異世界に来ましたが俺はスローライフを送りたいだけです
採集クエストの道すがら
「では、5000セルカをギルドで受け持つという条件でキャンセルします。宜しければそちらにサインを。返金は1ヶ月以内にお願いしますね」
「はい....すいませんでした.....」
どうあっても解決の糸口の見えないクエストなので、事情を話してキャンセルしてもらった。
異世界生活、一日目にして借金男になってしまった。
「ごめんなさい、ユウトさん....」
「......はあ.....まあ....いいよ。仕方ない....今日はまだ時間あるし、他のクエストで稼ぐか」
と、掲示板を見ながら慰める。
「へへ...ユウトさんは優しいですね...」
本当は責めたくて仕方がないが!
本当は金稼いで来いと言いたい所だが!
一人よりかはましかと我慢しているのだ。
一言言っておくが可愛いからじゃないぞ?
怒りを抑え、拳を握っているとリンカがまた何か持ってきた。
「これなんてどうですか!?キノコ採取ですって!」
ぴらぴらと見せてくる依頼書の端をつまみ、ピンとさせ、覗き込む。
「丘陵地帯の入り口の森でキノコを取ってきてください....数は50本程度。報酬は400セルカ....か。悪くないな。それにするか。」
「う、うん!ならすぐいこ!」
スライムの件を相当気にしているのか走ってカウンターに持っていった。
「承りました。キャンセルはもう止めてくださいね?」
「え、ええ。分かってますよ....ところで準備するものとかは、何か?」
「それ、貸して貰えるんですか?」
お姉さんがカウンターに置いたのはカゴとキノコ図鑑だった。
それをリンカがカゴ、俺が図鑑と手に取る。
「はい。終わったら返しくださいね。」
「分かりました。それでは」
「行ってきます!」
◇◇◇
丘陵地帯への通り道に位置する沼。
そこを足を取られないように慎重に進む。
「私、沼って始めて見ました。ユウトさんはどうですか?」
「俺もだぞ。都会住みだとなかなか見る機会無いしな。元だけど」
それにしても臭いな。
泥を更に濃くしたような匂いだ。
「ここではどういうモンスターがいるんでしょうか?」
「さあ.....考えたくもないな....」
多分、カエル型とかじゃないか?
想像したら気持ち悪くなってきた。
「それにしても、足を取られそうになりますね.....きゃあっ!」
「あぶなっ!ったく、気を付けろよ」
リンカが結局足を取られ転びそうになるのを受け止め、見つめ合う体勢になってしまった。
「...........あの.....」
「..........」
なんか凄い甘酸っぱいんだけど。
なにこれ、なにこれ!ここに来て春が!
頭ちょっと弱そうでかなりのドジッ娘だけど顔は良いんだよな。
スタイルもいいし....
「.....あの....ユウト....さん....」
「.....は、はい!なんでしょうか!」
しまった...童貞の弊害が...!
つい丁寧語に....
何処見てんだ、リンカは?
俺もリンカの見ている、沼の抜け道に首を回すと。
「あああああ、あれ....ななななな、なんですか....ユユユユ、ユウトさん....!」
「おおおおお、落ち着け....そこの、ししし、茂みに隠れるんだ....」
とんでもない化け物が俺達の目の前で道を横切っていく。
頭と胴体は獅子、尻尾が蛇の身体をした生物。
「マ、マンティコアだ....恐らく、っていうか絶対Sランクモンスター....」
「ひえええ.....」
ぐちゃ、ぐちゃとぬかるみを踏み、通りすぎていくマンティコアに身震いしつつ、動かずにやり過ごしていると、不意に何かが戦っているような音が聞こえてきた。
二人してそ~っと覗くと。
「.....怪獣大決戦じゃねえか.....」
「凄い迫力....」
先程のマンティコアと、平均男性より少し大きい火を吹く大ガエルが対決していた。
だがもう殆ど勝敗は決しているかもしれない。
マンティコアがカエルを押さえつけ、カエルが火を吹こうとしている。
「今の内に行くぞ、リンカ。後ろから通れば気付かれ無さそうだ」
「えぇ!?行くんですかぁ!?......あっ!待って下さいよぅ.....うわあん...!」
◇◇◇
マンティコアの脇をなんとか無事通り過ぎ、お目当ての森の入り口近くにようやくたどり着いた。
「んー、このキノコは大丈夫だな。それも食べれるみたいだぞ」
「はーい。これ、さっきのと似てるから大丈夫そ
う」
カゴに入れようとしているそれをたまたま見つけ、ギョッとしながらリンカの腕を掴む。
「まてまてまて!それは駄目だって!ええと...タベタラシンデシマウダケ...だから!ほら、傘の裏、紫の斑点があるだろ?」
「あ、ほんとだ。気を付けますね。それにしてもタベタラシンデシマウダケなんて、そこはかとなく危険なのが分かりますね!」
そこはかとなく、じゃなくドストレードだと思いますけど。
それにしても、この世界の毒キノコの名前つけた奴、ネーミングセンス崩壊してんの?
他にもページ捲ってみると、ソクショウテンダケやコロスノニサイテキダケなんかもある。
.....コロスノニサイテキダケなんてもう殺意しか見えない。
名前つけた人は使ったんだろうか....
「覚えやすいですよね~。日本にあった毒なんたら茸とか、覚えれないですもん」
もしかしたら、こういう知能指数の低い子の為なのかもしれない。
「それって、もしかして毒テング茸のことか?」
「あっ!それです!それ!毒テング茸!私全然覚えれないんですよね~」
でしょうね。
「ん?この感覚は...」
思い当たる節がありスラックスのポケットをまさぐるが何もない...あ、尻ポケットか。
....カードが点滅している。
「ユウトさん?冒険者カードですか?....あれ、スキル増えてますね」
「ほんとだ。観察スキル....か。あー、なるほど。モンスターとか物とかの情報が分かるらしい。」
条件も勿論あるが。他者の持ち物、ペット類は詳細情報が入手できないらしい。
このスキルという能力...魔法か何かで習得時に脳裏に刻まれるようで、すぐに使い方が分かるようになっている。
これならあっという間に終わりそうだな。
「便利ですね。さすが便利屋...」
「うるさいわ。さっさと終わらすぞ」
一言多いんだけど。
ーー「そろそろ帰るか。カゴ持とうか?」
「大丈夫です!ユウトさん、非力なんで!」
その通りなんだけど、腹立つわ。頬つねっとこう。
「いひゃい!いひゃい!いひゃい!」
「はい....すいませんでした.....」
どうあっても解決の糸口の見えないクエストなので、事情を話してキャンセルしてもらった。
異世界生活、一日目にして借金男になってしまった。
「ごめんなさい、ユウトさん....」
「......はあ.....まあ....いいよ。仕方ない....今日はまだ時間あるし、他のクエストで稼ぐか」
と、掲示板を見ながら慰める。
「へへ...ユウトさんは優しいですね...」
本当は責めたくて仕方がないが!
本当は金稼いで来いと言いたい所だが!
一人よりかはましかと我慢しているのだ。
一言言っておくが可愛いからじゃないぞ?
怒りを抑え、拳を握っているとリンカがまた何か持ってきた。
「これなんてどうですか!?キノコ採取ですって!」
ぴらぴらと見せてくる依頼書の端をつまみ、ピンとさせ、覗き込む。
「丘陵地帯の入り口の森でキノコを取ってきてください....数は50本程度。報酬は400セルカ....か。悪くないな。それにするか。」
「う、うん!ならすぐいこ!」
スライムの件を相当気にしているのか走ってカウンターに持っていった。
「承りました。キャンセルはもう止めてくださいね?」
「え、ええ。分かってますよ....ところで準備するものとかは、何か?」
「それ、貸して貰えるんですか?」
お姉さんがカウンターに置いたのはカゴとキノコ図鑑だった。
それをリンカがカゴ、俺が図鑑と手に取る。
「はい。終わったら返しくださいね。」
「分かりました。それでは」
「行ってきます!」
◇◇◇
丘陵地帯への通り道に位置する沼。
そこを足を取られないように慎重に進む。
「私、沼って始めて見ました。ユウトさんはどうですか?」
「俺もだぞ。都会住みだとなかなか見る機会無いしな。元だけど」
それにしても臭いな。
泥を更に濃くしたような匂いだ。
「ここではどういうモンスターがいるんでしょうか?」
「さあ.....考えたくもないな....」
多分、カエル型とかじゃないか?
想像したら気持ち悪くなってきた。
「それにしても、足を取られそうになりますね.....きゃあっ!」
「あぶなっ!ったく、気を付けろよ」
リンカが結局足を取られ転びそうになるのを受け止め、見つめ合う体勢になってしまった。
「...........あの.....」
「..........」
なんか凄い甘酸っぱいんだけど。
なにこれ、なにこれ!ここに来て春が!
頭ちょっと弱そうでかなりのドジッ娘だけど顔は良いんだよな。
スタイルもいいし....
「.....あの....ユウト....さん....」
「.....は、はい!なんでしょうか!」
しまった...童貞の弊害が...!
つい丁寧語に....
何処見てんだ、リンカは?
俺もリンカの見ている、沼の抜け道に首を回すと。
「あああああ、あれ....ななななな、なんですか....ユユユユ、ユウトさん....!」
「おおおおお、落ち着け....そこの、ししし、茂みに隠れるんだ....」
とんでもない化け物が俺達の目の前で道を横切っていく。
頭と胴体は獅子、尻尾が蛇の身体をした生物。
「マ、マンティコアだ....恐らく、っていうか絶対Sランクモンスター....」
「ひえええ.....」
ぐちゃ、ぐちゃとぬかるみを踏み、通りすぎていくマンティコアに身震いしつつ、動かずにやり過ごしていると、不意に何かが戦っているような音が聞こえてきた。
二人してそ~っと覗くと。
「.....怪獣大決戦じゃねえか.....」
「凄い迫力....」
先程のマンティコアと、平均男性より少し大きい火を吹く大ガエルが対決していた。
だがもう殆ど勝敗は決しているかもしれない。
マンティコアがカエルを押さえつけ、カエルが火を吹こうとしている。
「今の内に行くぞ、リンカ。後ろから通れば気付かれ無さそうだ」
「えぇ!?行くんですかぁ!?......あっ!待って下さいよぅ.....うわあん...!」
◇◇◇
マンティコアの脇をなんとか無事通り過ぎ、お目当ての森の入り口近くにようやくたどり着いた。
「んー、このキノコは大丈夫だな。それも食べれるみたいだぞ」
「はーい。これ、さっきのと似てるから大丈夫そ
う」
カゴに入れようとしているそれをたまたま見つけ、ギョッとしながらリンカの腕を掴む。
「まてまてまて!それは駄目だって!ええと...タベタラシンデシマウダケ...だから!ほら、傘の裏、紫の斑点があるだろ?」
「あ、ほんとだ。気を付けますね。それにしてもタベタラシンデシマウダケなんて、そこはかとなく危険なのが分かりますね!」
そこはかとなく、じゃなくドストレードだと思いますけど。
それにしても、この世界の毒キノコの名前つけた奴、ネーミングセンス崩壊してんの?
他にもページ捲ってみると、ソクショウテンダケやコロスノニサイテキダケなんかもある。
.....コロスノニサイテキダケなんてもう殺意しか見えない。
名前つけた人は使ったんだろうか....
「覚えやすいですよね~。日本にあった毒なんたら茸とか、覚えれないですもん」
もしかしたら、こういう知能指数の低い子の為なのかもしれない。
「それって、もしかして毒テング茸のことか?」
「あっ!それです!それ!毒テング茸!私全然覚えれないんですよね~」
でしょうね。
「ん?この感覚は...」
思い当たる節がありスラックスのポケットをまさぐるが何もない...あ、尻ポケットか。
....カードが点滅している。
「ユウトさん?冒険者カードですか?....あれ、スキル増えてますね」
「ほんとだ。観察スキル....か。あー、なるほど。モンスターとか物とかの情報が分かるらしい。」
条件も勿論あるが。他者の持ち物、ペット類は詳細情報が入手できないらしい。
このスキルという能力...魔法か何かで習得時に脳裏に刻まれるようで、すぐに使い方が分かるようになっている。
これならあっという間に終わりそうだな。
「便利ですね。さすが便利屋...」
「うるさいわ。さっさと終わらすぞ」
一言多いんだけど。
ーー「そろそろ帰るか。カゴ持とうか?」
「大丈夫です!ユウトさん、非力なんで!」
その通りなんだけど、腹立つわ。頬つねっとこう。
「いひゃい!いひゃい!いひゃい!」
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