異世界転生で貰ったチートがTS魔法少女変身能力でしたがこの世界で頑張るしか無いようです
14 カンシェル一座の演目お披露目会
『躍り対決!!カンシェル一座シャンテ対魔法少女アイドルイオン!』
白地の横断幕にでかでかとイオン、そしてシャンテの似顔絵と文字が描かれており、公演会場である一際大きいテントの入口である暗幕の上部に遠くからでも見えるように掲げられている。
その雄大な外観を一目見た客は驚きつつ暗幕を潜ると、目を丸くし更に驚きを隠せないでいたが、次第にその表情は笑みを溢し始めた。
「わあ~~っ!これがカンシェル一座の公演会場なんだ~!チケット取れて良かったよねっ!」
「だよねっ!私も初めてなんだ~っ!楽しみ~!」
次々と入場してくる歓喜の声を上げる客を見ていた十数名のスタッフの顔もそのお客の嬉しそうな表情につい緩んでしまう。
そんな彼ら、彼女らの立つ会場の内装はまるで小規模のオペラ会場と言った様相であり、最奥には円形の舞台が広がっている。
其処から2本の赤のカーペットの敷かれた階段が左最奥、右最奥に1つずつ作られており舞台から扇状の形で延びるように椅子が無数に並べられている。
その舞台が見やすいように段差になっている客席には当に400人余りの様々な種族が今か今かと座って待ち望んでいる様だ。
「はあ~、凄いですね~。確か500人丁度入るんですよね?私ならこんな所で踊れませんよ。いおりさん度胸ありますね。」
「まあこれもアイドルの通る道かと思いますので頑張って下さい。」
「い、胃が痛い....」
舞台横の準備部屋から暗幕を少し明け、会場の様子を除いていたスフィア、リンスの背後でイオンは椅子に座り込み、大股を開いて心臓当たりを押さえていた。
「何でやるなんて言ったんだよ~。私のバカ....」
その予想外の装いと観客に今更ながら後悔し、胃痛を患っていると準備部屋の奥にある化粧台で衣装と手順の最終確認をしているシャンテが振り向きもせず、話し掛けた。
「そんなに嫌なら辞退したら?私は一向に構わないわよ。」
その不躾な言い方に気を悪くしたイオンが眉間に皺を寄せながら反撃する。
「する訳無いじゃん。お客さんに申し訳ないし....あ、もしかして私が怖いの?」
お互い目線も合わせずに今日何度目か分からない火花を散らしている二人にほとほと呆れたその場に居た全員が困り顔で溜め息を吐いていると。
「そろそろ開演です!シャンテちゃん、イオン様!準備よろしいですか!?座長よろしくお願いしますっ!」
どうやらイオンの大ファンらしい裏方の少年が開演の準備が完了したらしくピエロ姿の座長を呼び出しに来ると、相変わらずの足取りでヒョコヒョコ歩き始め、イオンとシャンテの間を通りすぎる折りに...。
「じゃあそろそろやろうかねっ!君達の出番は最後だけど、メインなんだからその顔、何とかするんだよ~、じゃね~!!」
と、掴み所の無い態度のまま、暗幕をすり抜け舞台に去っていった。
その喋り方に毒気を抜かれたイオンは頭をポリポリ掻いて三人仲良く暗幕の隙間から舞台を除き見ると、どうやら座長が開演の挨拶をする所の様だ。
そしてスキップをしながら舞台の中央に道化師が辿り着くと、舞台の周りを等間隔に置いてあった松明に黒子が火を着けると同時に座長が口を開いた。
「さあさあさあ!ようこそおいでましっ!我がカンシェル一座の演目会へ!私等の挨拶などしょーもない物は置いといてさっさと参りましょう!そうしましょう!皆様、準備は宜しいですかな!?」
座長のその挨拶とも呼べない語りかけにそわそわしていた客全員が一人も漏れずに「うおおおおおっ!!」と歓声を上げると所狭しとクラッカーの破裂音が響き渡り、紙吹雪が舞い忽然と姿を消したピエロの代わりに褐色肌で全身をローブで包まれ、ターバンを被った女性二人が両手に曲刀を持ち現れ。
「....ごくっ。」
そしてその二人が向き合うと会場全体が静まり返り一人の客が固唾を飲むとその瞬間曲刀を用いた『剣舞』が始まった。
「うわっ、すげぇっ!」
「うわわ、危ないです!ああっ!おおっ!」
「お二人とも騒ぎすぎです。」
今までこういった雑技を見たことの無いイオンとスフィアは勿論の事、そう言っていたリンスも冷静に努めつつもしきりにステージに目を忙しなく動かしている。
そしてステージの上で舞い踊っていた女性二人が剣同士ぶつかり合うことも無く、その名の通り舞いを披露しながら皮一枚の所で華麗に避けていく。
だが、二人がいきなり飛び上がり交差すると、観客の一人が「きゃああっ!」と叫び場が騒然とする。
曲芸師二人がお互いのローブを切り裂いたからだ。
「うわっ!あれ大丈夫なんですか!?」
「ローブだけ切ったのか?」
「あら、ご名答。イオンちゃん目良いのね?」
イオンにとってそのくらい造作も無いが変に疑われたくないので黙っておく事にした。
視線を戻しどうなったのか気になっていたが、どうやらローブを脱いで綺麗な肢体を晒すまでが彼女達の演目らしく、ローブが落ちきる前にステージ奥にある隙間に剣を投げ入れた。
その瞬間歓声が沸き起こる。なんと奥から魔者や亜種族が姿を現したのだ。
さすがにそれにはイオン達も驚いたらしく...。
「うっそだろ...」
「うわあ!色々な魔者がいますね!」
「これは...少々驚きました...」
三人が驚きに目を輝かせ始めると紫色を基調としたタキシード風の服装に身を包んでいる躍りの指南役がイオンに語り始めた。
「まだまだこんな物じゃないわよ?腰を砕かないように...ね?」
ウインクをしながらそう告げた瞬間、先程の魔者達が協力する演目が開始した。
そこからは怒涛のパフォーマンスの連続で、最初に行われたのはドワーフが二つの筒に火を着け真上に放ると背後に控えていたハーピィが飛び立ち、筒を持ち客席を旋回し始めた。
「これ...花火?」
観客の一人が溢した様にそれは特大の手持ち花火で、振り回す度に花びらの様な炎が舞い散り幻想的な風景を醸し出している。
その後もオークがエルフを上空に投げると、そのエルフが弓に矢を三本つがえ、弦を離すとテントに貼ってあった的に全て命中させ落下してくるエルフの女性をオークの男性がお姫様抱っこでささえたり、スライムの口から放った大玉の水をラミアが石化能力で化石にし、ゴーレムがそれでお手玉をしたりと、多種多様なパフォーマンスを提供した。
そして更には獣人とリザードマンによる異種族ラブストーリーのお芝居などもあり、魔者、人間、亜種族関係なく笑い、泣き大いに楽しんでいたのだが...
「皆様楽しんで頂けましたか!?それではこれよりメインディッシュ!シャンテ対イオンを開催します!お時間おありでしたら是非見てって下さいまし!!」
前座となる全ての演目が終了し、何処からともなく現れた座長が挨拶し、次の流れを説明するも興奮冷めやらぬと言った感じで....
「見ていくに決まってんだろうがっ!シャンテの身体見ずに帰れるかよ!」
「イオンちゃんの初踊り子だぞ!?見ないわけ無いだろ!」
「はあ?あんな貧乳どこが良いんだよ?シャンテのあの胸見てみろよ?」
「てめえこそあんな贅肉の何が良いんだ?後な、言っとくがイオンちゃんのは貧乳じゃねえ、美乳なんだよっ!」
イオンとシャンテの気持ちを余所にアイドルファンによくある推しアピール戦争が幕を開けようとしていた。
白地の横断幕にでかでかとイオン、そしてシャンテの似顔絵と文字が描かれており、公演会場である一際大きいテントの入口である暗幕の上部に遠くからでも見えるように掲げられている。
その雄大な外観を一目見た客は驚きつつ暗幕を潜ると、目を丸くし更に驚きを隠せないでいたが、次第にその表情は笑みを溢し始めた。
「わあ~~っ!これがカンシェル一座の公演会場なんだ~!チケット取れて良かったよねっ!」
「だよねっ!私も初めてなんだ~っ!楽しみ~!」
次々と入場してくる歓喜の声を上げる客を見ていた十数名のスタッフの顔もそのお客の嬉しそうな表情につい緩んでしまう。
そんな彼ら、彼女らの立つ会場の内装はまるで小規模のオペラ会場と言った様相であり、最奥には円形の舞台が広がっている。
其処から2本の赤のカーペットの敷かれた階段が左最奥、右最奥に1つずつ作られており舞台から扇状の形で延びるように椅子が無数に並べられている。
その舞台が見やすいように段差になっている客席には当に400人余りの様々な種族が今か今かと座って待ち望んでいる様だ。
「はあ~、凄いですね~。確か500人丁度入るんですよね?私ならこんな所で踊れませんよ。いおりさん度胸ありますね。」
「まあこれもアイドルの通る道かと思いますので頑張って下さい。」
「い、胃が痛い....」
舞台横の準備部屋から暗幕を少し明け、会場の様子を除いていたスフィア、リンスの背後でイオンは椅子に座り込み、大股を開いて心臓当たりを押さえていた。
「何でやるなんて言ったんだよ~。私のバカ....」
その予想外の装いと観客に今更ながら後悔し、胃痛を患っていると準備部屋の奥にある化粧台で衣装と手順の最終確認をしているシャンテが振り向きもせず、話し掛けた。
「そんなに嫌なら辞退したら?私は一向に構わないわよ。」
その不躾な言い方に気を悪くしたイオンが眉間に皺を寄せながら反撃する。
「する訳無いじゃん。お客さんに申し訳ないし....あ、もしかして私が怖いの?」
お互い目線も合わせずに今日何度目か分からない火花を散らしている二人にほとほと呆れたその場に居た全員が困り顔で溜め息を吐いていると。
「そろそろ開演です!シャンテちゃん、イオン様!準備よろしいですか!?座長よろしくお願いしますっ!」
どうやらイオンの大ファンらしい裏方の少年が開演の準備が完了したらしくピエロ姿の座長を呼び出しに来ると、相変わらずの足取りでヒョコヒョコ歩き始め、イオンとシャンテの間を通りすぎる折りに...。
「じゃあそろそろやろうかねっ!君達の出番は最後だけど、メインなんだからその顔、何とかするんだよ~、じゃね~!!」
と、掴み所の無い態度のまま、暗幕をすり抜け舞台に去っていった。
その喋り方に毒気を抜かれたイオンは頭をポリポリ掻いて三人仲良く暗幕の隙間から舞台を除き見ると、どうやら座長が開演の挨拶をする所の様だ。
そしてスキップをしながら舞台の中央に道化師が辿り着くと、舞台の周りを等間隔に置いてあった松明に黒子が火を着けると同時に座長が口を開いた。
「さあさあさあ!ようこそおいでましっ!我がカンシェル一座の演目会へ!私等の挨拶などしょーもない物は置いといてさっさと参りましょう!そうしましょう!皆様、準備は宜しいですかな!?」
座長のその挨拶とも呼べない語りかけにそわそわしていた客全員が一人も漏れずに「うおおおおおっ!!」と歓声を上げると所狭しとクラッカーの破裂音が響き渡り、紙吹雪が舞い忽然と姿を消したピエロの代わりに褐色肌で全身をローブで包まれ、ターバンを被った女性二人が両手に曲刀を持ち現れ。
「....ごくっ。」
そしてその二人が向き合うと会場全体が静まり返り一人の客が固唾を飲むとその瞬間曲刀を用いた『剣舞』が始まった。
「うわっ、すげぇっ!」
「うわわ、危ないです!ああっ!おおっ!」
「お二人とも騒ぎすぎです。」
今までこういった雑技を見たことの無いイオンとスフィアは勿論の事、そう言っていたリンスも冷静に努めつつもしきりにステージに目を忙しなく動かしている。
そしてステージの上で舞い踊っていた女性二人が剣同士ぶつかり合うことも無く、その名の通り舞いを披露しながら皮一枚の所で華麗に避けていく。
だが、二人がいきなり飛び上がり交差すると、観客の一人が「きゃああっ!」と叫び場が騒然とする。
曲芸師二人がお互いのローブを切り裂いたからだ。
「うわっ!あれ大丈夫なんですか!?」
「ローブだけ切ったのか?」
「あら、ご名答。イオンちゃん目良いのね?」
イオンにとってそのくらい造作も無いが変に疑われたくないので黙っておく事にした。
視線を戻しどうなったのか気になっていたが、どうやらローブを脱いで綺麗な肢体を晒すまでが彼女達の演目らしく、ローブが落ちきる前にステージ奥にある隙間に剣を投げ入れた。
その瞬間歓声が沸き起こる。なんと奥から魔者や亜種族が姿を現したのだ。
さすがにそれにはイオン達も驚いたらしく...。
「うっそだろ...」
「うわあ!色々な魔者がいますね!」
「これは...少々驚きました...」
三人が驚きに目を輝かせ始めると紫色を基調としたタキシード風の服装に身を包んでいる躍りの指南役がイオンに語り始めた。
「まだまだこんな物じゃないわよ?腰を砕かないように...ね?」
ウインクをしながらそう告げた瞬間、先程の魔者達が協力する演目が開始した。
そこからは怒涛のパフォーマンスの連続で、最初に行われたのはドワーフが二つの筒に火を着け真上に放ると背後に控えていたハーピィが飛び立ち、筒を持ち客席を旋回し始めた。
「これ...花火?」
観客の一人が溢した様にそれは特大の手持ち花火で、振り回す度に花びらの様な炎が舞い散り幻想的な風景を醸し出している。
その後もオークがエルフを上空に投げると、そのエルフが弓に矢を三本つがえ、弦を離すとテントに貼ってあった的に全て命中させ落下してくるエルフの女性をオークの男性がお姫様抱っこでささえたり、スライムの口から放った大玉の水をラミアが石化能力で化石にし、ゴーレムがそれでお手玉をしたりと、多種多様なパフォーマンスを提供した。
そして更には獣人とリザードマンによる異種族ラブストーリーのお芝居などもあり、魔者、人間、亜種族関係なく笑い、泣き大いに楽しんでいたのだが...
「皆様楽しんで頂けましたか!?それではこれよりメインディッシュ!シャンテ対イオンを開催します!お時間おありでしたら是非見てって下さいまし!!」
前座となる全ての演目が終了し、何処からともなく現れた座長が挨拶し、次の流れを説明するも興奮冷めやらぬと言った感じで....
「見ていくに決まってんだろうがっ!シャンテの身体見ずに帰れるかよ!」
「イオンちゃんの初踊り子だぞ!?見ないわけ無いだろ!」
「はあ?あんな貧乳どこが良いんだよ?シャンテのあの胸見てみろよ?」
「てめえこそあんな贅肉の何が良いんだ?後な、言っとくがイオンちゃんのは貧乳じゃねえ、美乳なんだよっ!」
イオンとシャンテの気持ちを余所にアイドルファンによくある推しアピール戦争が幕を開けようとしていた。
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