苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件
謁見の間では普通は起きないだろうって件
任意という名の強制連行によって俺達4人は帝国城の謁見の間に連行された。
特に手枷などは無かったが別段この国ではやましいこと等は全く無いので“任意”的に同行した。
だが別に処罰するような雰囲気でもなく、それどころか普通はあり得ない光景に目を奪われている。
「お前、普通村ごと焼き払うか!?賊だけ殺せって言ったよなぁ!?」
「あら、わたくしにそんな真似出来ると思うのかしら?おあいにく様。わたくしはそんなに頭よろしくなくてのことよ!」
「威張って言うんじゃねえ!俺の大事な民だぞ!?」
「なら首輪でも着けておきなさいなのことなのよ!おーほっほっほう!」
「「「なにこれ」」」
現状を説明するとしたらこうだ。
変な言葉遣いの竜姫トリスリアと海賊兼国王のグリードが口喧嘩をしている。
これに尽きるだろう...いや、意味分からん。
「おい、ドミノ。こいつら何なんだ?」
「一応、守護者と王様...見苦しくてすまん」
「「「まじか」」」
俺達の声が大きかったのか、それとも二人?の喧騒を止めようとしたのか定かでは無いが小太りの大臣が咳払いをすると二人がピタッと止まった。
「悪いな、兄弟!待たせちまって!」
また大臣の咳払いが間に響くとグリードが喉を鳴らす。
「あー、あー...申し訳ない、お客人。お待たせした」
「ぷっ!もう止めて...くるし...」
「おい、ロゼ笑うな。あいつあれでも真剣なんだ...ぞ....」
「勘弁してくださいよぉ...普段笑わないご主人様まで笑ってるじゃないですかぁ....ぷっ、はははは!」
「くすっ....すみません、王様...」
「こ、こいつら...」
もう諦めたのか大臣は目を瞑り知らないふりをしている。
ため息を吐いたグリードは疲れた様子で玉座にどかっと座ると頭を抱えながら語り始める。
「もうお前ら知らん...おい、トリスリア、話があるんだろ?」
「あなたに言われずとも話をするけりよ」
どんな言葉遣いだ。
ドラゴンならではの語感なのだろうか。
「一つ確認よろしかったりするかしら?」
「あ、ああ....なんだ?」
身長が三倍くらいあるトリスリアが蜥蜴のように這いずり俺の直ぐ近くに顔を持ってくる。
自分の頭骨より少し長い牙に息を飲む。
「あなたの...共鳴剣ファブニールをもう一度見せてくれないかしらと頼んでみたりしたり」
「共鳴剣...?ファブニール...?」
「あ、ごめんなさいのきわみ。あの黒い剣のことだったりする」
「あ、ああ。あれか。」
何の事かようやく理解でき、トリスリアの喋り方が相当ツボなのかロゼが腹を抱えて笑っているのを尻目に生成を開始する。
左手を開き、その手の少し上方に意識を集中し、黒いエネルギー体を生成。
その後、魔力と精霊力を注ぎ込むとクリスタルが無数に繋がるように球体から延びていき、延びきったところで柄となる部分にふれようとすると、クリスタルが砕け散り、漆黒の剣が姿を現す。
それを徐に掴みずいっとトリスリアの方に向ける。
大臣も兵士も皆「おおっ!」と歓声が沸き起こり、トリスリアの眼が輝き始めた。
「これはまさしくファブニールでありけるわ!」
「ファブニール...それがこいつの名か」
俺がそう呟いた瞬間、どくんと剣が脈を打つ。
まるで主が帰還したかのように。
「もう一つよろしかろうか?」
「よろし...かろうか....もうダメ....死ぬ...笑い死ぬ....」
うちの嫁が申し訳ないと思う。
段々姫感薄れてきた気がしてならない。
「お手をこちらにかざして候う」
「ぶふっ」
後ろを振り向くとロゼが打ち上げられた海老のようにびくびくし始めている。
これで少しは静かになるかもしれない。
「ああ、ここに重ねれば良いんだな...何故だか既視感があるが...」
自分の2倍はある爬虫類の手に重ねた瞬間、何かに気付いたフェニアが唐突に叫ぶ。
「駄目ですぅ!ご主人様ぁ!それは契約の儀式ですぅ!」
「契約...あっ!お前と契約した時と同じ...!」
「もう遅いのよわ!」
トリスリアの口角が上がり白い牙が剥き出しになり、キラリと光る。
そして同じくして魔方陣が重ね合わせた隙間から広がりトリスリアの体を通過した。
「.....ふああああ!戻ったわ!戻りなりけりたわ!」
「....!?」
これは流石に驚愕せざるを得ない。
何故なら...
「え!?トリスリアさんが...!」
そう、トリスリアが人間の子供へと変貌してしまったのだ。
身長は恐らく、80センチ前後、髪は肩まであるサファイアブルーで光を反射する程きらびやかで宝石に見間違うようだ。
そしておでこの右側からは可愛らしい角を生やし、背中から体より大きい翼。
牙は小さくなったがまるでバンパイアの様になっており、怪しく光を放つ。
端的に言えば人外幼女が増えた。
その幼女が満面の笑みで俺の手をとり入り口兼出口の大扉に向かっていく。
「それじゃあ行かせて貰いけるわ、善王。もう会うこともないに等しく」
「待てや!」
やはりこのまま帰らせて貰えるわけがない。
だがどういう事だ...勿論変身したのには驚いたが、人間に変態する事よりも大臣含むこの場に居る兵士誰一人として微動だにしていないのだ。
「あの...皆さん驚かないのですか?ドラゴンがこんな女の子になったんですよ!?」
「私は驚いてるが?」
「私もですぅ」
ロゼの当然の疑問に笑いが起こる。
「いやー、前からトリスリア様はいずれ人間化するから見ておりなさいと申しておりましたからな」
兵士達も口々に「トリスリア様が言ってたからなあ」や「驚いたがあの方ならやりかない」等と洩らしている。
純粋すぎないか、帝国人。
....いや、それだけトリスリアは人徳があるんだろう。
言葉を疑う必要がないくらい。
特に手枷などは無かったが別段この国ではやましいこと等は全く無いので“任意”的に同行した。
だが別に処罰するような雰囲気でもなく、それどころか普通はあり得ない光景に目を奪われている。
「お前、普通村ごと焼き払うか!?賊だけ殺せって言ったよなぁ!?」
「あら、わたくしにそんな真似出来ると思うのかしら?おあいにく様。わたくしはそんなに頭よろしくなくてのことよ!」
「威張って言うんじゃねえ!俺の大事な民だぞ!?」
「なら首輪でも着けておきなさいなのことなのよ!おーほっほっほう!」
「「「なにこれ」」」
現状を説明するとしたらこうだ。
変な言葉遣いの竜姫トリスリアと海賊兼国王のグリードが口喧嘩をしている。
これに尽きるだろう...いや、意味分からん。
「おい、ドミノ。こいつら何なんだ?」
「一応、守護者と王様...見苦しくてすまん」
「「「まじか」」」
俺達の声が大きかったのか、それとも二人?の喧騒を止めようとしたのか定かでは無いが小太りの大臣が咳払いをすると二人がピタッと止まった。
「悪いな、兄弟!待たせちまって!」
また大臣の咳払いが間に響くとグリードが喉を鳴らす。
「あー、あー...申し訳ない、お客人。お待たせした」
「ぷっ!もう止めて...くるし...」
「おい、ロゼ笑うな。あいつあれでも真剣なんだ...ぞ....」
「勘弁してくださいよぉ...普段笑わないご主人様まで笑ってるじゃないですかぁ....ぷっ、はははは!」
「くすっ....すみません、王様...」
「こ、こいつら...」
もう諦めたのか大臣は目を瞑り知らないふりをしている。
ため息を吐いたグリードは疲れた様子で玉座にどかっと座ると頭を抱えながら語り始める。
「もうお前ら知らん...おい、トリスリア、話があるんだろ?」
「あなたに言われずとも話をするけりよ」
どんな言葉遣いだ。
ドラゴンならではの語感なのだろうか。
「一つ確認よろしかったりするかしら?」
「あ、ああ....なんだ?」
身長が三倍くらいあるトリスリアが蜥蜴のように這いずり俺の直ぐ近くに顔を持ってくる。
自分の頭骨より少し長い牙に息を飲む。
「あなたの...共鳴剣ファブニールをもう一度見せてくれないかしらと頼んでみたりしたり」
「共鳴剣...?ファブニール...?」
「あ、ごめんなさいのきわみ。あの黒い剣のことだったりする」
「あ、ああ。あれか。」
何の事かようやく理解でき、トリスリアの喋り方が相当ツボなのかロゼが腹を抱えて笑っているのを尻目に生成を開始する。
左手を開き、その手の少し上方に意識を集中し、黒いエネルギー体を生成。
その後、魔力と精霊力を注ぎ込むとクリスタルが無数に繋がるように球体から延びていき、延びきったところで柄となる部分にふれようとすると、クリスタルが砕け散り、漆黒の剣が姿を現す。
それを徐に掴みずいっとトリスリアの方に向ける。
大臣も兵士も皆「おおっ!」と歓声が沸き起こり、トリスリアの眼が輝き始めた。
「これはまさしくファブニールでありけるわ!」
「ファブニール...それがこいつの名か」
俺がそう呟いた瞬間、どくんと剣が脈を打つ。
まるで主が帰還したかのように。
「もう一つよろしかろうか?」
「よろし...かろうか....もうダメ....死ぬ...笑い死ぬ....」
うちの嫁が申し訳ないと思う。
段々姫感薄れてきた気がしてならない。
「お手をこちらにかざして候う」
「ぶふっ」
後ろを振り向くとロゼが打ち上げられた海老のようにびくびくし始めている。
これで少しは静かになるかもしれない。
「ああ、ここに重ねれば良いんだな...何故だか既視感があるが...」
自分の2倍はある爬虫類の手に重ねた瞬間、何かに気付いたフェニアが唐突に叫ぶ。
「駄目ですぅ!ご主人様ぁ!それは契約の儀式ですぅ!」
「契約...あっ!お前と契約した時と同じ...!」
「もう遅いのよわ!」
トリスリアの口角が上がり白い牙が剥き出しになり、キラリと光る。
そして同じくして魔方陣が重ね合わせた隙間から広がりトリスリアの体を通過した。
「.....ふああああ!戻ったわ!戻りなりけりたわ!」
「....!?」
これは流石に驚愕せざるを得ない。
何故なら...
「え!?トリスリアさんが...!」
そう、トリスリアが人間の子供へと変貌してしまったのだ。
身長は恐らく、80センチ前後、髪は肩まであるサファイアブルーで光を反射する程きらびやかで宝石に見間違うようだ。
そしておでこの右側からは可愛らしい角を生やし、背中から体より大きい翼。
牙は小さくなったがまるでバンパイアの様になっており、怪しく光を放つ。
端的に言えば人外幼女が増えた。
その幼女が満面の笑みで俺の手をとり入り口兼出口の大扉に向かっていく。
「それじゃあ行かせて貰いけるわ、善王。もう会うこともないに等しく」
「待てや!」
やはりこのまま帰らせて貰えるわけがない。
だがどういう事だ...勿論変身したのには驚いたが、人間に変態する事よりも大臣含むこの場に居る兵士誰一人として微動だにしていないのだ。
「あの...皆さん驚かないのですか?ドラゴンがこんな女の子になったんですよ!?」
「私は驚いてるが?」
「私もですぅ」
ロゼの当然の疑問に笑いが起こる。
「いやー、前からトリスリア様はいずれ人間化するから見ておりなさいと申しておりましたからな」
兵士達も口々に「トリスリア様が言ってたからなあ」や「驚いたがあの方ならやりかない」等と洩らしている。
純粋すぎないか、帝国人。
....いや、それだけトリスリアは人徳があるんだろう。
言葉を疑う必要がないくらい。
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