異世界転生で貰ったチートがTS魔法少女変身能力でしたがこの世界で頑張るしか無いようです
36 訓練開始!
「っという事で追い出されましてー。それからアイドルと魔法少女をやってるイオンさんの話を聞いて、その二つを名乗ってるのなら地球生まれの転移者かなあって思って探してたんですよー。」
「はー、結構しんどいね。大変だったね、柊さん。」
「しおんでいいですよー。」
何とか危機を脱し聖女柊しおんを村に案内しようと廃村に向かっている途中の事だ。
彼女がこの異世界に来て10年という事や召喚されて以来帝国の王様に奴隷のように働かされていた事。
市民へのプロパガンダにされ、戦争をやらされ、ようやく独裁王から解放されたと思ったら今度は和平の邪魔だからと死んだことにされ、国外追放されたらしい。
吐き気をもよおすほどのハードな人生に目眩がする。
聖女物の話では酷い扱いをされるのはざらではあるが、しおんの辿った軌跡はそんじょそこらの物ではないだろう。
話してないことも一杯ある筈だ。
私はその軽やかに語る一言一言に彼女の受けてきた仕打ちの重みを感じつつ、この人には自分の事を話したくなり。
「ちょっといいかな。私の事を話したいんだけど。」
「はい!聞きたいです!」
「じゃあ今から私の本当の姿を見せるけど驚かないでね?」
「.....?」
彼女は首をかしげながら興味津々な様子で目を輝かせていた。
その反応をちらっと横目で確認し、少し深呼吸をして変身を解いていく...指先は太くなり、髪は黒く変色し、イオンの特徴あるサイドポニーテールは変身用魔方陣が通過するとどこかへと跡形も無く消えていった。
服装もしおんの様に村人らしい白の半袖に茶色のズボンを履いているのを目と両手で触れて確かめ、彼女の表情を見てみようかなと顔を横に向けると...
「ふう...お待たせ...ってあれ?しおん?....あ。」
しおんの姿が何処にもなく後ろに振り返ると眼が飛び出さないか心配になる程驚いている聖女様が数メートル後ろで固まっていた。
俺はふうっと小さく息を吐き、来た道を少し戻っていく。
「あー...大丈夫か?...おーい。おーいってば!」
「....はっ!?すいません、ちょっとトリップしてました...」
「はは...」
ルーミアの皆は慣れてしまっているので俺も感覚が麻痺していたが、改めて外の人に教えるとこうなるんだなと痛感し、乾いた笑いが出てしまった。
毛先から爪先までじろじろと何度も見ていたしおんが意外に詳しいのか言い当てる。
「もしかしてTSですか?」
「良く知ってるな。でもちょっと惜しい。ただのTSじゃなくて魔法少女になるんだよ。」
俺が自慢気に話すとふおおおおと興奮しだして鼻息をふんふん鳴らし、更に目を輝かせていた。
「私漫画とかアニメとか大好物で良く魔法少女のとか深夜アニメとか見てたんで、まさかそんな主人公っぽくて多種多様な属性持ちがリアルで見れるなんてっ!感動ですっ!」
「そ、そうか。そりゃよかったな...」
その興奮冷めやらぬ様子に俺は...ドン引きした。
オタク系女子や腐女子はこういう連中だというのをこちらに染まりすぎて忘れてしまっていたようだ。
ようやく落ち着いたしおんが...
「はー、やっぱり転移すると特別な能力が発現するんですねー。」
そう聞いてくるもんだからつい答えてしまった。
「そうだな。俺は転生だけど。」
「転生なんですかっ!?死因は?」
だから答えたくなかったのだ。
良くライトノベルなんかで転生を明かした際に「何で死んだの!?」なんて無遠慮に聞くヒロインが良くいるが、本人からしたら自分の死んだときの事なんて思い出したくもないわ。
そう心の中では思っていても隣にいる聖女様は気付かずずっと待っているのでため息を吐きながら答えることにした。
「はあ....実はさ...神様の手違い?というか間違いで殺されて、めんどくさいからって適当にこの世界に放り出されました....」
「.....それは....ご、御愁傷様です....ほ、ほらっ!話は此処までにしてほらっ!急ぎましょう!」
こめかみを押さえ、涙を流していた俺にどんな言葉を描ければいいのか分からないしおんは話を逸らそうと谷の奥地を指差し背中を押してきた。
そして俺は胸中にある悲しみと怒りを再度あの悪神に向けて念を送ることにした。
ーーーーーーーー。
それから数時間後....
「なるほど...ではしおんさん...でしたか?御協力頂けると?」
「はい!お任せ下さい!」
「ほほ、助かりますの。ではイオン殿、しおん殿あと数日の間お願いしますぞ?」
「分かりました。ラケルタを使い物に出きるよう努力します。」
私としおんは転生や転移、聖女の事を伏せながらしおんの事を伝え、協力してくれる旨を話した。
「では結界魔法...でしたか。そちらの方、よろしくお願いします。イオンさんもどうぞよろしく。」
フォルテが頭を下げると、村長さんも一礼した。
それを見届け私達は話もそこそこに外に出る。
「ではこれからそのラケルタという少年を鍛えるんですか?」
「まあね。今から。」
「今からですか!?」
まあ驚くのも無理はないだろう。
なんたってアリアから命からがら生き延びた彼に今日の今日で訓練をさせようと言うのだから。
「まあね。ほら、筋トレは疲れた時点からが本番だからね。」
「うわあ...なかなかスパルタですねー。」
それくらいしないとまともにならないと思うけど。
汗を一雫流しながら苦笑いしているしおんと話していると、ラビを頭に乗っけたラケルタが余程急いだのか息を切らしながら走ってきた。
「ラケルタくん。大丈夫だっ....」
「イオンさんご無事でしたか!?はあ...よかったあ...あ、どうも。」
「初めまして~。しおんって言いま~す。宜しくお願いしま~す。」
纏っている雰囲気と同じくほんわか自己紹介すると、ラケルタもペコペコ何度も頭を下げて自己紹介し始めたと思ったら。
「あなたがラケルタくんなんですねー。お話は聞いてますよ?頑張ってくださいねー。イオンさんたらあなたの話ばかりするんですよぉ?」
「は、はい!そうなんですか!?あ、あの...僕の事なんて言ってました...?」
「はいはいはい!もういいでしょ!?ほら離れる!」
目の前でそんな話されると気恥ずかしいので咄嗟に間に入りぐいっと距離を空けさせる。
「あのさラケルタくん、急なんだけどこれから」
「イオンさん!お願いします!今から鍛えてもらえないでしょうか!」
「あらあら。」
そう言ったラケルタの表情はもう情けない顔ではなく、覚悟を決めた男の顔だった。
勿論私の答えは決まってる。
「当然!私はスパルタだからね!厳しくいくよっ!」
「はい!よろしくお願いします!」
「ふふ。スポコンですねー。」
「あっ、自分熱いの苦手なんで。」
水を差したラビを皆で蹴っ飛ばした。
「はー、結構しんどいね。大変だったね、柊さん。」
「しおんでいいですよー。」
何とか危機を脱し聖女柊しおんを村に案内しようと廃村に向かっている途中の事だ。
彼女がこの異世界に来て10年という事や召喚されて以来帝国の王様に奴隷のように働かされていた事。
市民へのプロパガンダにされ、戦争をやらされ、ようやく独裁王から解放されたと思ったら今度は和平の邪魔だからと死んだことにされ、国外追放されたらしい。
吐き気をもよおすほどのハードな人生に目眩がする。
聖女物の話では酷い扱いをされるのはざらではあるが、しおんの辿った軌跡はそんじょそこらの物ではないだろう。
話してないことも一杯ある筈だ。
私はその軽やかに語る一言一言に彼女の受けてきた仕打ちの重みを感じつつ、この人には自分の事を話したくなり。
「ちょっといいかな。私の事を話したいんだけど。」
「はい!聞きたいです!」
「じゃあ今から私の本当の姿を見せるけど驚かないでね?」
「.....?」
彼女は首をかしげながら興味津々な様子で目を輝かせていた。
その反応をちらっと横目で確認し、少し深呼吸をして変身を解いていく...指先は太くなり、髪は黒く変色し、イオンの特徴あるサイドポニーテールは変身用魔方陣が通過するとどこかへと跡形も無く消えていった。
服装もしおんの様に村人らしい白の半袖に茶色のズボンを履いているのを目と両手で触れて確かめ、彼女の表情を見てみようかなと顔を横に向けると...
「ふう...お待たせ...ってあれ?しおん?....あ。」
しおんの姿が何処にもなく後ろに振り返ると眼が飛び出さないか心配になる程驚いている聖女様が数メートル後ろで固まっていた。
俺はふうっと小さく息を吐き、来た道を少し戻っていく。
「あー...大丈夫か?...おーい。おーいってば!」
「....はっ!?すいません、ちょっとトリップしてました...」
「はは...」
ルーミアの皆は慣れてしまっているので俺も感覚が麻痺していたが、改めて外の人に教えるとこうなるんだなと痛感し、乾いた笑いが出てしまった。
毛先から爪先までじろじろと何度も見ていたしおんが意外に詳しいのか言い当てる。
「もしかしてTSですか?」
「良く知ってるな。でもちょっと惜しい。ただのTSじゃなくて魔法少女になるんだよ。」
俺が自慢気に話すとふおおおおと興奮しだして鼻息をふんふん鳴らし、更に目を輝かせていた。
「私漫画とかアニメとか大好物で良く魔法少女のとか深夜アニメとか見てたんで、まさかそんな主人公っぽくて多種多様な属性持ちがリアルで見れるなんてっ!感動ですっ!」
「そ、そうか。そりゃよかったな...」
その興奮冷めやらぬ様子に俺は...ドン引きした。
オタク系女子や腐女子はこういう連中だというのをこちらに染まりすぎて忘れてしまっていたようだ。
ようやく落ち着いたしおんが...
「はー、やっぱり転移すると特別な能力が発現するんですねー。」
そう聞いてくるもんだからつい答えてしまった。
「そうだな。俺は転生だけど。」
「転生なんですかっ!?死因は?」
だから答えたくなかったのだ。
良くライトノベルなんかで転生を明かした際に「何で死んだの!?」なんて無遠慮に聞くヒロインが良くいるが、本人からしたら自分の死んだときの事なんて思い出したくもないわ。
そう心の中では思っていても隣にいる聖女様は気付かずずっと待っているのでため息を吐きながら答えることにした。
「はあ....実はさ...神様の手違い?というか間違いで殺されて、めんどくさいからって適当にこの世界に放り出されました....」
「.....それは....ご、御愁傷様です....ほ、ほらっ!話は此処までにしてほらっ!急ぎましょう!」
こめかみを押さえ、涙を流していた俺にどんな言葉を描ければいいのか分からないしおんは話を逸らそうと谷の奥地を指差し背中を押してきた。
そして俺は胸中にある悲しみと怒りを再度あの悪神に向けて念を送ることにした。
ーーーーーーーー。
それから数時間後....
「なるほど...ではしおんさん...でしたか?御協力頂けると?」
「はい!お任せ下さい!」
「ほほ、助かりますの。ではイオン殿、しおん殿あと数日の間お願いしますぞ?」
「分かりました。ラケルタを使い物に出きるよう努力します。」
私としおんは転生や転移、聖女の事を伏せながらしおんの事を伝え、協力してくれる旨を話した。
「では結界魔法...でしたか。そちらの方、よろしくお願いします。イオンさんもどうぞよろしく。」
フォルテが頭を下げると、村長さんも一礼した。
それを見届け私達は話もそこそこに外に出る。
「ではこれからそのラケルタという少年を鍛えるんですか?」
「まあね。今から。」
「今からですか!?」
まあ驚くのも無理はないだろう。
なんたってアリアから命からがら生き延びた彼に今日の今日で訓練をさせようと言うのだから。
「まあね。ほら、筋トレは疲れた時点からが本番だからね。」
「うわあ...なかなかスパルタですねー。」
それくらいしないとまともにならないと思うけど。
汗を一雫流しながら苦笑いしているしおんと話していると、ラビを頭に乗っけたラケルタが余程急いだのか息を切らしながら走ってきた。
「ラケルタくん。大丈夫だっ....」
「イオンさんご無事でしたか!?はあ...よかったあ...あ、どうも。」
「初めまして~。しおんって言いま~す。宜しくお願いしま~す。」
纏っている雰囲気と同じくほんわか自己紹介すると、ラケルタもペコペコ何度も頭を下げて自己紹介し始めたと思ったら。
「あなたがラケルタくんなんですねー。お話は聞いてますよ?頑張ってくださいねー。イオンさんたらあなたの話ばかりするんですよぉ?」
「は、はい!そうなんですか!?あ、あの...僕の事なんて言ってました...?」
「はいはいはい!もういいでしょ!?ほら離れる!」
目の前でそんな話されると気恥ずかしいので咄嗟に間に入りぐいっと距離を空けさせる。
「あのさラケルタくん、急なんだけどこれから」
「イオンさん!お願いします!今から鍛えてもらえないでしょうか!」
「あらあら。」
そう言ったラケルタの表情はもう情けない顔ではなく、覚悟を決めた男の顔だった。
勿論私の答えは決まってる。
「当然!私はスパルタだからね!厳しくいくよっ!」
「はい!よろしくお願いします!」
「ふふ。スポコンですねー。」
「あっ、自分熱いの苦手なんで。」
水を差したラビを皆で蹴っ飛ばした。
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