苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件
防衛対策会議の件
「必殺...一矢流尖」
「たまには私もね!落葉撃!」
「あーしなら楽勝!円舞槍穿!」
「では私も久々に...ツリーカタクラフト」
「これで終わってください!洸翼天嵐剣!」
「いい加減にしろ!黒零創刃刃!」
「はい!爆弾!」
「「「「「爆弾!?」」」」」
各々の持ち技や武器で大挙して押し寄せる軍勢に放ち応戦する。
「「「「「ぎゃああああ!」」」」」
何に対してかって?そりゃあ勿論。
「ルーシェ!!先に教えとけや!」
「てへっ!」
集団戦闘ではノウハウのあるウルフ族だ。
ーー「きっつ...」
何とか殲滅した俺達は全員誰一人欠けることなく汚れるのも構わず地面に倒れ込んだ。
「マジで...鬼畜...やし...あーしもう駄目...」
「わ、私ももう限界です...」
流石に疲労困憊で皆動けないようで、かくゆう俺も突っ伏している。
伏しながら周囲を見渡すとそこら中壊され放題だ。
柵は勿論のこと、家や作物なんかも荒らされてしまっている。
怪我人は出たものの死人が出なかったのがせめてもの救いかもしれない。
「あんた達!水と氷、あと新鮮な野菜ジュース持ってきてやったよ!さあ食べな!」
「俺は野菜たっぷりのメンチカツだ!一杯食いなあ!」
野菜屋のお姉さんと肉屋のおじさんの応援に倒れていた筈の女性陣がゾンビのようにゆらりと立ち上がり、ゾンビのように食い物へと群がっていった。
余りの食いっぷりにどっちがウルフだか分からなくなる様相にちょっと引く。
「おにいさーん!無くなっちゃうよー!」
「おい、少しぐらい残せや!」
ーー「ではこれより緊急対策会議を開催します。皆様静粛に」
アル主催と言うことでギルドを貸し切りにし開いたこの防衛会議。
この会の目的は二つ。
いかにしてこの村の防備を固めるか。
いかにして次あるかもしれない襲撃に備えるか、だ。
皆思い思いに閃いた案を発表していくが結局は「見張りを立てたらどうか」や「罠を作ったらどうだろう」など根本の解決には至らない案ばかりだ。
そこで俺は更に深い根本を考えてみる事にした。
「なあ、そもそもどうして今になって襲われたんだ?」
「そういえばそうだよね。私達ここに来て2ヶ月経つのにこんなの今まで無かったよ」
「いえ、その前もありませんでした。始めての事だと思います」
あーでもない、こーでもないとまた色々発言が飛び交う中「ちょっといいかしら?」と、ハニーが翼を挙げた。
「はい、ハニーさん。どうされましたか?」
アルがまるで学校の担任の先生のように促すとハニーはわざわざ立ち上がり、考えるポーズを取る。
「その何故今になって襲撃してきたかという話だけど、多分...そうね。人口が増えてきたからでは無いかしら」
「「「「「「!?」」」」」」
そうか、前までは大して栄養分にもならない老人や定年間近のおばちゃんばかりだったが今は俺を除き、ここにいる連中は食べ頃だろう。(色んな意味で)
「なるほどな。ならどうする?俺達が出ていけば解決するかもだが」
皆、この村が好きなのだろう。
悩んでいるとアルが声を上げた。
「お待ちください、それは困ります。今や皆さんのお陰でこの村の生活水準は向上しています。もし仮に皆さんが出ていかれたら前までのような生活に戻せるでしょうか?」
それは難しいだろうな。
文明に触れれば是が非でも頼りたくなるのが人間の性だ。
それを捨てて生活出来るのは世捨て人か変人くらいのものだろう。
「それにウルフが復讐で襲いに来る可能性もありますし」
「断然そっちのがやべえわ」
なら何としても対策を考えなきゃいけない。
頭を捻り何か無いかと考えていると今度はルーシェが手を挙げた。
「一ついいかな?帝国になんだけど腕の立つドワーフの大工屋さんが居るんだよね。その人に力、借りられないかな?」
「ふむ...悪くないかもしれないな。今は大工業もルーシェに頼りきりだし、何よりプロの意見が聞きたい」
「なら!」
これで解決への兆しが見えてきたかと皆に笑顔が溢れかけた矢先「ちょっと待つし」と、トトアーシュが口を挟んだ。
「なんだ?トト」
「ちょっと言いたいことがあるんだけどさー。本当にそいつ協力してくれんの?つーか役に立つわけ?」
「そ、それは分かんないけど...でも街一つ建て直した実績ある人だから問題ないよ!てゆーか全く意見出さないトトアーシュが言わないでくれない!?」
またしても喧嘩し出しそうな雰囲気に全員が後ろに下がる。
「ほんとむかつく...じゃあそれは良いんだけどぉ、あんた何でそんな事知ってる訳ぇ?マジおかしくない?」
「そ、それは...!」
「答えらんないの?まっ、どーせ嘘だろーけどー」
「ち、違う!嘘なんかじゃ!」
「はあ?嘘つきの裏切り者のあんたの話なんか信じると思ってんの?」
「....っ」
本格的な喧嘩になりそうな二人に皆、不安そうにしている表情を見て俺も流石に見て見ぬふりは出来そうになく、床を踏み鳴らし静かに「いい加減にしろ」と呟くと二人は押し黙った。
「もういい、俺は帝国に行くぞ」
心の中で謝っておくぞ、デューク。
忠告してくれたのにすまんな。
立ち上がりそう言い放つと不安げにロゼも立ち上がった。
「ロゼ、一緒に行くか?最近一緒に居れなかったしな。」
「う、うん!行く!絶対行く!」
「私もお供いたしますぅ!」
するとトトアーシュが焦り気味に捲し立ててきた。
「ちょ...ぼ、防衛はどうすんのさ!放っとくの!?...あ、あーしのせい...?あーしが勝手ばっか言うから...」
「はあ...」
「「むう...」」
意外にもしおらしくなるトトアーシュの頭を撫でながらアルに話し掛ける。
「アル、悪いが何とか持ちこたえてくれ。トト、お前の気持ちは分かる」
トトアーシュの顔に少し生気が戻ったが次の言葉でまたしおれてしまった。
「だがな、今は団結する時だ。違うか?それに少しはルーシェの事も考えてやれ」
「うっさい...おっさんなんか知らない...何処にでも行っちゃえし!ミスティーも何もかも私から取ってくおっさんなんか大嫌いし!」
「私、トト、捨ててない....」
ミスティーが憂いを帯びた一言を出したが声量が小さすぎて既に出ていってしまったトトには届かなかった様だ。
「あっ、トトさん!」
「アル!いい、放っておけ。少しは考える時間も必要だろ」
「は、はい...」
その後、俺とロゼ、フェニアは行き際にトトの様子を見ようと探していたが見つからず、後の事は皆に任せて出発した。
「たまには私もね!落葉撃!」
「あーしなら楽勝!円舞槍穿!」
「では私も久々に...ツリーカタクラフト」
「これで終わってください!洸翼天嵐剣!」
「いい加減にしろ!黒零創刃刃!」
「はい!爆弾!」
「「「「「爆弾!?」」」」」
各々の持ち技や武器で大挙して押し寄せる軍勢に放ち応戦する。
「「「「「ぎゃああああ!」」」」」
何に対してかって?そりゃあ勿論。
「ルーシェ!!先に教えとけや!」
「てへっ!」
集団戦闘ではノウハウのあるウルフ族だ。
ーー「きっつ...」
何とか殲滅した俺達は全員誰一人欠けることなく汚れるのも構わず地面に倒れ込んだ。
「マジで...鬼畜...やし...あーしもう駄目...」
「わ、私ももう限界です...」
流石に疲労困憊で皆動けないようで、かくゆう俺も突っ伏している。
伏しながら周囲を見渡すとそこら中壊され放題だ。
柵は勿論のこと、家や作物なんかも荒らされてしまっている。
怪我人は出たものの死人が出なかったのがせめてもの救いかもしれない。
「あんた達!水と氷、あと新鮮な野菜ジュース持ってきてやったよ!さあ食べな!」
「俺は野菜たっぷりのメンチカツだ!一杯食いなあ!」
野菜屋のお姉さんと肉屋のおじさんの応援に倒れていた筈の女性陣がゾンビのようにゆらりと立ち上がり、ゾンビのように食い物へと群がっていった。
余りの食いっぷりにどっちがウルフだか分からなくなる様相にちょっと引く。
「おにいさーん!無くなっちゃうよー!」
「おい、少しぐらい残せや!」
ーー「ではこれより緊急対策会議を開催します。皆様静粛に」
アル主催と言うことでギルドを貸し切りにし開いたこの防衛会議。
この会の目的は二つ。
いかにしてこの村の防備を固めるか。
いかにして次あるかもしれない襲撃に備えるか、だ。
皆思い思いに閃いた案を発表していくが結局は「見張りを立てたらどうか」や「罠を作ったらどうだろう」など根本の解決には至らない案ばかりだ。
そこで俺は更に深い根本を考えてみる事にした。
「なあ、そもそもどうして今になって襲われたんだ?」
「そういえばそうだよね。私達ここに来て2ヶ月経つのにこんなの今まで無かったよ」
「いえ、その前もありませんでした。始めての事だと思います」
あーでもない、こーでもないとまた色々発言が飛び交う中「ちょっといいかしら?」と、ハニーが翼を挙げた。
「はい、ハニーさん。どうされましたか?」
アルがまるで学校の担任の先生のように促すとハニーはわざわざ立ち上がり、考えるポーズを取る。
「その何故今になって襲撃してきたかという話だけど、多分...そうね。人口が増えてきたからでは無いかしら」
「「「「「「!?」」」」」」
そうか、前までは大して栄養分にもならない老人や定年間近のおばちゃんばかりだったが今は俺を除き、ここにいる連中は食べ頃だろう。(色んな意味で)
「なるほどな。ならどうする?俺達が出ていけば解決するかもだが」
皆、この村が好きなのだろう。
悩んでいるとアルが声を上げた。
「お待ちください、それは困ります。今や皆さんのお陰でこの村の生活水準は向上しています。もし仮に皆さんが出ていかれたら前までのような生活に戻せるでしょうか?」
それは難しいだろうな。
文明に触れれば是が非でも頼りたくなるのが人間の性だ。
それを捨てて生活出来るのは世捨て人か変人くらいのものだろう。
「それにウルフが復讐で襲いに来る可能性もありますし」
「断然そっちのがやべえわ」
なら何としても対策を考えなきゃいけない。
頭を捻り何か無いかと考えていると今度はルーシェが手を挙げた。
「一ついいかな?帝国になんだけど腕の立つドワーフの大工屋さんが居るんだよね。その人に力、借りられないかな?」
「ふむ...悪くないかもしれないな。今は大工業もルーシェに頼りきりだし、何よりプロの意見が聞きたい」
「なら!」
これで解決への兆しが見えてきたかと皆に笑顔が溢れかけた矢先「ちょっと待つし」と、トトアーシュが口を挟んだ。
「なんだ?トト」
「ちょっと言いたいことがあるんだけどさー。本当にそいつ協力してくれんの?つーか役に立つわけ?」
「そ、それは分かんないけど...でも街一つ建て直した実績ある人だから問題ないよ!てゆーか全く意見出さないトトアーシュが言わないでくれない!?」
またしても喧嘩し出しそうな雰囲気に全員が後ろに下がる。
「ほんとむかつく...じゃあそれは良いんだけどぉ、あんた何でそんな事知ってる訳ぇ?マジおかしくない?」
「そ、それは...!」
「答えらんないの?まっ、どーせ嘘だろーけどー」
「ち、違う!嘘なんかじゃ!」
「はあ?嘘つきの裏切り者のあんたの話なんか信じると思ってんの?」
「....っ」
本格的な喧嘩になりそうな二人に皆、不安そうにしている表情を見て俺も流石に見て見ぬふりは出来そうになく、床を踏み鳴らし静かに「いい加減にしろ」と呟くと二人は押し黙った。
「もういい、俺は帝国に行くぞ」
心の中で謝っておくぞ、デューク。
忠告してくれたのにすまんな。
立ち上がりそう言い放つと不安げにロゼも立ち上がった。
「ロゼ、一緒に行くか?最近一緒に居れなかったしな。」
「う、うん!行く!絶対行く!」
「私もお供いたしますぅ!」
するとトトアーシュが焦り気味に捲し立ててきた。
「ちょ...ぼ、防衛はどうすんのさ!放っとくの!?...あ、あーしのせい...?あーしが勝手ばっか言うから...」
「はあ...」
「「むう...」」
意外にもしおらしくなるトトアーシュの頭を撫でながらアルに話し掛ける。
「アル、悪いが何とか持ちこたえてくれ。トト、お前の気持ちは分かる」
トトアーシュの顔に少し生気が戻ったが次の言葉でまたしおれてしまった。
「だがな、今は団結する時だ。違うか?それに少しはルーシェの事も考えてやれ」
「うっさい...おっさんなんか知らない...何処にでも行っちゃえし!ミスティーも何もかも私から取ってくおっさんなんか大嫌いし!」
「私、トト、捨ててない....」
ミスティーが憂いを帯びた一言を出したが声量が小さすぎて既に出ていってしまったトトには届かなかった様だ。
「あっ、トトさん!」
「アル!いい、放っておけ。少しは考える時間も必要だろ」
「は、はい...」
その後、俺とロゼ、フェニアは行き際にトトの様子を見ようと探していたが見つからず、後の事は皆に任せて出発した。
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