苦労して魔王を倒したと思ったら勇者パーティーを追い出された件
ミスティーの過去についての件
ハーピー村事件から一月程過ぎた。
あれからというもの特に事件らしい事件は起こっていない。
記憶に新しいのはギルドでトトとルーシェが大喧嘩した事ぐらいか。
なんでもルーシェが断りもなく冒険者カードをギルドに返納したのが原因らしい。
そして未だに喧嘩したまま疎遠になった...ぐらいなものだ。
そんなこんなで平和を謳歌しつつ、ハニーの面倒を看ていたのだが、前々日包帯と添え木を外すとほぼ完治していたのでハニーを解放することにしたのだ。
まあ多少歩く時にひょこひょこ歩きになってしまったのだが、応急処置しか出来ない素人がやったにしては上出来と言えるだろう。
ハニーにも「感謝することはあれど、避難することは絶対にしない」と言い切ってくれたので俺も胸を撫で下ろせた次第だ。
それから2日経った今日の昼過ぎ。
ハニーの新居を作るべくアルザス村の外れにある大木の上で作業をしている。
「ハニー。そっちの材木取ってくれ...おい、何してやがる」
「あら、私好みの男性を眺めているのよ?」
「はあ....」
ハニーにあれから余程気に入られてしまったのか、今も俺の顔を愛おしそうに寝転がりながら見つめている。
「おじさん、いる?」
「ん?...あれは...すまん、ハニー。ちょっと席外すぞ」
「いいけど...あっ。ミスティー!」
「やっほ」
2人は仲良さげに手を振り合っている。
一月前に殺そうとした側と殺されそうな側だったとは思えない程の進歩だ。
事情が違えども、お互いに家族を失った事が起因しているのだろうか。
通じあっているように思う。
そのせいか最近トトの機嫌はすこぶる悪い。
普段はそうでもないがミスティーがハニーといる時は別だ。
ロゼにも当てはまるわけだが。
「どうした、弓っ娘」
「名前で呼んで」
木から飛び降りながらそう問いかけると不機嫌になってしまった。
余程その呼び名、嫌いなようだ。
「はいはい...で、ミスティーなんか用か?」
「ちょっと話したい。いい?」
無表情な顔面なのだが若干嬉しそうに見えたのは気のせいだろうか?
ミスティーの手招きを受け、近くにあった岩に隣合って腰掛ける。
「.....」
「.....」
ミスティーはなかなか話を切り出さず、ワンピースのスカート部分をこねこねしている。
普段なら話すまで待ってもいいんだが出来れば今日中に屋根ぐらいは取り付けたいので「おい、まだか...」と急かす。
「....ん...」
すると感じ取ったらしいミスティーがゆっくり口を開く。
「おじさん...パパには私の過去、話しときたい...」
「そうか.........パパ!?」
「うん?....うん、パパ。」
変わった娘だとは思っていたがまさかパパっ娘だったとは...
だが見た感じだと年齢は14かそこらだろう。
親元から離れなければいけない何かがあるのかもしれない。
それもこれから分かりそうだ。
「ま、まあ好きに呼べ...そんでお前の過去ってのは...」
「うん。実は私の実家殺し屋の一家。よく上位部族の名で他国の要人とかを暗殺してた。」
シャスティとの会話を聞いてある程度予測はしていたがやはりか。
「よく部族からの依頼はあった。けど私の一族は特に契約をしていない。だからその時は魔族からの依頼を受けた」
「魔族から?」
どのくらい昔か分からないが恐らくは魔王戦争時だろう。
だとしたら驚愕だな。そんな時代に魔族から仕事を取るだなんて。
いや、そういえば殺し屋や暗殺者の刺客に何度か襲われた覚えがあるな。
あの時は教団が雇った刺客かと勝手に思っていたが、もしかしたら魔族に雇われた刺客も居たのかもしれない。
そう考えると不思議ではないか。
「そう...その時にある出会いがあった」
あれからというもの特に事件らしい事件は起こっていない。
記憶に新しいのはギルドでトトとルーシェが大喧嘩した事ぐらいか。
なんでもルーシェが断りもなく冒険者カードをギルドに返納したのが原因らしい。
そして未だに喧嘩したまま疎遠になった...ぐらいなものだ。
そんなこんなで平和を謳歌しつつ、ハニーの面倒を看ていたのだが、前々日包帯と添え木を外すとほぼ完治していたのでハニーを解放することにしたのだ。
まあ多少歩く時にひょこひょこ歩きになってしまったのだが、応急処置しか出来ない素人がやったにしては上出来と言えるだろう。
ハニーにも「感謝することはあれど、避難することは絶対にしない」と言い切ってくれたので俺も胸を撫で下ろせた次第だ。
それから2日経った今日の昼過ぎ。
ハニーの新居を作るべくアルザス村の外れにある大木の上で作業をしている。
「ハニー。そっちの材木取ってくれ...おい、何してやがる」
「あら、私好みの男性を眺めているのよ?」
「はあ....」
ハニーにあれから余程気に入られてしまったのか、今も俺の顔を愛おしそうに寝転がりながら見つめている。
「おじさん、いる?」
「ん?...あれは...すまん、ハニー。ちょっと席外すぞ」
「いいけど...あっ。ミスティー!」
「やっほ」
2人は仲良さげに手を振り合っている。
一月前に殺そうとした側と殺されそうな側だったとは思えない程の進歩だ。
事情が違えども、お互いに家族を失った事が起因しているのだろうか。
通じあっているように思う。
そのせいか最近トトの機嫌はすこぶる悪い。
普段はそうでもないがミスティーがハニーといる時は別だ。
ロゼにも当てはまるわけだが。
「どうした、弓っ娘」
「名前で呼んで」
木から飛び降りながらそう問いかけると不機嫌になってしまった。
余程その呼び名、嫌いなようだ。
「はいはい...で、ミスティーなんか用か?」
「ちょっと話したい。いい?」
無表情な顔面なのだが若干嬉しそうに見えたのは気のせいだろうか?
ミスティーの手招きを受け、近くにあった岩に隣合って腰掛ける。
「.....」
「.....」
ミスティーはなかなか話を切り出さず、ワンピースのスカート部分をこねこねしている。
普段なら話すまで待ってもいいんだが出来れば今日中に屋根ぐらいは取り付けたいので「おい、まだか...」と急かす。
「....ん...」
すると感じ取ったらしいミスティーがゆっくり口を開く。
「おじさん...パパには私の過去、話しときたい...」
「そうか.........パパ!?」
「うん?....うん、パパ。」
変わった娘だとは思っていたがまさかパパっ娘だったとは...
だが見た感じだと年齢は14かそこらだろう。
親元から離れなければいけない何かがあるのかもしれない。
それもこれから分かりそうだ。
「ま、まあ好きに呼べ...そんでお前の過去ってのは...」
「うん。実は私の実家殺し屋の一家。よく上位部族の名で他国の要人とかを暗殺してた。」
シャスティとの会話を聞いてある程度予測はしていたがやはりか。
「よく部族からの依頼はあった。けど私の一族は特に契約をしていない。だからその時は魔族からの依頼を受けた」
「魔族から?」
どのくらい昔か分からないが恐らくは魔王戦争時だろう。
だとしたら驚愕だな。そんな時代に魔族から仕事を取るだなんて。
いや、そういえば殺し屋や暗殺者の刺客に何度か襲われた覚えがあるな。
あの時は教団が雇った刺客かと勝手に思っていたが、もしかしたら魔族に雇われた刺客も居たのかもしれない。
そう考えると不思議ではないか。
「そう...その時にある出会いがあった」
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