異世界転生で貰ったチートがTS魔法少女変身能力でしたがこの世界で頑張るしか無いようです
17 アイドルユニット『スターライト』
「ではこれより投票を始めます!皆様お手元の旗を...」
どうやら勝負の結果は事前に渡されていた私達の顔が描かれた旗をどちらか挙げ、その数で競うらしいのだが、そこである女性が手を挙げた。
「待って。私から一言言いたいのだけど。」
「何だよ、シャンテ?まさか私のパフォーマンスがいけないなんて事は...」
「あのね、イオン...私があんたの舞台を台無しにする訳無いでしょ!あんたを悲しませるなんてイオンファンの風上にも置けないわっ!」
いつの間にこの女、私のファンになったのだろうか。
嬉しくない訳では無いが余りの急展開に目眩がする。
「ちょっとイオン大丈夫!?医者を!医者を呼びなさい!くっ!こうなったら仕方ない!私の部屋に連れ込んで今すぐ色々と看病を...」
「シャンテさん!?止めてくださる!?」
ふらついた私を支えながらそんな頭のおかしいイオンクラスタみたいな事を言い出し、身の危険を感じた。
私のファンは揃いも揃って何か薬でもやっているのだろうか?
「えー、こほん。所で話とは?」
「今イオンがふらついてるでしょうがっ!あっ、こらイオンに触らないでっ!」
「ええ!?」
折角呼んだ医者が私の熱を測ろうとおでこを触ろうとしたら威嚇し出した。
「お前が呼んだんだろうが...すいません。この子ちょっと寝不足でおかしくて...」
「い、いえ構いませんよ。それでは私はこれで...」
(本当に申し訳ない...)
気をしっかり持ち直し、寝不足と過労でふらつく足に力を入れて立ち上がる。
「イオン!私に掴まりなさい!さあっ!」
「もういいから...話進まないから早く言って!そんで何なの?」
観客席から笑い声が聞こえてくる。まるでコントをやっている気分に疲れもあり少しゲンナリしていたのだが、残念そうにしている性格破綻者で友人のシャンテがようやく話し始めた。
「この勝負私は棄権します。」
その発言に場がざわめき立つ。それはそうだろう...あれだけ完成度の高い躍りを披露しといて棄権するだなんて何を考えてるんだ。
「は?ちょっとー、シャンテー?イオンちゃんバカだからー、ちょっと何言ってるか分かんないんですけど。」
「はあ...全くイオンは...分かりなさいよね!あんたに勝とうだなんておこがましいにも程があるじゃないっ!」
「バカかな?そんな事してファンの人達に申し訳ないとか思わないのかな?」
シャンテの中で私は一体どういう立ち位置なのか...侮蔑した眼でじろじろと視線を這わせていたらシャンテクラスタの方々が口を開いた。
「良いんじゃね?別に。イオンちゃんのパフォーマンス新しくて見ごたえあったし。」
「あ、わりい。俺イオンちゃんに入れるつもりだったわ。」
「私も。シャンテさんも楽しそうだったし良いんじゃない?」
シャンテのクラスタの面々物わかり良すぎだろう。私のファン達に爪の垢煎じて飲ませたい。
私が諦めかけているとどうやら座長達が揃って相談しているらしく、シャンテがそう言うならと....
「えー、では勝者はイオンさんって事で!皆さん拍手ー!」
(ぐだぐだ過ぎる...)
勝手に勝者に祭り上げられていた。確かに勝つつもりではあったが何かすっきりしない。
「ではこれで催しは終了となります。お帰りの際は是非露店のカンシェル一座販売店へお立ち寄りくださいませ。」
「イオンショップも併設しております。当店ではイオンが売り子をする予定ですので是非来てください。」
「え...初耳...」
いきなりステージに現れたリンスがまた勝手に決め宣伝してしまったのでスタッフ一同に無理矢理連れていかれてしまった。
「お買い上げありがとうございます!そちら買って頂けると次回の握手会のチケットが発行出来ますっ!」
どうやら裏で一人爆睡していたらしいスフィアが元気一杯に接客をしている。
本当に最近のスフィアはアイドルマネージャーと寸分違わなくなってきており、父親のルーカスさんにバレたら殺されそうだ。
そんな不安を余所にせっせと商品を包んでいるのを眺めながら私は...シャンテに無理矢理着せられたパレオに身を包み接客していた。
「はい!ありがとうございます!もう何処見てるのっ!ハニーったらエッチさんなんだからっ!あっ、それも買っていただけるんですか!?では合計で16800レアになります!」
「イオン様が袋詰めを...有り難すぎる!世界よ、ありがとう!!」
「は、はは...」
どうやら女性客の方が頭がおかしいらしく...
「このいおりさん印の下着今日から着けますね!あのっ!もし宜しかったら是非いおりさんにもアイドル活動をっ!」
「え、ええ...考えておきますね。それでは~。」
何度目かの営業スマイルで手を振って追い返す作業を繰り返した。
「先程の女性客男性ものを買っていきませんでしたか?」
「履くらしいよ...」
「そ、そうですか....」
スフィアもイオンファンのヤバさをいい加減学んできたらしく、最初ほど表情を歪ませなくなっていた。
「ほら、お二人とも手が止まってますよ。」
そのリンスの言葉で我に帰りせっせと接客していき、ようやく捌き終えようとする頃にシャンテが露店に顔を出した。
「イオン、お疲れ様。もうほとんど終わりかしら?」
「うん。そんな事よりどうだったんだ?皆は何て?」
「そうね...案外すんなりいったわ。そりゃそうよね?あの二人はともかく他の人達の事も勝手に恨んで酷いこと言ってたもの。嫌われて当然だわ。」
そう告げたシャンテは表情に影を落とし、寂しそうにしている様に...
「そっか。でもこれから頑張れば良いよ、この街でさ。そんでいつか認めて貰えればきっと前みたいになれるんじゃないかな?」
「....ふふっ、ありがとう。そうね...これからはあんたと結成した『スターライト』でのしあがってやるわ!」
「それがよろしいかと。此方でアイドルユニット『スターライト』の仕事をしっかり準備しますのでイオンさん、シャンテさん宜しくお願いしますね。」
「くう~!仲違いしていたライバルが手を組む何て!胸熱ですねっ!!」
スフィアに日本で好きだった少年漫画を作り話の体で話したり、つい口ずさんだのがいけなかったのか最近懐かしさの感じる言葉遣いをする様になってしまった。
そんなお嬢様の様子に呆れながら歌い終わった後準備部屋で話していた事を思い出す。
そう、私達は折角あれだけのパフォーマンスを大々的に行ったのだからもったいないと言うことでグループを組むことにしたのだ。
シャンテにもその第一弾としてイオンショップの売り子をやってもらい、そんなこんなで露店販売も無事終わりを迎え、閑散とした公園をベンチで眺めていると、座長さん達数名が私に用があるみたいですぐ近くまで来ると...
「今日はありがとう。本当に助かったよ。シャンテもあんなに楽しそうなのは始めて見た。それにしても君のパフォーマンスには度肝を抜かれたよ!」
「貴女本当に何者?シャンテとの事が無かったら今すぐにでも引き抜きたいわよ。」
「はは...ありがとうございます。」
そう言ってくれるのは有り難いが今はあれが精一杯なので期待には添えられないと思う。
私が愛想笑いをしながら世間話に花を咲かせていると、後ろに控えていた取り巻き2人が神妙な面持ちで話しかけてきた。
「あのさ....イオン...シャンテの事だけどさ...」
「あたしらはまだ許して貰えそうに無いからあんたに任せて良い?」
なんだかんだ言いつつどうやらシャンテの事が心配な様だが、過去の事がありこの二人とは元通りになるには時間が掛かりそうだ。
私は頷いて...。
「勿論。シャンテは私の友達でビジネスパートナーだからね。任せてよ。」
「....分かった。じゃあね。」
「後、この間は突っ掛かってごめん!それだけだからっ!」
そう告げ終わると彼女達はテントに向かって走って行き私の前から姿を消した。
「その内元通りになればいいな。あの子達...」
「そうね...難しいかもしれないけど、きっと大丈夫よ。シャンテが変われたんだもの。あの子達だって直ぐには無理でも何時かはね。」
オカマの人が目を瞑りながら嬉しそうにしていた。やはりカンシェル一座の面々は皆暖かい様で何だか日本にいる家族を思い出して少し寂しくなる。
そんな様子を知ってか知らずか座長が。
「シャンテの事を宜しく頼む。君が歌で言ったように僕達は彼女を家族だと思ってる。いつか気持ちの整理がついたら二人とも遊びに来るといい。歓迎するよ。」
いつもの道化師の飄々とした喋り方では無く、リーダーらしいしっかりとした口調で頼まれてしまい私は二つ返事で「はい。いつかシャンテとお邪魔します。それまでさようならです。」そう告げると満足そうに帰っていった。
「ありがとう。君に依頼して良かった。」
「じゃあね、イオンちゃん!またね!」
彼らの後ろ姿を眺めていると、頃合いを見ていたシャンテが近寄ってきて隣に腰を下ろす。
「イオン、これからよろしく。...それとありがとう。」
「いつか...シャンテがあの二人を許せる気になったら会いに行こう。」
「そうね...何時になるか分からないけど、いつか必ず....」
私とシャンテがベンチに持たれながら夕日を眺め黄昏れていると彼女が...
「そう言えばいおりなの?イオンなの?どっちが本名?」
「ああ、それか。ちょっと待ってろ。」
もう仲間になるんだから隠さなくても良いかと思い、変身能力を解除し男性体に戻るとシャンテは目を丸くして固まってしまった。
「驚いただろ?俺がいおりなんだ。実はそういう体質でさ。性別自由自在なんだよね。」
告げられた言葉に動揺をしていたシャンテだったが深呼吸して気持ちを落ち着けると。
「そういう事だったのね。何かおかしいと思ったのよ。たまに男っぽい感覚がしたから。」
「信じてくれるのか?」
俺が顔色を窺いながらそう問いかけるとシャンテは。
「目の前で見せられたら疑り深い私でも信じるわよ...これからよろしく、イオン、いおり。」
差し出された右手を握り、握手をする形にしながら俺も...
「ああ、よろしくな。シャンテ。」
そう言葉を交わしシャンテの住み処を獲得する為に自分の住む借家の大家さんに相談するべく、立ち上がり帰路に着くため肩を並べ、話ながらスフィアとリンスに合流し、皆で話ながらこの公園を後にするのだった。
どうやら勝負の結果は事前に渡されていた私達の顔が描かれた旗をどちらか挙げ、その数で競うらしいのだが、そこである女性が手を挙げた。
「待って。私から一言言いたいのだけど。」
「何だよ、シャンテ?まさか私のパフォーマンスがいけないなんて事は...」
「あのね、イオン...私があんたの舞台を台無しにする訳無いでしょ!あんたを悲しませるなんてイオンファンの風上にも置けないわっ!」
いつの間にこの女、私のファンになったのだろうか。
嬉しくない訳では無いが余りの急展開に目眩がする。
「ちょっとイオン大丈夫!?医者を!医者を呼びなさい!くっ!こうなったら仕方ない!私の部屋に連れ込んで今すぐ色々と看病を...」
「シャンテさん!?止めてくださる!?」
ふらついた私を支えながらそんな頭のおかしいイオンクラスタみたいな事を言い出し、身の危険を感じた。
私のファンは揃いも揃って何か薬でもやっているのだろうか?
「えー、こほん。所で話とは?」
「今イオンがふらついてるでしょうがっ!あっ、こらイオンに触らないでっ!」
「ええ!?」
折角呼んだ医者が私の熱を測ろうとおでこを触ろうとしたら威嚇し出した。
「お前が呼んだんだろうが...すいません。この子ちょっと寝不足でおかしくて...」
「い、いえ構いませんよ。それでは私はこれで...」
(本当に申し訳ない...)
気をしっかり持ち直し、寝不足と過労でふらつく足に力を入れて立ち上がる。
「イオン!私に掴まりなさい!さあっ!」
「もういいから...話進まないから早く言って!そんで何なの?」
観客席から笑い声が聞こえてくる。まるでコントをやっている気分に疲れもあり少しゲンナリしていたのだが、残念そうにしている性格破綻者で友人のシャンテがようやく話し始めた。
「この勝負私は棄権します。」
その発言に場がざわめき立つ。それはそうだろう...あれだけ完成度の高い躍りを披露しといて棄権するだなんて何を考えてるんだ。
「は?ちょっとー、シャンテー?イオンちゃんバカだからー、ちょっと何言ってるか分かんないんですけど。」
「はあ...全くイオンは...分かりなさいよね!あんたに勝とうだなんておこがましいにも程があるじゃないっ!」
「バカかな?そんな事してファンの人達に申し訳ないとか思わないのかな?」
シャンテの中で私は一体どういう立ち位置なのか...侮蔑した眼でじろじろと視線を這わせていたらシャンテクラスタの方々が口を開いた。
「良いんじゃね?別に。イオンちゃんのパフォーマンス新しくて見ごたえあったし。」
「あ、わりい。俺イオンちゃんに入れるつもりだったわ。」
「私も。シャンテさんも楽しそうだったし良いんじゃない?」
シャンテのクラスタの面々物わかり良すぎだろう。私のファン達に爪の垢煎じて飲ませたい。
私が諦めかけているとどうやら座長達が揃って相談しているらしく、シャンテがそう言うならと....
「えー、では勝者はイオンさんって事で!皆さん拍手ー!」
(ぐだぐだ過ぎる...)
勝手に勝者に祭り上げられていた。確かに勝つつもりではあったが何かすっきりしない。
「ではこれで催しは終了となります。お帰りの際は是非露店のカンシェル一座販売店へお立ち寄りくださいませ。」
「イオンショップも併設しております。当店ではイオンが売り子をする予定ですので是非来てください。」
「え...初耳...」
いきなりステージに現れたリンスがまた勝手に決め宣伝してしまったのでスタッフ一同に無理矢理連れていかれてしまった。
「お買い上げありがとうございます!そちら買って頂けると次回の握手会のチケットが発行出来ますっ!」
どうやら裏で一人爆睡していたらしいスフィアが元気一杯に接客をしている。
本当に最近のスフィアはアイドルマネージャーと寸分違わなくなってきており、父親のルーカスさんにバレたら殺されそうだ。
そんな不安を余所にせっせと商品を包んでいるのを眺めながら私は...シャンテに無理矢理着せられたパレオに身を包み接客していた。
「はい!ありがとうございます!もう何処見てるのっ!ハニーったらエッチさんなんだからっ!あっ、それも買っていただけるんですか!?では合計で16800レアになります!」
「イオン様が袋詰めを...有り難すぎる!世界よ、ありがとう!!」
「は、はは...」
どうやら女性客の方が頭がおかしいらしく...
「このいおりさん印の下着今日から着けますね!あのっ!もし宜しかったら是非いおりさんにもアイドル活動をっ!」
「え、ええ...考えておきますね。それでは~。」
何度目かの営業スマイルで手を振って追い返す作業を繰り返した。
「先程の女性客男性ものを買っていきませんでしたか?」
「履くらしいよ...」
「そ、そうですか....」
スフィアもイオンファンのヤバさをいい加減学んできたらしく、最初ほど表情を歪ませなくなっていた。
「ほら、お二人とも手が止まってますよ。」
そのリンスの言葉で我に帰りせっせと接客していき、ようやく捌き終えようとする頃にシャンテが露店に顔を出した。
「イオン、お疲れ様。もうほとんど終わりかしら?」
「うん。そんな事よりどうだったんだ?皆は何て?」
「そうね...案外すんなりいったわ。そりゃそうよね?あの二人はともかく他の人達の事も勝手に恨んで酷いこと言ってたもの。嫌われて当然だわ。」
そう告げたシャンテは表情に影を落とし、寂しそうにしている様に...
「そっか。でもこれから頑張れば良いよ、この街でさ。そんでいつか認めて貰えればきっと前みたいになれるんじゃないかな?」
「....ふふっ、ありがとう。そうね...これからはあんたと結成した『スターライト』でのしあがってやるわ!」
「それがよろしいかと。此方でアイドルユニット『スターライト』の仕事をしっかり準備しますのでイオンさん、シャンテさん宜しくお願いしますね。」
「くう~!仲違いしていたライバルが手を組む何て!胸熱ですねっ!!」
スフィアに日本で好きだった少年漫画を作り話の体で話したり、つい口ずさんだのがいけなかったのか最近懐かしさの感じる言葉遣いをする様になってしまった。
そんなお嬢様の様子に呆れながら歌い終わった後準備部屋で話していた事を思い出す。
そう、私達は折角あれだけのパフォーマンスを大々的に行ったのだからもったいないと言うことでグループを組むことにしたのだ。
シャンテにもその第一弾としてイオンショップの売り子をやってもらい、そんなこんなで露店販売も無事終わりを迎え、閑散とした公園をベンチで眺めていると、座長さん達数名が私に用があるみたいですぐ近くまで来ると...
「今日はありがとう。本当に助かったよ。シャンテもあんなに楽しそうなのは始めて見た。それにしても君のパフォーマンスには度肝を抜かれたよ!」
「貴女本当に何者?シャンテとの事が無かったら今すぐにでも引き抜きたいわよ。」
「はは...ありがとうございます。」
そう言ってくれるのは有り難いが今はあれが精一杯なので期待には添えられないと思う。
私が愛想笑いをしながら世間話に花を咲かせていると、後ろに控えていた取り巻き2人が神妙な面持ちで話しかけてきた。
「あのさ....イオン...シャンテの事だけどさ...」
「あたしらはまだ許して貰えそうに無いからあんたに任せて良い?」
なんだかんだ言いつつどうやらシャンテの事が心配な様だが、過去の事がありこの二人とは元通りになるには時間が掛かりそうだ。
私は頷いて...。
「勿論。シャンテは私の友達でビジネスパートナーだからね。任せてよ。」
「....分かった。じゃあね。」
「後、この間は突っ掛かってごめん!それだけだからっ!」
そう告げ終わると彼女達はテントに向かって走って行き私の前から姿を消した。
「その内元通りになればいいな。あの子達...」
「そうね...難しいかもしれないけど、きっと大丈夫よ。シャンテが変われたんだもの。あの子達だって直ぐには無理でも何時かはね。」
オカマの人が目を瞑りながら嬉しそうにしていた。やはりカンシェル一座の面々は皆暖かい様で何だか日本にいる家族を思い出して少し寂しくなる。
そんな様子を知ってか知らずか座長が。
「シャンテの事を宜しく頼む。君が歌で言ったように僕達は彼女を家族だと思ってる。いつか気持ちの整理がついたら二人とも遊びに来るといい。歓迎するよ。」
いつもの道化師の飄々とした喋り方では無く、リーダーらしいしっかりとした口調で頼まれてしまい私は二つ返事で「はい。いつかシャンテとお邪魔します。それまでさようならです。」そう告げると満足そうに帰っていった。
「ありがとう。君に依頼して良かった。」
「じゃあね、イオンちゃん!またね!」
彼らの後ろ姿を眺めていると、頃合いを見ていたシャンテが近寄ってきて隣に腰を下ろす。
「イオン、これからよろしく。...それとありがとう。」
「いつか...シャンテがあの二人を許せる気になったら会いに行こう。」
「そうね...何時になるか分からないけど、いつか必ず....」
私とシャンテがベンチに持たれながら夕日を眺め黄昏れていると彼女が...
「そう言えばいおりなの?イオンなの?どっちが本名?」
「ああ、それか。ちょっと待ってろ。」
もう仲間になるんだから隠さなくても良いかと思い、変身能力を解除し男性体に戻るとシャンテは目を丸くして固まってしまった。
「驚いただろ?俺がいおりなんだ。実はそういう体質でさ。性別自由自在なんだよね。」
告げられた言葉に動揺をしていたシャンテだったが深呼吸して気持ちを落ち着けると。
「そういう事だったのね。何かおかしいと思ったのよ。たまに男っぽい感覚がしたから。」
「信じてくれるのか?」
俺が顔色を窺いながらそう問いかけるとシャンテは。
「目の前で見せられたら疑り深い私でも信じるわよ...これからよろしく、イオン、いおり。」
差し出された右手を握り、握手をする形にしながら俺も...
「ああ、よろしくな。シャンテ。」
そう言葉を交わしシャンテの住み処を獲得する為に自分の住む借家の大家さんに相談するべく、立ち上がり帰路に着くため肩を並べ、話ながらスフィアとリンスに合流し、皆で話ながらこの公園を後にするのだった。
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