苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件

ベレット

ルーシェの裏切りと目的の件

「う....眩し....どこだ、ここは...」


目を開け、日射しから顔を背ける。


背けたその先に見えたのは生まれて初めて見た天涯つきベッドのレース部分だった。


「あれからなにが....なんだ?」


目を擦ろうと左手を動かそうとしたが動かない。


不思議に思い、視線を左手に移すと。


「.......っ!」


手枷が嵌められ、ベッドに繋がれていた。
しかも左手だけではなく、右手、両足もだ。
どうやら俺は捕まったらしい。
だが誰にだ?
記憶を辿るが寝てしまう前の記憶がおぼろげだ。


「くそ....」


「ご主人さまぁ....」


「フェニア...?どこだ?」


胸元に視線を動かすがそこには首から下げていた箱が無くなっていた。


「こっちですぅ...」


声のする部屋の端を見てみると小振りのテーブルの上に安置されている透明のケースにフェニアが入れられており、その傍らにはルーシェが作った鎧が乱雑に置かれている。


「フェニア、一体なにがあった?ここはどこだ?」


「こ、ここはぁ公国のぉ...」


フェニアが涙を溜めて不安げに口を開いていると部屋の扉が開き、二人の女が入ってきた。


「お目覚めね、ユウキ。」


「......」


「アテナ....!?...だとしたらここは...!」


キッと睨み付けるがアテナは気にも止めずこちらに歩んできている。


何とか脱出を試み、手足を動かすが鎖がガチャガチャと鳴るだけで一向に外れない。


「無駄よ。それはあなたの為に作らせた特注品。魔法も精霊も出せないでしょう?」


「なんだと.....ゴーレム!....くそ....」


アテナの言葉通り、精霊を呼び出そうとしたが、この手枷に精霊力と魔力を吸い取られ召喚出来なかった。


これは本格的にやばい。このままじゃあ......


「だから、無駄だと言っているの。それじゃあ...」


「な、なにを!」


アテナが俺の下半身に股がり、馬乗りになりながら顔を近づけてきた。


「何って分かるでしょう?あなたとセックスするのよ」


ゾッとした。
この女と?...ふざけるな。絶対に嫌だ。


「断る....!....ぐっ....」


「ふふ...その方が燃えるわね。犯しがいがあるわ。あなたが私の虜になるのを想像するだけでイっちゃいそう♡」


妖艶に微笑み、舌舐めずりをしながら俺の局部に触れる。


だがそこでもう一人の女、ルーシェが声を荒げた。


「ま、待ってください!最初は私からって!」


「.....私に意見するつもり?鍛冶士風情が...」


今にも殺しそうな雰囲気で睨み付けるがルーシェは「で、でも...!」と抗うと溜め息を吐き、ベッドから降りた。


「ちっ....仕方ないわね。約束も守れない皇女だと思われたくないもの...それに先にあっちを片付けておけば憂い無く楽しめるものね」


俺の頬を一舐めし、アテナは出口に向かっていく。


ルーシェを通りすぎようとした時。


「じゃあ楽しみなさい」


「あの約束も忘れないで下さい」


「分かってるわ。約束は守るわよ。」


ぼそぼそと会話をし、終えるとアテナは部屋から出ていった。


「ルーシェ...!一体これはどういう事だ...!...ルーシェ!?」


「ほんとは分かってるんだよね?私がやったこと」


彼女の着ていた長めの衣服がぱさりと落ち、年齢に則した乳房が露になる。


「ルーシェ...お前...こんなのは間違ってる!こんなやり方...!.......どうして裏切ったんだ!....!」


まさか、知っていたのか?トトは...?
あいつの言っていた裏切り者ってそういう事か!


「間違ってる?...知ってるよ。だから何?私はそんなのどうでもいいんだよ」


彼女はスカートに手を持っていき、ファスナーを少しずつ下げていく。


「どうでもいいって...」


「だって行儀よくしてたって私の欲しいものは何時だって手に入らない...いつだって手から溢れ落ちていくんだ!」


スカートを脱ぎ捨て半裸の状態で俺に馬乗りになるように身体をすり寄せてきた。


「だったらどんな手段を使っても手に入れるしか無いじゃない!」


「やめ....んぷっ....う....」


「はあ...はあ...」


ルーシェは俺の制止を振りほどくように唇に唇を重ね、舌を絡ませる。


「お兄さん...気持ちいいよ...キスだけで絶頂しちゃいそう...」


「頼む...もう止めてくれ...ロゼを裏切りたくない....」


「....こんな時にも、ロゼさんか....あー、腹立つなぁ。いっつもいっつもロゼロゼロゼロゼとさぁ、何で...何で私を見ないのよぉ!あんたはぁ!」


「がっ!ぐっ!?ルーシェ...止め...」


突如豹変したルーシェが俺の腹部を殴り、顔を何度も殴り付ける。


すると痣ができハッとしたルーシェは殴った箇所を愛おしく撫で始めた。


「ごめんね、ごめんね?お兄さん...でもお兄さんが悪いんだよ?私の前で他の女の話するから」


「俺は...お前とは...」


「強情だなぁ。...もういいや。無理矢理犯すから...ロゼの事なんか私が忘れさせてあげる。いっぱいいっぱい子作りしようね、お兄さん♡」


ルーシェが首筋を丁寧に舐めながらズボンの中に手を滑らしていく。


「くっ!...っ!」


なんとか逃げ出そうと左手を動かすがやはりびくともしない。


「ま、待て...ルーシェ...その前に教えてくれ。約束ってなんなんだ?」


「.....」


俺の最後の抵抗を聞き届けたルーシェは一旦手を止めもう一度軽めのキスをした。


「....そうだなぁ、お兄さんには言っとかないとね。実はさ、お取り潰しになったあと、首長国でトト達とチーム組始めた頃なんだけどさ。そんときにアテナさんと出会って。まあ向こうは知ってて近づいてきた訳だけど。」


「いつの話だ?」


「確か....3ヶ月前かなぁ?ある男性を手に入れたいから手伝えって。その時さ、報酬に欲しいものを何でもやるって言われて」


3ヶ月前だと...まさか魔王討伐前後か!
ならその時から...いや、もしかしたらそれ以前からアテナは俺を狙っていたのか?
いつからだ?...分からない。そもそも俺はあいつに初めて会ったのは脱獄時だったはずだ。


「.........」


だがなんとなくルーシェの狙いがある程度理解できた。
なぜわざわざこんな事をしているのか。
そして俺以外の欲しいものとは...


「貴族に返り咲くつもりでアルザス村にきたのか...!」


「ごめいとー。でも今は一族再興よりもお兄さんの方が優先順位上かなぁ。...もういいよね?そろそろ始めよっか」


「.....っ!....くっ...」


彼女の決め細かな手が奥へと入ってくる。
もうどうにもないらない...ロゼ...すまない...


「はあ...はあ...うふふふ...ああ、お兄さん、お兄さん!大好き!大好きだよ、お兄さん!気持ちいいよ...もっともっと気持ちよくなろ?」


俺は深く長く艶かしいキスをされながら目を閉じた。
ロゼの顔を思い浮かべながら。









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