エルティモエルフォ ―最後のエルフ―
第14話
9月に入り、寒さも少しずつ収まって来たような気がする。
畑も、腐葉土を混ぜた土で畝を作ってある。
あとはジャガイモを植えるだけの状態だが、探知術が海岸から拠点までまだ届かないでいる。
拠点から海岸は3kmちょっと、高低差も合わせると更にもう少し距離を伸ばす必要がある。
一応少しずつ距離は伸びているので慌てる必要はないのだが、色々とやりたいことがあるケイにはもどかしい思いがある。
「…………昆布欲しいな」
現在、1km半くらいの周囲を探知できるようにはなっている。
しかし、探せる範囲に昆布が見つからないでいた。
もっと遠くまで探知できるようにならないとダメなようだ。
「……………あれっ? 待てよ」
探知を行なう練習をかねて、いつものようにわかめの採取をしていた時、ケイはあることに気が付いた。
今まで自分を中心にして、魔力を周囲へ均等に広げるように意識していたが、何もわざわざ探知しなくても良いような方向にまで広げているのが無駄に思えた。
そもそも、魔力の一部を僅かとはいえ変化できるのなら、一方向だけに伸ばすということもできるのではないだろうか。
そう思い、ケイは探知を海に向かってだけ魔力を伸ばせないか試してみた。
「……できんじゃん」
結果は、結構簡単にできた。
しかも、一方向だけに伸ばす方がそちらに意識が集中するからか、距離が稼げるようだ。
この方法を使った場合、どれほどの距離が探知できるのかやってみたら、3kmほどまで伸び、拠点まであと少しで届きそうだ。
「これでジャガイモ植えられそうだな」
今一番近い目標のゴールが一気に近付き、気持ちが大分楽になった。
ケイがこれまでに入手した魔石は4つ。
蛙の魔物から手に入れた1つは釣り道具の向上させるために、初スライムから手に入れた1つは魚醤用の器をつくるために錬金術で使用した、
残りの蛇の魔石も錬金術に使った。
岩場に流れ着いた死体から手に入れたナイフの刃先を折り、その金属を使って大工道具であるのみを作った。
何故のみを作ったかというと、西の陸地に向かう方法を考えたからだ。
「こちらからあちらまでの距離は最短で……12mくらいか?」
ケイがいる小島と西にある陸地で一番近くて大体目算12mくらい。
高さは同じくらいなので、その分の計算はいらない。
独り言のように呟きながら、ケイは地面にざっと計算を書いていく。
「そうなると、8つ作って……」
西の陸地に行くには、この崖を飛び越えるか海から向かうしかない。
海から向かうとしたら、潮が引いた時に僅かに頭を覗かせる岩を足場にして近付いて行くしかない。
この周辺の波は結構荒いので、渡っている時に強めの波が来たら、5歳のケイでは一飲みされてしまうだろう。
当然泳いで行くことも不可能。
なので、海から向かう選択はできない。
となると、崖の間に橋を作って移動するしかない。
ただ、橋を作ってしまうとケイが渡ることができるのと同時に、魔物まで渡ってきてしまうようになる。
そう頻繁に戦えるほど、ケイの魔法は上達していない。
魔力を溜めるまで少しの時間がかかることから、恐らく複数の魔物をいっぺんに相手にできない。
強そうな魔物や複数との戦いになりそうになったらこちらの島に逃げ、すぐに橋をなくすことができるようにしたい。
そんな橋を作る方法を思いついたのだ。
「橋と木の板と考えればいいのか……」
考え付いたのは梯子を使った橋。
この橋を造るために、大工道具ののみを作った。
4mほどの長さの橋を4つ作り、軽いアーチ状になるように組み立てる。
それを対岸に渡す。
同じものをもう1つ作り、1mくらいとなりに並べる。
その2つの橋に横板を並べ、ケイの体重が乗っても大丈夫な橋が完成する。
向こうに渡り、急いで戻って橋を消す。
完成した橋で一度試して見ることにした。
横板は木の杭で橋に留めてあるので、走ったとしてもずれる心配はない。
「おぉ、大丈夫そうだ!」
西の陸地に渡り、拠点のある小島に走って戻る。
そして、橋を魔法の指輪に収納して消す。
考えていた通り実験は成功した。
ケイが付けている魔法の指輪は、一辺4mの正立方体の空間分収納できる。
4m以上の長さの木を収納しようとしてもできない。
立法体なのだから、斜めに入れるということを考えると4mより少しくらい長くても入るかもしれないが、多くの数は入らない。
そのため、4mというのが重要になる。
4mの長さの橋を木の杭で留めて長い橋を造る。
例えばこれを一気に消す場合、収納する時の意識を変えるだけで、一度で収納できるかできないかが変わる。
繋げてできた一つの橋と考えるか、4mの橋が4つとそれを留める杭が数本あるとバラバラに考えるかだ。
前者と考えれば収納できず、後者と考えれば収納できる。
考え方の違いで、収納できるかできないかが変わることに気付けたから、この発想を試すことにしたのだ。
また西に渡るときには、魔法の指輪からバラバラの部品を全部出し、また組み立てるしかないという手間がかかるが、並べて木の杭を差し込むだけいいように溝をのみで作ってあるので簡単だ。
西に渡る手段ができたことで、食材探しの範囲がかなり広がった。
後は、魔法など戦闘技術を手に入れるだけだ。
畑も、腐葉土を混ぜた土で畝を作ってある。
あとはジャガイモを植えるだけの状態だが、探知術が海岸から拠点までまだ届かないでいる。
拠点から海岸は3kmちょっと、高低差も合わせると更にもう少し距離を伸ばす必要がある。
一応少しずつ距離は伸びているので慌てる必要はないのだが、色々とやりたいことがあるケイにはもどかしい思いがある。
「…………昆布欲しいな」
現在、1km半くらいの周囲を探知できるようにはなっている。
しかし、探せる範囲に昆布が見つからないでいた。
もっと遠くまで探知できるようにならないとダメなようだ。
「……………あれっ? 待てよ」
探知を行なう練習をかねて、いつものようにわかめの採取をしていた時、ケイはあることに気が付いた。
今まで自分を中心にして、魔力を周囲へ均等に広げるように意識していたが、何もわざわざ探知しなくても良いような方向にまで広げているのが無駄に思えた。
そもそも、魔力の一部を僅かとはいえ変化できるのなら、一方向だけに伸ばすということもできるのではないだろうか。
そう思い、ケイは探知を海に向かってだけ魔力を伸ばせないか試してみた。
「……できんじゃん」
結果は、結構簡単にできた。
しかも、一方向だけに伸ばす方がそちらに意識が集中するからか、距離が稼げるようだ。
この方法を使った場合、どれほどの距離が探知できるのかやってみたら、3kmほどまで伸び、拠点まであと少しで届きそうだ。
「これでジャガイモ植えられそうだな」
今一番近い目標のゴールが一気に近付き、気持ちが大分楽になった。
ケイがこれまでに入手した魔石は4つ。
蛙の魔物から手に入れた1つは釣り道具の向上させるために、初スライムから手に入れた1つは魚醤用の器をつくるために錬金術で使用した、
残りの蛇の魔石も錬金術に使った。
岩場に流れ着いた死体から手に入れたナイフの刃先を折り、その金属を使って大工道具であるのみを作った。
何故のみを作ったかというと、西の陸地に向かう方法を考えたからだ。
「こちらからあちらまでの距離は最短で……12mくらいか?」
ケイがいる小島と西にある陸地で一番近くて大体目算12mくらい。
高さは同じくらいなので、その分の計算はいらない。
独り言のように呟きながら、ケイは地面にざっと計算を書いていく。
「そうなると、8つ作って……」
西の陸地に行くには、この崖を飛び越えるか海から向かうしかない。
海から向かうとしたら、潮が引いた時に僅かに頭を覗かせる岩を足場にして近付いて行くしかない。
この周辺の波は結構荒いので、渡っている時に強めの波が来たら、5歳のケイでは一飲みされてしまうだろう。
当然泳いで行くことも不可能。
なので、海から向かう選択はできない。
となると、崖の間に橋を作って移動するしかない。
ただ、橋を作ってしまうとケイが渡ることができるのと同時に、魔物まで渡ってきてしまうようになる。
そう頻繁に戦えるほど、ケイの魔法は上達していない。
魔力を溜めるまで少しの時間がかかることから、恐らく複数の魔物をいっぺんに相手にできない。
強そうな魔物や複数との戦いになりそうになったらこちらの島に逃げ、すぐに橋をなくすことができるようにしたい。
そんな橋を作る方法を思いついたのだ。
「橋と木の板と考えればいいのか……」
考え付いたのは梯子を使った橋。
この橋を造るために、大工道具ののみを作った。
4mほどの長さの橋を4つ作り、軽いアーチ状になるように組み立てる。
それを対岸に渡す。
同じものをもう1つ作り、1mくらいとなりに並べる。
その2つの橋に横板を並べ、ケイの体重が乗っても大丈夫な橋が完成する。
向こうに渡り、急いで戻って橋を消す。
完成した橋で一度試して見ることにした。
横板は木の杭で橋に留めてあるので、走ったとしてもずれる心配はない。
「おぉ、大丈夫そうだ!」
西の陸地に渡り、拠点のある小島に走って戻る。
そして、橋を魔法の指輪に収納して消す。
考えていた通り実験は成功した。
ケイが付けている魔法の指輪は、一辺4mの正立方体の空間分収納できる。
4m以上の長さの木を収納しようとしてもできない。
立法体なのだから、斜めに入れるということを考えると4mより少しくらい長くても入るかもしれないが、多くの数は入らない。
そのため、4mというのが重要になる。
4mの長さの橋を木の杭で留めて長い橋を造る。
例えばこれを一気に消す場合、収納する時の意識を変えるだけで、一度で収納できるかできないかが変わる。
繋げてできた一つの橋と考えるか、4mの橋が4つとそれを留める杭が数本あるとバラバラに考えるかだ。
前者と考えれば収納できず、後者と考えれば収納できる。
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