異世界転生で貰ったチートがTS魔法少女変身能力でしたがこの世界で頑張るしか無いようです
28 似た者同士
「イオンさんは....討伐するつもりなんですか?」
何を?と問う必要は無いだろう。
恐らくはあの恐竜らしき生物の事だ。
だが何故それを彼が気にするのか、それが分からず少しの間答えられず口をつぐんでいた。
すると考え込んでいた私に、ラケルタが伏し目がちに頭を下げ。
「少しの間待って貰えませんか?」
「え?何で?」
「そ、それは...」
彼のその言葉に動揺を隠せずおうむ返しの様に聞き返す。
だがラケルタは唇をかんで言い淀んでいる...其処で私は遠回しにずっと気になっていた事を聞くことにした。
「...どうしてラケルタくんがあそこ...崩壊した村に居たの?村の人達がいう通りなら君を連れていくなんて考えられないんだけど。」
「それは...はい...悔しいですけどその通りです...あの日僕は彼女に一目会いたくて...隠れてついて行ったんですけど見つかってしまって...」
廃村にいた経緯は理解できたが、何故彼があそこに行く必要があったのかは理解出来なかった私は。
「どういう目的で?それが聞きたいんだけど?やっぱりあの怪物何かあるの?」
「それは...ごめんなさい...言えないんです...」
またか...どうやらあの怪物何かあるみたいだな。
私が外の人間だからなのか、竜神族の問題だからかは分からないが教えられないらしい。
が私は業を煮やして...
「何で?教えられない理由はなんなの?私が村の人じゃないから?私が竜神族じゃないから?」
少し苛ついて話すとその雰囲気を感じ取ったのかラケルタはしきりに焦りだした。
「あ、あの...違うんです...村長から話さないようにって言われてて...」
「ふうん。」
私は座りながら自分の膝で肘をついた。
それ以上彼は話せないのを肌で感じ取り、いい加減うんざりだと申し訳なさそうに俯いているラケルタの手を取り。
「ちょっと一緒に来て。」
「え?...あ、あの!」
「黙ってついてくる!」
「は、はい!!」
無理矢理引っ張っていき村の一番置くにある木製の一軒家の前までやって来た。
「あれ?イオンちゃんどうしたの?」
「村長に用事?」
どうやらこの村で一番の腕利きである、シンオとガレトが村長の家の前に槍を立てながら問いかけてきたので。
「うん。上がらせて貰うよ。」
そう告げるとお互いの槍を交差させクロスさせ、私が通れないようにした。
その行動にムッとした私は感情に任せて聞き返す。
「何のつもりかな?」
「何の用事なのか教えてくれないか?」
「何って...あの怪物の事を聞きに来たんだよ。いい加減隠されるのも腹立ってきたし。」
するとお互いに顔を見合わせた二人が今度はその190センチはあるだろう身体で家の前に通さないように塞いだ。
「それは出来ない。引き返してくれ。ラケルタ、連れていけ。」
「う、うん。それじゃあ...イオンさん...」
ラケルタが私の手を引いて引き返そうとするが、頑として動かない私は槍に手を掛けると、バキバキと音をたてさせながら粉々に破壊した。
流石にその行動に警戒したのか二人が距離を取るが、あの戦いを見た二人は勝ち目がないのを理解しており冷や汗を流してはいるものの、戦士としてのプライド故か逃げ出すことはしなかった。
そこで私は脅しのつもりでラケルタにやったように彼の手を離しハイキックを顔面すれすれになるように放ったのだが...
「これ以上怒らせないでくれるかな?いいから退いて!...うわっ...やっちゃった...」
「あわわわわ....」
私の蹴りから放たれた風圧が二人をぶっ飛ばした。
「うわああっ!」
「ぐあっ!」
茶髪でもみあげを三つ編みにしたシンオは木製の扉に突っ込み玄関口に、黒髪オールバックのガレトは勢いよく扉横の柱にぶち当たり二人とも気絶したみたいだ。
「あー...えと...と、取り敢えず行こっか?」
「は、はははい!」
私の後にラケルタが破壊された出入口を跨ぎ家の中に入る。
玄関口に寝転んでのびているシンオを一瞥し、通路を渡ろうとすると、バタバタと奥の部屋や台所から6人ほどの侍女が姿を現した。
手には槍を持って此方に構え、その内の一人が声を上げた。
「一体何事ですか!こんな事をしてタダで済むとは...」
「退いてくれないかな?村長さんに聞きたいことがあってさ。」
その女性の言葉を遮りながら感情とリンクしているスキル覇気が私の感情の昂りと呼応し発動した。
「.........!?」
「ひっ!」
恐怖心を掻き立てられたのか、口を震えさせ、槍先はぶれ、歯はガチガチと音がなり私が一歩踏み出すと侍女達が二歩下がった。
私はそのまま押し通ろうとしたのだが、背後からこの場にそぐわない喋り方を聞き取りつい振り向いてしまった。
「あの...皆さん様子がおかしいですけど大丈夫ですか?」
私は自分の目を疑った。一番近くに居て、この中で身体も心も一番弱いはずのラケルタが全く微動だにしていなかったからだ。
「ラケルタくん?....その大丈夫...なのかな?」
「え?何がですか?」
その言動に呆気にとられキョトンと目を丸くする。
しかしそこで彼に関するある事が脳裏に浮かんだ。
この子は本当に弱いのか?今にして思えば最初出会った時、逃げろと言われても自分より他人を気遣って逃げようとしなかった。
先程も他の人は竜神族だろうと簡単に吹き飛ばしてしまえたが、彼は耐えるどころか驚いていただけだったし、覇気なんて全く気づいてもいないみたいだった。
確かにラケルタは竜神族の中で最も弱いらしく、歩き方一つ取っても素人で技術が無い事がありありと分かる。
それに気が弱く、戦うことも難しいのだろう...だが逆に考えれば訓練も何もしていないのに自慢する訳じゃ無いが私のスキルや攻撃に初めて耐えた人物であり、その怯えが全面に出ているのも彼の持つ優しさからでは無いだろうか?
(きっと訓練をつけたら私と一緒に戦えるくらいにはなりそうなんだけどな...)
彼のポテンシャルに目を見張る物を感じ、不思議そうに私を見つめている彼の吸い込まれそうな青色の眼を上目遣いで覗き込んでいると...
「あの...イオンさん?」
「あっ!ごめん!」
顔を真っ赤にさせたラケルタの言葉に我に返り、通路側にさっとそっぽを向くと、おもむろに玄関からすぐ近くの客間の扉がガチャっとゆっくり開いた。
中から出てきたのは村長の側近の人で、私を見据えるとゆっくりと口を開き。
「イオン様此方へ...村長がお呼びです。」
「ふう...いやあ、良かったです。これなら暴れずに済みそうですね。あはは。」
その不穏な物言いにクールぶっていた民族衣裳を纏っていたお姉さんの顔色が少し悪くなった気がする。
未だ怯えている侍女をするりと抜け扉を潜ろうとするとラケルタが立ち止まった。
「僕は此処で待ってます。」
と言い出したが振り向いたお姉さんが眼を閉じながら。
「貴方も入りなさい。」
そう告げると「はい...」と複雑そうな表情をさせ、私の後に続いて入室した。
中に入るとフローリング程綺麗では無いがそれなりに整備された木目の床を歩いていくと、奥の壇上で蝋燭に照らされ座布団に腰を下ろしている老婆がいた。
「村長、お連れしました。」
そうお姉さんが告げると老婆がゆっくりとした動作で眼を開くと朗らかな笑顔を溢し。
「ほほ...よく来ましたな。お座りなさい...して、先程なにやら物音がしたが...」
「あ、あの...それは...」
「おいしょっと。」
ラケルタが焦って変なことを言う前に私は地球にいた頃にヤンキーグループに叩き込まれたあれをするべく一旦正座をし。
「ごめんなさい!勢い余ってお家少し壊しちゃいました!」
静かな動作でおでこを床にぴったりつけそれはもう見事な土下座をしながら誠心誠意謝った。
「見ましたがなんと言うことを...どう責任取るつもりですか?」
お姉さんがそう告げ私を見下した目線を送っているのに気付き頭を上げた。
「いやー、どーしましょうね?まさかあんな事になると思いませんでしたから...」
その適当極まる態度に眉間に皺を寄せ、眉は引くついており、今にもぶちギレそうだ。
しかし村長は真逆で朗らかな表情のまま笑い始めた。
「ほほほほほ。よいてよいて。若いんじゃから少しぐらいわんぱくの方がワシのようなジジババは嬉しいものじゃ。ほほほ。」
「あははー、ありがとうございます!」
二人して笑いあっていると怪訝な顔したお姉さんが睨んでくるなかラケルタが耳打ちしてきた。
「す、凄いですねイオンさん。よくこんな時に笑えますね。僕には出来ないです...」
「慣れだよ慣れ。人生色々あるとそれなりの場数踏むからねー。ほんと...色々あった...からね...」
今までの人生の軌跡を噛み締めて、私の人生ろくでもないなと項垂れ、影を落としながらそう返す。
そして過去を思い出し、つい抱えた闇をポツポツと呟いてしまった。
「何なんだろう、私の人生って...学校行ったら総スカン...不良に目をつけられてはパシリにされて...中退して引きこもってたらいつの間にかああなって。自称神様にこんな所に来させられるわ、こっちはこっちで、ギルドから総スカン...冒険者には嫌われて...だと思ったら同性愛者に貞操狙われるし...どうなっとんねん...」
体育座りに体勢を変え、膝に顔を埋めて落ち込んでいるとラケルタが肩が触れそうなくらいの距離に同じ姿勢で影を落としながら不満を語り始めた。
「分かります...所々はよく分かりませんが分かります。そうですよね...なにもしてないのに根暗だからって苛められますし、弱いからって除け者にされますし...」
「わ、分かる...」
その瞬間お互い分かりあえ、顔を見合せ。
「ラケルタくん...」
「イオンさん...」
ガシッと握手をし、友情が生まれた。そして二人して涙を流しながら...
「だよね!でもでも私頑張るから!辛くても頑張るから!」
「ですよね!僕も魔獣になったアリアの分まで頑張ります!」
「あっ!....はああ...」
「ほほ....」
そのラケルタの発言に私は凍りついた。
ついでに場も凍りつき、侍女のお姉さんはこめかみを押さえ大きく深く溜め息を吐き、村長は遠くを見つめながら力無く笑っている。
「え?え?もしかして僕また何かやっちゃいましたか?....あ....」
彼も自分の失言に開いた口が締まらず咄嗟に手で覆い隠し、私はこういう時のお決まりな言葉を口にする。
「お前今なんつった?」
何を?と問う必要は無いだろう。
恐らくはあの恐竜らしき生物の事だ。
だが何故それを彼が気にするのか、それが分からず少しの間答えられず口をつぐんでいた。
すると考え込んでいた私に、ラケルタが伏し目がちに頭を下げ。
「少しの間待って貰えませんか?」
「え?何で?」
「そ、それは...」
彼のその言葉に動揺を隠せずおうむ返しの様に聞き返す。
だがラケルタは唇をかんで言い淀んでいる...其処で私は遠回しにずっと気になっていた事を聞くことにした。
「...どうしてラケルタくんがあそこ...崩壊した村に居たの?村の人達がいう通りなら君を連れていくなんて考えられないんだけど。」
「それは...はい...悔しいですけどその通りです...あの日僕は彼女に一目会いたくて...隠れてついて行ったんですけど見つかってしまって...」
廃村にいた経緯は理解できたが、何故彼があそこに行く必要があったのかは理解出来なかった私は。
「どういう目的で?それが聞きたいんだけど?やっぱりあの怪物何かあるの?」
「それは...ごめんなさい...言えないんです...」
またか...どうやらあの怪物何かあるみたいだな。
私が外の人間だからなのか、竜神族の問題だからかは分からないが教えられないらしい。
が私は業を煮やして...
「何で?教えられない理由はなんなの?私が村の人じゃないから?私が竜神族じゃないから?」
少し苛ついて話すとその雰囲気を感じ取ったのかラケルタはしきりに焦りだした。
「あ、あの...違うんです...村長から話さないようにって言われてて...」
「ふうん。」
私は座りながら自分の膝で肘をついた。
それ以上彼は話せないのを肌で感じ取り、いい加減うんざりだと申し訳なさそうに俯いているラケルタの手を取り。
「ちょっと一緒に来て。」
「え?...あ、あの!」
「黙ってついてくる!」
「は、はい!!」
無理矢理引っ張っていき村の一番置くにある木製の一軒家の前までやって来た。
「あれ?イオンちゃんどうしたの?」
「村長に用事?」
どうやらこの村で一番の腕利きである、シンオとガレトが村長の家の前に槍を立てながら問いかけてきたので。
「うん。上がらせて貰うよ。」
そう告げるとお互いの槍を交差させクロスさせ、私が通れないようにした。
その行動にムッとした私は感情に任せて聞き返す。
「何のつもりかな?」
「何の用事なのか教えてくれないか?」
「何って...あの怪物の事を聞きに来たんだよ。いい加減隠されるのも腹立ってきたし。」
するとお互いに顔を見合わせた二人が今度はその190センチはあるだろう身体で家の前に通さないように塞いだ。
「それは出来ない。引き返してくれ。ラケルタ、連れていけ。」
「う、うん。それじゃあ...イオンさん...」
ラケルタが私の手を引いて引き返そうとするが、頑として動かない私は槍に手を掛けると、バキバキと音をたてさせながら粉々に破壊した。
流石にその行動に警戒したのか二人が距離を取るが、あの戦いを見た二人は勝ち目がないのを理解しており冷や汗を流してはいるものの、戦士としてのプライド故か逃げ出すことはしなかった。
そこで私は脅しのつもりでラケルタにやったように彼の手を離しハイキックを顔面すれすれになるように放ったのだが...
「これ以上怒らせないでくれるかな?いいから退いて!...うわっ...やっちゃった...」
「あわわわわ....」
私の蹴りから放たれた風圧が二人をぶっ飛ばした。
「うわああっ!」
「ぐあっ!」
茶髪でもみあげを三つ編みにしたシンオは木製の扉に突っ込み玄関口に、黒髪オールバックのガレトは勢いよく扉横の柱にぶち当たり二人とも気絶したみたいだ。
「あー...えと...と、取り敢えず行こっか?」
「は、はははい!」
私の後にラケルタが破壊された出入口を跨ぎ家の中に入る。
玄関口に寝転んでのびているシンオを一瞥し、通路を渡ろうとすると、バタバタと奥の部屋や台所から6人ほどの侍女が姿を現した。
手には槍を持って此方に構え、その内の一人が声を上げた。
「一体何事ですか!こんな事をしてタダで済むとは...」
「退いてくれないかな?村長さんに聞きたいことがあってさ。」
その女性の言葉を遮りながら感情とリンクしているスキル覇気が私の感情の昂りと呼応し発動した。
「.........!?」
「ひっ!」
恐怖心を掻き立てられたのか、口を震えさせ、槍先はぶれ、歯はガチガチと音がなり私が一歩踏み出すと侍女達が二歩下がった。
私はそのまま押し通ろうとしたのだが、背後からこの場にそぐわない喋り方を聞き取りつい振り向いてしまった。
「あの...皆さん様子がおかしいですけど大丈夫ですか?」
私は自分の目を疑った。一番近くに居て、この中で身体も心も一番弱いはずのラケルタが全く微動だにしていなかったからだ。
「ラケルタくん?....その大丈夫...なのかな?」
「え?何がですか?」
その言動に呆気にとられキョトンと目を丸くする。
しかしそこで彼に関するある事が脳裏に浮かんだ。
この子は本当に弱いのか?今にして思えば最初出会った時、逃げろと言われても自分より他人を気遣って逃げようとしなかった。
先程も他の人は竜神族だろうと簡単に吹き飛ばしてしまえたが、彼は耐えるどころか驚いていただけだったし、覇気なんて全く気づいてもいないみたいだった。
確かにラケルタは竜神族の中で最も弱いらしく、歩き方一つ取っても素人で技術が無い事がありありと分かる。
それに気が弱く、戦うことも難しいのだろう...だが逆に考えれば訓練も何もしていないのに自慢する訳じゃ無いが私のスキルや攻撃に初めて耐えた人物であり、その怯えが全面に出ているのも彼の持つ優しさからでは無いだろうか?
(きっと訓練をつけたら私と一緒に戦えるくらいにはなりそうなんだけどな...)
彼のポテンシャルに目を見張る物を感じ、不思議そうに私を見つめている彼の吸い込まれそうな青色の眼を上目遣いで覗き込んでいると...
「あの...イオンさん?」
「あっ!ごめん!」
顔を真っ赤にさせたラケルタの言葉に我に返り、通路側にさっとそっぽを向くと、おもむろに玄関からすぐ近くの客間の扉がガチャっとゆっくり開いた。
中から出てきたのは村長の側近の人で、私を見据えるとゆっくりと口を開き。
「イオン様此方へ...村長がお呼びです。」
「ふう...いやあ、良かったです。これなら暴れずに済みそうですね。あはは。」
その不穏な物言いにクールぶっていた民族衣裳を纏っていたお姉さんの顔色が少し悪くなった気がする。
未だ怯えている侍女をするりと抜け扉を潜ろうとするとラケルタが立ち止まった。
「僕は此処で待ってます。」
と言い出したが振り向いたお姉さんが眼を閉じながら。
「貴方も入りなさい。」
そう告げると「はい...」と複雑そうな表情をさせ、私の後に続いて入室した。
中に入るとフローリング程綺麗では無いがそれなりに整備された木目の床を歩いていくと、奥の壇上で蝋燭に照らされ座布団に腰を下ろしている老婆がいた。
「村長、お連れしました。」
そうお姉さんが告げると老婆がゆっくりとした動作で眼を開くと朗らかな笑顔を溢し。
「ほほ...よく来ましたな。お座りなさい...して、先程なにやら物音がしたが...」
「あ、あの...それは...」
「おいしょっと。」
ラケルタが焦って変なことを言う前に私は地球にいた頃にヤンキーグループに叩き込まれたあれをするべく一旦正座をし。
「ごめんなさい!勢い余ってお家少し壊しちゃいました!」
静かな動作でおでこを床にぴったりつけそれはもう見事な土下座をしながら誠心誠意謝った。
「見ましたがなんと言うことを...どう責任取るつもりですか?」
お姉さんがそう告げ私を見下した目線を送っているのに気付き頭を上げた。
「いやー、どーしましょうね?まさかあんな事になると思いませんでしたから...」
その適当極まる態度に眉間に皺を寄せ、眉は引くついており、今にもぶちギレそうだ。
しかし村長は真逆で朗らかな表情のまま笑い始めた。
「ほほほほほ。よいてよいて。若いんじゃから少しぐらいわんぱくの方がワシのようなジジババは嬉しいものじゃ。ほほほ。」
「あははー、ありがとうございます!」
二人して笑いあっていると怪訝な顔したお姉さんが睨んでくるなかラケルタが耳打ちしてきた。
「す、凄いですねイオンさん。よくこんな時に笑えますね。僕には出来ないです...」
「慣れだよ慣れ。人生色々あるとそれなりの場数踏むからねー。ほんと...色々あった...からね...」
今までの人生の軌跡を噛み締めて、私の人生ろくでもないなと項垂れ、影を落としながらそう返す。
そして過去を思い出し、つい抱えた闇をポツポツと呟いてしまった。
「何なんだろう、私の人生って...学校行ったら総スカン...不良に目をつけられてはパシリにされて...中退して引きこもってたらいつの間にかああなって。自称神様にこんな所に来させられるわ、こっちはこっちで、ギルドから総スカン...冒険者には嫌われて...だと思ったら同性愛者に貞操狙われるし...どうなっとんねん...」
体育座りに体勢を変え、膝に顔を埋めて落ち込んでいるとラケルタが肩が触れそうなくらいの距離に同じ姿勢で影を落としながら不満を語り始めた。
「分かります...所々はよく分かりませんが分かります。そうですよね...なにもしてないのに根暗だからって苛められますし、弱いからって除け者にされますし...」
「わ、分かる...」
その瞬間お互い分かりあえ、顔を見合せ。
「ラケルタくん...」
「イオンさん...」
ガシッと握手をし、友情が生まれた。そして二人して涙を流しながら...
「だよね!でもでも私頑張るから!辛くても頑張るから!」
「ですよね!僕も魔獣になったアリアの分まで頑張ります!」
「あっ!....はああ...」
「ほほ....」
そのラケルタの発言に私は凍りついた。
ついでに場も凍りつき、侍女のお姉さんはこめかみを押さえ大きく深く溜め息を吐き、村長は遠くを見つめながら力無く笑っている。
「え?え?もしかして僕また何かやっちゃいましたか?....あ....」
彼も自分の失言に開いた口が締まらず咄嗟に手で覆い隠し、私はこういう時のお決まりな言葉を口にする。
「お前今なんつった?」
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