうとする。
「逃がすかよ!!」
移動速度の速いヘルバシオは、レイナルドにすぐに近付き、高速の突きを連射してきた。
その攻撃を躱すため、レイナルドは更に後方に下がろうとするが、ヘルバシオは更に追って来る。
“パンッ!!”
このままではドンドン下がっていくだけなので、レイナルドは引き金を引く。
しかし、発射された弾は、ヘルバシオには当たらず横を通り過ぎて飛んで行った。
「へっ!! どこ狙って……」
躱すまでもないレイナルドの攻撃に、ヘルバシオは鼻で笑った。
距離が近いにもかかわらず、攻撃を外すなんて命中力が低い。
主力の武器にするなら、せめて敵に当てられる物にするべきだ。
「っ!?」
しかし、弾が飛んで行った方向を見て、レイナルドを追うのをやめて、すぐにそちらに向かって走っていった。
弾が飛んで行った先には、レイナルドが殴り倒したビルヒニオが横たわったままでおり、頭に穴が開いていた。
「嘘だろ……?」
気を失って、魔闘術を発動していない状態のビルヒニオ。
そんな状態で魔力が込められた弾を受ければ、当然このような結果になる。
コルデーロもビルヒニオの所に来て、脈があるかを確認する。
しかし、ビルヒニオからは脈が感じられない。
コルデーロは、ヘルバシオに向かって頭を左右に振る。
即死だったようだ。
それが信じられないようにヘルバシオが呟くが、俯いているコルデーロを見て疑う余地はなかった。
最初に動き出したのは槍の男、ヘルバシオだ。
一気に加速し、その勢いのまま武器の槍でレイナルドの足を目掛けて突き刺してきた。
自信がある、速度を生かした刺突攻撃を重視した戦い方なのかもしれない。
その攻撃を、レイナルドは横に飛んで躱す。
「ムンッ!!」
それを読んでいたのか、躱したレイナルドを待ち受けたように回り込んだ斧の男、コルデーロが、振り上げた斧をそのまま振り下ろしてきた。
筋骨隆々の体の見た目通り、振り下ろされた斧は爆発するように地面を弾けさせた。
急遽方向転換したレイナルドに躱されたが、普通ならそれだけで近付くことくをためらわせる。
もしかしたら、それを狙ったのかもしれない。
「ハッ!!」
そして、今度は剣と盾を持った男、ビルヒニオが、移動したレイナルドの背後から盾を前にして体当たりをかましてきた。
上半身も下半身も、金属の鎧を装備していることから、防御からのカウンターが得意なタイプだろう。
シールドアタックをしてきたビルヒニオの頭上を、レイナルドはジャンプをすることで躱した。
「「もらった!!」」
ここまでを予想していたのか、もしくはたまたまなのか。
空中では攻撃を躱すことができないと思ったヘルバシオとコルデーロは、レイナルド目掛けて魔法を放った。
速度重視で魔力球が、レイナルドに向かって飛来した。
「まぁ、確かに避けられはしないが……」
“パンッ!!”“パンッ!!”
「「「っ!?」」」
左右から飛んできた魔力球を、レイナルドは空中にいながら蹴りと拳で弾き飛ばした。
エルフは生け捕りにしなければならないため、多少威力を抑えて放った魔力球だったとは言っても、あまりにもあっさりと防がれたことに、3人とも驚きの表情へと変わった。
「この程度なら効かないな……」
「あっさりだと……?」「上手く連携したのに……」「こいつ、本当にエルフなのか?」
まさか、あの程度で仕留められると思っていたのだろうか。
レイナルドは余裕の表情で3人を眺めた。
すると、3人はこの結果が信じられないのか、小さく何かを呟いていた。
人族大陸では、エルフはハーフだろうと弱いものだと有名らしいが、もしかしたらそれもあっての攻撃だったのかもしれない。
「チャンスだな」
“パンッ!!”“パンッ!!”“パンッ!!”
驚いている理由はどうあれ、かかって来ないならこっちが攻撃するだけだ。
そう考えたレイナルドは、3人に向けて銃を撃った。
「おわっ!?」「おっと!?」「フンッ!!」
速度重視のため、防御用の装備をあまり装着していないヘルバシオと、斧を振るのに上半身に余計なものを付けるのを嫌うコルデーロは、武器で弾いて何とか難を逃れる。
そんな2人とは違い、防御力の高いビルヒニオは盾を上げるだけでレイナルドの弾丸を弾いた。
飛んできた攻撃に慌てている仲間を見て、いつも重装備を軽く揶揄されているビルヒニオは、言わんこっちゃないと言いたげに冷めた目をしていた。
“スッ!!”
「っ!?」
防がれると分かった上で重装備のビルヒニオに弾を飛ばしたのは、盾で視界が遮られるのを見越していたからだ。
ビルヒニオは確かに重装備だが、フルフェイスという訳ではないので、顔の部分は装備が薄い。
カウンターを主体とする戦闘スタイルでは、防御後の攻撃を繰り出す時に視界が狭まるのが嫌だからかもしれない。
ともかく、盾で防いで一瞬レイナルドを見失ってしまったのは失策だ。
盾を下した瞬間、すぐ目の前にはレイナルドが迫っていた。
「うごっ!?」
装備を考えると攻撃できるのは顔だけ。
レイナルドは右拳でビルヒニオの顎を思いっきり打ち上げた。
綺麗にアッパーカットを食らったビルヒニオは、衝撃で兜が吹き飛び、顎を打たれて脳が揺れたのか、そのまま仰向けに倒れて行った。
「野郎!!」「このっ!!」
ビルヒニオが倒されたことで、ヘルバシオとコルデーロは、レイナルドに向かって距離を詰めてきた。
それを見て、レイナルドはその場から後方へ距離を取ろうとする。
「逃がすかよ!!」
移動速度の速いヘルバシオは、レイナルドにすぐに近付き、高速の突きを連射してきた。
その攻撃を躱すため、レイナルドは更に後方に下がろうとするが、ヘルバシオは更に追って来る。
“パンッ!!”
このままではドンドン下がっていくだけなので、レイナルドは引き金を引く。
しかし、発射された弾は、ヘルバシオには当たらず横を通り過ぎて飛んで行った。
「へっ!! どこ狙って……」
躱すまでもないレイナルドの攻撃に、ヘルバシオは鼻で笑った。
距離が近いにもかかわらず、攻撃を外すなんて命中力が低い。
主力の武器にするなら、せめて敵に当てられる物にするべきだ。
「っ!?」
しかし、弾が飛んで行った方向を見て、レイナルドを追うのをやめて、すぐにそちらに向かって走っていった。
弾が飛んで行った先には、レイナルドが殴り倒したビルヒニオが横たわったままでおり、頭に穴が開いていた。
「嘘だろ……?」
気を失って、魔闘術を発動していない状態のビルヒニオ。
そんな状態で魔力が込められた弾を受ければ、当然このような結果になる。
コルデーロもビルヒニオの所に来て、脈があるかを確認する。
しかし、ビルヒニオからは脈が感じられない。
コルデーロは、ヘルバシオに向かって頭を左右に振る。
即死だったようだ。
それが信じられないようにヘルバシオが呟くが、俯いているコルデーロを見て疑う余地はなかった。
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